2022年8月4日木曜日

「信者二世」被害救済求め声あげる/全国の社協に多額の寄付・災害時ボランティア

 しんぶん赤旗のシリーズ「徹底追及 統一協会」に、両親が信者だという女性思いが載りました。
 彼女は「親に借金があるか聞くと『お金に執着するなんて、あなたはサタンにとられる』『地獄におちる』と言われるので怖くて聞けない。自己破産は『万物復帰している』という考えで歓迎されると聞いたサタンのもとにある宝を神=文鮮明にすべて出し切った証拠として祝福されるとも(要旨)と語ります。統一教会が如何にして、信者に借金をしてまで莫大な献金を続けるように仕向けるのか、その洗脳の様子を知らされます。
 「統一教会は09年以前の清算、反省はまったくしておらず、09年以降も無理な献金は続いていると思います」とも語っています
 その一方で、教団は全国の社会福祉協議会に多額の寄付を行ったり、災害時にボランティアを派遣したりして教団のイメージアップを図っています。寄付を行うことやボランティアを派遣すること自体は非難されるべきことではありませんが、寄付金の原資が家庭が崩壊するのも厭わずに収奪した献金であったり、洗脳されてタダ働きに励む学生たちを主体とするボランティア団体であるところに問題があります。
 世間からの欺瞞の評価を得るためには、信者の不幸など全く厭わないという在り方は、唯々 冷酷・異様の一言に尽きます
 日刊ゲンダイの記事を併せて紹介します。
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徹底追及 統一協会
親が多額献金 老後資金なし 「信者二世」被害救済求め声あげる
                        しんぶん赤旗 2022年8月3日
 安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也容疑者は母親が旧統一協会(世界平和統一家庭連合)の信者でした。同容疑者は母親が協会に多額の献金をするため子ども時代から経済的に苦しんできたとされます。この事件をうけ、協会に苦しめられてきた信者の子どもたちが救済を求めてネット上で声を上げています。両親が信者だという女性に思いを聞きました。(統一協会取材班)


(写真)統一協会が被害者に4300万円で購入させていた釈迦(しゃか)塔(全国霊感商法対策弁護士連絡会提供)


協会の集団結婚
 「親は旧統一協会に献金しまくったので、老後資金がまったくない。私たち二世に養わせるのではなく、協会に金を戻させ信者の老後がなりたつようにすべきです」。そう語るのは、「祝福二世」の30代女性です。祝福二世とは両親が旧統一協会の集団結婚で結ばれ生まれた子どものことです。
 「両親は旧統一協会の開祖、文鮮明にマッチングされた。その子である私は、『文鮮明によってこの世に授けられた』という位置づけで信者扱いです」
 父親は協会の元幹部。協会のダミー団体で働いていました。ただ突然解雇されたうえ、社会保険をかけていなかった未納期間があるため、年金は月2万円程度だといいます。
 「旧統一協会は、生存権を侵害しています」とも。女性の実家には協会が高額な値段で買わせるつぼ、五輪塔、弥勒菩薩(みろくぼさつ)像、聖典などがありました。



(写真)統一協会が信者らに売りつけた本。1冊3000万円の本には協会の開祖・文鮮明と韓鶴子夫妻の写真が掲載されています


法整備で一律に
 「“二世あるある”なのですが、親に借金があるか聞くと怒る。『お金に執着するなんて、あなたはサタンにとられる』『地獄におちる』と言われるので怖くて聞けない。自己破産は『万物復帰している』という考えで歓迎されると聞いたことがあります。サタンのもとにある宝を神=文鮮明にすべて出し切った証拠として祝福されることなのです
 旧統一協会の霊感商法は2009年ごろに相次いで刑事摘発されます。協会の田中富広会長は事件後にコンプライアンス(法令順守)を徹底してきた、などとしていますが…。
 全国霊感商法対策弁護士連絡会のまとめによると、10~21年の霊感商法の被害相談は2875件に上ります。女性は「09年以降も無理な献金は続いていると思います。昔のやり方を脱却するのはなかなか難しいでしょうから。それに09年以前の清算、反省はまったくしていない」と指摘します。
 無理な献金のため生活費は、資産家だった母の実家に頼っていたといいます。しかし祖父母が女性に残してくれた大学資金や自身が借りた奨学金も、実家の生活費に消えました。
 「訴訟で被害を救済するには、個人の負担が大きすぎます。法整備で一律に救済が必要だと思います。祝福二世を全員被害者とするなど、被害者を広くとらえて迅速に救済してほしい」

旧統一協会 旧統一協会のかつての正式名称は「世界基督教統一神霊協会」でした。その実態はキリスト教とはまったく異なる反社会的なカルト集団です。このため本紙では「教会」とせず「協会」を使用しています。


安倍元首相銃撃で見えた 統一教会の実態
全国の社会福祉議会に多額の寄付で教団のイメージアップや信者獲得を目論む
                         日刊ゲンダイ 2022/08/03
 教団は全国の社会福祉協議会(社協)にカネをバラまき、災害時には選挙活動と同様に「ボランティア要員」を派遣していた。
 旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)は地方自治体に相次いで寄付を行っていたが、多額の寄付は全国の社協にも及んでいた。社協はすべての都道府県・市町村に設置されている非営利の民間組織で、全国に1800弱あり、地域福祉の推進を担っている。
 「行政からの補助で賄っていますが、寄付は主要な財源でそれを地域に還元しています。10万円の寄付ともなれば、かなりの額です。団体の名前が変更されていたので、十分な認識がなかったのではないか」(全国社会福祉協議会広報室)
 横浜市社協には2017年から20年まで、旧統一教会から32件計108万円の寄付があった
 「当時、宗教団体という認識はあったと思いますが、寄付金自体が善意で成り立っているため、受けないという明確な判断基準がありません」(担当者)
 寄付をすれば、各社協のHPや広報紙に団体名や寄付した際の写真が掲載され、地域住民の印象は良くなる
 愛媛県社協に対しては、18年に県内で起きた豪雨災害をきっかけに、翌19年から3年連続でバザーの収益金計70万円を寄付。東京都足立区社協には54万1000円を寄付した。
「区として近隣自治体の復興支援を行っていました。寄付金のうち20万円は、台風で甚大な被害を受けた千葉県鋸南町の復興支援に使って欲しいということでした」(足立区社協担当者)
 この他、群馬県高崎市社協にはチャリティーバザーの収益金など35万6276円、仙台市社協にも10万9115円を寄付。すでに10以上の自治体の社協が寄付を受けていることが判明している。全部合わせれば相当な金額になるはずだ。

災害時はボランティア隊を派遣
 旧統一教会はカネをバラまくだけでなく、「平和ボランティア隊」を組織し、定期的に全国の被災地に信者を派遣している。隊のHPでは、19年に台風被害に遭った千葉県南房総市で活動を行い、2年前に市社協から贈られた感謝状をアップ。HPによると、これまでの被災地への派遣人数は4011人、作業日数は1291日に上る。南房総市社協の担当者がこう言う。
 「東日本大震災から活動を始められたそうで、別の団体と連携しながら活動していました。ボランティアを通じて、地域活動をするといった感じでした。多い時は10人くらいいて、学生が多かった。旧統一教会の信者とは知っていたが、復興を第一に考え、布教活動をしないことを約束してもらった。少しでも住民を支援したいという思いで協力してくれるのであればと考え、受け入れました。中心人物はボランティア経験が豊富で、これまでも各被災地で屋根のブルーシート張りをしていたそうで、ボランティアが共同で宿泊する施設で寝泊まりしていた。東日本と西日本に拠点があり、入れ代わり立ち代わり、ボランティアがやってきました。長い人は3カ月ぐらいいました
 社会福祉事業への寄付や地域貢献で教団のイメージアップや信者獲得につなげていたのだろう。