2022年8月27日土曜日

徹底追及 統一協会 新世事件編 1/統一協会・「勝共」は悪質

 しんぶん赤旗が「徹底追及 統一協会 新世事件編」を開始しました。全5回のシリーズです。統一教会の下で霊感商法に専念した「新世」社に関するもので、いろいろと常識では理解しがたいものの、裁判記録に基づいているまさにリアルな記事です。
 それとは別に同紙の記事:「統一協会・勝共は悪質 共産党追及チーム 岩田三鷹元市議に話きく」を、併せて紹介します。
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徹底追及 統一協会 新世事件編1 
    印鑑販売訴訟記録  ひと月で財産なくす
                       しんぶん赤旗 2022年8月26日
 ここに一通の調書がありまこす。2009年、統一協会(世界平和統一家庭連合)の霊感商法をめぐり、印鑑販売会社と社長らの有罪が確定した刑事裁判。調書は、元信者の女性が東京地裁の法廷で証言した記録です。
 女性は、事件前にこの社長による「印鑑店舗からいかに信者をつくっていくかという流れの講義」を聞いたと証言し、こう振り返りました。
 「講義が終わった後に講師が、『このラインに乗せるとひと月で女性は全部自分の財産なくすんだよ』って・・・自慢げに話をしていた」「普通の人が印鑑を買っただけで・・・そこまでなってしまうということがものすごい」

入信も目的
 この裁判で裁かれた販売会社「新世」(東京都渋谷区)は、通行人に「姓名鑑定をする」などと声をかけて事務所に連れていき、客の悩みや心配事は「先祖の因縁だ」と不安をあおり、印鑑を40万~300万円で売りつけていました。
 東京地裁は同社に罰金800万円、社長には懲役2年、罰金300万円、執行猶予4年を言い渡しました。
 判決は、同社が「客を統一協会に入信させる・・・ことも目的として印鑑販売をしていた」と認定。販売手法と信仰が混然一体」だったと指摘しました。
 本紙はこの裁判の刑事確定訴訟記録の一部を入手しました。印鑑販売マニュルや社長ら作成のレジュメなどの社内文書、社長や販売員、被害者の供述などが多数含まれます。
 社内文書の一つ、レジュメ「2002年の渋谷フォーラムの役割」は、渋谷の活動拠点から押収されたハードディスクに入っていました。そこに露骨な文句が書かれています。
 「SK(信者献金)を出させるのが最高の教育」「SKを出して教域、教区を積極的にサポートする」
 販売員の使命は資金面で統一協を支えることだと明示します。

献金が眼目
 「サタンの所有を神の所有に返還する」という記述もあります。
 この配述の意味の説明が、ある供述調書から見つかりました。別の元信者で印鑑販売員だった女性が、検察官に語って
 「この世のすべての財産をサタンの手から取り戻し、シアである文鮮明を介して神にいったん戻すという教えがある」
 「サタン」には統一協会の信者になっていないすべての人が含まれます。文鮮明は統一協会の開祖。人類から財産を取上げ、文鮮明にささげる ー。ここに統一協会の活動の眼目があることがうかがえます
 女性はこうも語っていました。
 「信者が教えを守り、手にした報酬に限らず、借金してでもできるだけたくさん献金するのは当たり前と受け止められていた」 (つづく)                 (統一協会取材班)

      訴訟記録から、09年当時の統一協会の行動原理の一端が浮かび上がります。
      5回連載で伝えます。

統一協会・「勝共」は悪質 共産党追及チーム 岩田三鷹元市議に話きく
                        しんぶん赤旗 2022年8月24日
 日本共産党国会議員団は23日、「統一協会問題追及チーム」(責任者・小池晃書記局長)の第4回会合を開き、統一協会問題を市議会で取り上げてきた共産党元三鷹市議の岩田康男氏を招いてヒアリングを行いました。
 岩田氏は「結論から言うと統一協会、勝共連合の活動は実に悪質な活動。悪徳商法で詐欺集団だ」と強調。その理由について「宗教を隠れみのにしている。若者を活動に取り込むのに宗教は有効だ。宗教法人は行政がチェックしにくい」「反共を売り物にして保守層と癒着する。保守層と癒着するために反共を利用している」などと指摘しました。

 岩田氏は、1992年ごろ、東京・三鷹市内の農家が統一協会へ55億円にもおよぶ献金の被害者となった問題を紹介。これらの経緯について「(被害が起こる)数年前、三鷹に勝共連合三鷹支部ができた。ある自民党の総支部長が自宅の敷地の中に、40~50人集まれる2階建てのプレハブを建て、そこで勝共連合活動を始めた」と説明しました。同連合の事務局員は統一協会から派遣されていたことも後に判明したといいます。
 事務局員は会報の配布や会費の集金をしながら、地域に住む人々の個人的な実情などの情報を集めリスト化。この情報をもとに他の担当者がつぼ・印鑑を売りにいくというシステムがつくられていった実態があったと語りました。
 その後、「土地を担保に献金させることに手をつけ始めた」と説明。土地を本人名義で所有しているかなどのリストのほか、所有者に献金させるための手法や手順が示されたサミットゲスト表と呼ばれるマニュアルも存在していたと指摘しました。

 岩田氏は92年の市議会で統一協会問題を取り上げ、市議会最終日に『霊感商法など悪質な訪問販売による被害防止策の抜本強化を求める意見書』を提出。全会一致で採択され、首相と関係閣僚に送ったといいます。「共産党市議団が問題提起しただけではなく、市議会として統一協会を名指しで対策の必要性を国に訴えた。それぐらい保守の人たちも危機感を感じていた」と振り返りました。

 小池氏は「地域の資産家を調べ、そこに狙いを定め、ルーツをたどっていくという非常にシステマチックな形だ。『反社会的』にとどまらない犯罪集団だという実態がよくわかる」と強調。「統一協会の反社会的な霊感商法、高額献金という面。もう一つ、表裏一体で国際勝共連合をつくり反共・反動の先兵となった。そこに保守層・自民党から見ると利用価値があった。その反共・反動が霊感商法などの反社会的な行動を広げる上でのお墨付きを与える役割を果たした。この二つの側面を見ていく必要がある」と語りました。