名古屋市立中学での前川前文科省事務次官による授業に文科省が不当に介入したのは、自民党文科部会長の赤池誠章・文科政務官と部会長代理の池田佳隆衆院議員の2人から、事実上の強要があったからであると明らかにされました。
名古屋市教委・中学校長にメールで送られた15項目の質問状は、言葉使いこそは慇懃でしたが、いわゆる慇懃無礼というもので、その内容は前川氏を「犯罪人」であると不当に仮定したうえで、前川氏に公開授業をさせたことが間違いであると執拗に決めつけるものでした。
何の問題もないと明らかにされた「出会い系バー」への出入り※も、当然のように質問状に記載してありました。それは即ち質問状作成側の悪意を示すものです。
それだけでなく、質問状の全項目について中学校長から回答があった後にも、文科省側はそれにまた多数項目の質問を重ねました。異常な執拗さです。
文科省は、名古屋市教委・中学校に文書で問い合わせをするに当たり、池田議員のチェックを受け、得られた回答についても再びチェックを受けたようです。それも驚くべきことです。
日刊ゲンダイは、2議員が文科省にそんな働きかけをした背景として、
「前川氏の公開授業の翌日の2月17日に、元文科政務官の赤池議員の講演が同じ愛知県内で開かれたが、地元紙の扱いは前川氏の講演の方が大きかった」
ということがあって、それが一因となって、2議員が文科省に照会、質問内容の添削までしたのではないかと報じました。笑ってしまう話です。
ある人は、前川氏は、キャリア試験を4位の成績でパスしながら「文科省」を希望するとして入省し教育行政に貢献した、文科省の「至宝」であるとまで評価しています。そんな人物と赤池議員や池田議員ではハナから勝負になりません。
彼らには、恬淡として文科省次官を勇退し、今もなお折に触れて正論を発し続けている前川氏の「こころざし」など、多分全く理解できないことでしょう。
まさに
「燕雀いずくんぞ(安んぞ)鴻鵠の志を知らんや」
です。
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前川氏授業に介入 背景に安倍チルドレン議員の“妬み説”も
日刊ゲンダイ 2018年3月21日
文科省の前次官、前川喜平氏が名古屋市立中学で講演したことについて、文科省が問題視、市教育委員会に何度もメールを送っていた問題で、政治家の露骨な関与が浮き彫りになった。一部報道を受けて、林芳正文科相が明らかにした。
この問題も「安倍政権の強権的な体質の表れ」と野党は追及を強めている。前川氏の講演について、法令や教育上の問題がないかなどと文科省に執拗に照会していたのは、自民党文科部会長の赤池誠章参院議員(比例)と部会長代理の池田佳隆衆院議員(比例東海)の2人。自民党の文科部会のトップ2人が教育現場に“政治介入”していたことになる。
林大臣は「問い合わせがあったことは事実だが、省の判断に影響を与えていない」と弁明、赤池氏も「事実確認で日常業務の一環。圧力には当たらない」などと主張しているが、文科省は市教委への問い合わせメールを池田に見せ、文科省は一部を修正。事実上の“添削”と批判されている。野党は2人の参考人招致を求めている。とんでもない議員がいたものだが、この背景でささやかれているのがセコい“ヤッカミ説”だ。
「実は前川喜平さんが名古屋市内の八王子中学校で講演(公開授業)をした翌2月17日、自民党文科部会長で元文科政務官の赤池誠章参院議員の講演が同じ愛知県内で開かれたのです。ところが、地元紙の扱いは前川氏の講演の方が大きかった。これが一因となって自民党文科部会のトップの赤池部会長とナンバー2の池田部会長代理が文科省初等中等教育局に執拗に照会、質問内容の添削までしたのではないかと囁かれているのです」(永田町事情通)
たしかに前川氏が名古屋市立八王子中学校で授業(講演)をした翌17日、自民党愛知県連主催で愛知政治大大学院では、赤池氏が「わが国の教育問題について」と題する講演をしていた。池田氏は、自身のツイッタ―にこの日の様子を書き込み、写真も添付していた。
池田氏は愛知3区で立憲民主党の近藤昭一衆院議員に1万票差で敗れて東海比例ブロックで救われた3回生議員。それだけに地元記者も「やっかみ説には説得力がある」と言う。
「地元紙をはじめとしたメディア露出度において池田さんは、同じ選挙区のライバル議員の近藤氏に及ばない状態が続いていた。『以前から不満を感じていたところに、前川氏の授業と自らが招いた元政務官の赤池氏の講演の扱いのギャップを目の当たりにした。それが、文科省への照会の原動力となった』と言われても違和感はありません。池田さんは日本会議と連携している安倍首相と同じ思想信条の典型的アベチルドレン。2012年の初当選の時には安倍首相も愛知3区入りをして応援演説をしました。なお、2月22日の文科部会は、日本会議の主要メンバーである高橋史朗・明星大学教育学部特別教授(麗澤大学大学院教授)を招いて有識者ヒアリングをしていました」(地元記者)
教育現場への介入で、政治的影響力を誇示しようとしたのあれば、国会議員失格の勘違いだ。 (取材・文/横田一)