2022年8月8日月曜日

08- 旧統一教会の名称変更 安倍総理のご意向か 下村文科相と前後8回面会

 旧統一協会の被害救済にあたる全国霊感商法対策弁護士連絡会は15年3月、下村文科相(当時)に、正体を隠して資金や人材の獲得をしようとしていると強く警告し名称変更を認めないよう申し入れましたが、文科省は6月に名称変更の申請を受理し8月に認証しました。実体が何も変わらないのに名称を変更するのはまさに世間を欺くもので、それがどれほどの害悪を与えたかは計り知れません。

 前川喜平氏が1997年に実体が変わらないからとして名称変更を受け付けないとして以来18年間守られてきたものが、突如認証された背景に下村氏の意向が働いたのは言うまでもありません。でも下村氏はいまだに言を左右にして認めようとしません。
 その後、名称変更を認めたのは実は安倍首相(当時)の意向によるものという見方が出てきました。というのは安倍氏と下村氏は認証前の2ヶ月半の間に7回面談し、認証の直後にも1回面談していたからです。
 下村氏はいまになってやや抽象的ながら反省の弁を述べているようですが、害悪の大きさを認めるのであればその間の事情を明らかにすべきです。
 しんぶん赤旗と日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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主張 統一協会名称変更 岸田政権は全経過を公表せよ
                        しんぶん赤旗 2022年8月7日
 旧統一協会と自民党との深い関係をめぐり、旧統一協会の名称変更を文化庁が認めた経過の解明が焦点の一つになっています。長年認められなかった改称は2015年、安倍晋三政権下で認証されました。当時、文化庁を所管する文部科学相は下村博文衆院議員で、安倍元首相側近の一人です。下村氏は「直接指示したわけではない」などと関与を否定しますが、文化庁は必要な情報を開示しようとせず、疑惑は深まります。名称変更は、旧統一協会の被害を拡大させた機会になったとされており、曖昧にできません。岸田文雄政権は全経過を明らかにすべきです。

「下村氏の意思働いた」
 旧統一協会は1997年ごろから正式名称を「世界基督教統一神霊協会」から「世界平和統一家庭連合」に変更することを文化庁宗務課に求めてきました。しかし、同課は、団体の実体が変わっていないのに名前だけ変えることはできないと認めませんでした。ところが、2015年6月に旧統一協会は名称変更を申請すると、同年8月に認証されました。
 方針転換の理由は不明です。文化庁は7月末、日本共産党の宮本徹衆院議員に名称変更を認証した際の文書などを提出しました。しかし、変更理由にかかわる記述は全て黒塗りです。文化庁側は「(旧統一協会の)利益を害する恐れがある」と言いますが、どこが利益侵害にあたるのか説明はありません。黒塗り解除は不可欠です。
 注目されるのは、前川喜平・元文科事務次官の証言です。同氏は旧統一協会の名称変更の求めを拒んだ時期の文化庁宗務課長で、変更が認証された時は、文部科学審議官でした。前川氏は5日、6野党・会派のヒアリングで、15年に当時の宗務課長が認証を行うと説明に来た際、前川氏はすべきでないと意見を述べたものの認証されたと説明し「何らかの政治的な力が働いているとしか考えられない」と述べました。また前川氏は、審議官を上回る判断ができるのは事務次官と大臣しかおらず、「下村さんの意思が働いたことは100%間違いないと思っている」と語りました。下村氏は説明責任を免れることはできません。
 しかし、下村氏は「全く関わっていない」(7月21日)、「受理しろとか申し上げたことはない」(8月3日)、「直接指示したわけではない」「政治的圧力があったのではと言われるのはすごく迷惑だ」(同4日)と否定に躍起です。
 旧統一協会の被害救済にあたる全国霊感商法対策弁護士連絡会は15年3月、下村氏に、正体を隠して資金や人材の獲得をしようとしていると強く警告し、名称変更を認めないよう申し入れていました。危険は認識できたはずです。「今となっては責任を感じる」「社会的な問題を生じさせているのは事実。今後は関係団体を含め一切関係を断つ」(4日、下村氏)と言って済む問題ではありません。

徹底的に解明すべきだ
 岸田首相は6日、内閣改造と自民党役員人事を近く行うと表明しました。内閣改造を機に閣僚らに旧統一協会との関係の点検を求めると述べました。なぜ今まで放置してきたのか。本人任せにせずに徹底解明し、反社会的カルト集団との関係をきっぱり断ち切るべきです。内閣改造で幕引きすることは絶対にあってはなりません。


旧統一教会「名称変更問題」のカギは大臣説明資料「保管されている可能性が高い」と前川喜平氏
                          日刊ゲンダイ 2022/08/06
 旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)が「正体隠し」に悪用した名称変更をめぐり、関与が疑われる下村元文科相が崖っぷちに追い込まれている。下村氏は教団が19年越しの悲願を実らせた際の文科行政トップ。「受理しろと申し上げたことはない」などと釈明を繰り返しているが、当時の事務方ナンバー2だった元文科次官の前川喜平氏が「(下村氏が)イエスかノーか意思表明する機会があった。下村氏の意思が働いていたのは100%間違いない」と証言したのだ。
 旧統一教会をめぐる「政治的な圧力」を告発した前川氏は5日、教団に関する野党合同ヒアリングに出席。2015年に教団が世界基督教統一神霊協会から世界平和統一家庭連合へと改称した経緯を改めて説明した。前川氏は旧統一教会が1997年に文化庁に対して名称変更を求め、「事前相談」した際の文化部宗務課長。「組織の実体が変わってない」と申請を突っぱね、文化庁は以降も対応を変えなかった

■下村元大臣の意思は「100%」
 それが2012年の第2次安倍政権発足で一転。15年6月申請、7月受理、8月認証という経過をたどった。
 当時、次官に次ぐ文科審議官だった前川氏は「文化庁の宗務課長が説明に来た。『認証すべきではない』という意見を述べたが、その後、認証された」と振り返り、「何らかの政治的な力が働いているとしか考えられない」「私のノーを上回り、イエスと判断できる人は事務次官と大臣しかいない」と強調した。
 省庁再編を経た文科省の事務次官は旧文部省と旧科技庁出身者によるたすき掛けで、当時の次官は科技庁系。
 文部行政は、門外漢だったため、前川氏は事務方の実質ナンバーワンだった。改めて、話を聞いた。
「そもそも下村氏は事務方からの説明について、『報告』という言葉を使っていますが、『説明』と言うべきでしょう。その説明の際、名称変更の認証を求める旧統一教会からの申請を受理してこなかった経緯について、事務方が当時の下村大臣に説明しなかったはずはありません。説明のための資料も作成したはずです。その資料は今も保管されている可能性が高いと思います」
 大臣への説明資料は公文書だ。決裁文書の黒塗りをうんぬんするよりも、こちらの開示が真相究明の近道だろう。野党の追及力にかかっている。


旧統一教会の名称変更は“総理のご意向”か…認証前後「安倍首相×下村文科相」面会8回も
                          日刊ゲンダイ 2022/08/07
 岸田首相が来週10日に内閣改造と自民党役員人事を行うという。9月上旬の予定だったのに、突然の前倒しだ。旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と自民党議員との“癒着”が明らかになり、内閣支持率が急落。現職閣僚も関係を持っていたことが露呈する中、人事刷新で局面打開をはかる狙いとみられる。
 現職閣僚では、萩生田経産相、末松文科相、二之湯国家公安委員長、岸防衛相が、教団や関連団体と接点があることが明らかになっている。5日は、新たに山口環境相が関連イベントに祝電を送っていたことをニヤニヤ笑いながら明らかにし、小林経済安保担当相はイベントで挨拶したと説明した。 
 “癒着”は底なしの様相で、内閣改造で旧統一教会と関係の深い議員を一掃したところで国民の不信は到底、解消されそうにない。
 いま問題になっている旧統一教会からの名称変更について、5日野党の合同ヒアリングに出席した元文科次官の前川喜平氏は、旧統一教会の名称変更が承認された2015年当時、説明に来た文化庁宗務課長に対し「認証すべきではないと述べました」と言い、「(当時の事務方ナンバー2だった)私のノーを上回るイエスという判断ができる人は誰かというと、私の上には事務次官と大臣しかいない」と説明。当時の下村文科相の「意思が働いていたことは間違いない」と断言した。
文科相よりさらに上、官邸の意思が働いていた可能性もあります。安倍元総理が凶弾に倒れてから、旧統一教会との蜜月ぶりが次々と明らかになり、安倍氏本人が教団票を割り振っていたという証言も出てきた。政権に返り咲いた12年の総裁選で旧統一教会の幹部が安倍氏を支援したと明言しているし、恩義を感じた安倍氏が教団の悲願だった名称変更を下村氏に指示していても不思議はない。少なくとも、当時の役所の空気としては、大臣よりも官邸の意向を気にしていました」(文科省関係者)
 名称変更の申請は2015年6月で、文化庁は同年7月に受理、同年8月26日に認証した。
 当時の首相動静を確認すると、下村氏の名前は8回登場する

 6月12日  閣議後、山谷えり子国家公安委員長とともに安倍首相と会談。
 6月22日  午後6時47分から7時3分まで安倍首相とサシで会談。
 6月30日  午後2時26分から3時5分まで当時の山中伸一文科事務次官とともに安倍
       首相と会談。
 7月7日   午後6時22分から安倍首相や菅官房長官、佐藤国対委員長らと都内のホテ
        ルで懇談。
 7月17日   午後2時30分から森元首相、菅官房長官、遠藤五輪相とともに安倍首相と
        面会。
 8月7日   午後2時10分から官邸で安倍首相とサシ会談。
 認証決定前日の8月25日は午後7時7分から、安倍首相と山谷えり子氏、JR東海名誉会長の故・葛西敬之氏らと会食していた。
 認証直後の8月28日にも閣議後に安倍首相と話し込んでいた。

 末松文科相は5日の閣議後会見で、旧統一教会の名称変更について「政治的判断を行ったものではないと認識」と話したが、97年からずっと名称変更の要望を突っぱねていた文化庁が安倍政権下で認めたのはなぜなのか、明確な説明が欲しい。「総理のご意向」はなかったのか。


旧統一教会は大打撃…「安倍元首相銃撃事件」以降に被害相談爆増し“正体隠し”通用せず
                          日刊ゲンダイ 2022/08/08
「家族が入信し、20年間諦めていたが、事件をきっかけに相談しようと思った」「山上容疑者と自分の境遇が重なった」──。
 旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)を巡る相談が、民間団体「全国統一協会(教会)被害者家族の会」と「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(全国弁連)に多数寄せられているという。
 家族の会への相談は、安倍元首相の銃撃事件以降、前月の8件から91件に急増。実に11倍だ。全国弁連には1日20~30件の相談がある。内容は、旧統一教会の信者家族による脱会相談がほとんどだが、なかには「家族が5億円以上献金した」と話す親族や「献金を取り戻したい」という脱会者もいた。
 全国弁連事務局長の川井康雄弁護士がこう言う。
「集計はこれからですが、相談件数が爆発的に増えたのは事実です。被害者本人からのものもあれば、家族からの相談も結構多く、信者を親に持つ信仰2世からの相談もあります。さすがに献金額5億円以上は多い方ですが、億単位は珍しくはありません。むしろ比較的多い方です」

旧統一教会側「非常に心を痛めております」
 旧統一教会は2015年、世界平和統一家庭連合に名称を変更。これをきっかけに信者が増え、霊感商法や献金の強要などの被害が広がったと指摘されている。
「彼らにとっては『正体隠し』がキモです。家庭連合を知らない人がほとんどでしたから。銃撃事件を機に『家庭連合統一教会』というのが相当浸透したので、やりにくくなった。今後、旧統一教会であると素性を明かして伝道してくれればいいが、果たして、それで入信する人がいるかどうか。そういう意味では、打撃は打撃です。我々からすれば、さらに名称が変更されない限り、当面は、新たな被害は抑止されるのではないかと期待しているところです」(前出の川井弁護士)
 被害相談が急増していることについて、世界平和統一家庭連合は「非常に心を痛めております。今後、しっかりと状況を重く捉えて、対応にあたりたいと思います」(広報部)と回答した。
 創設以来の危機であることは間違いない。