2022年8月16日火曜日

終戦の日 「戦争する国」への逆流許さず/戦争の惨禍は絶対に繰り返さず

 終戦記念日に当り、しんぶん赤旗は「77回目の終戦の日 『戦争する国』への逆流許さず」という主張を掲げました。

 戦争の惨禍を二度と繰り返さないという誓いこそが戦後日本の出発点だった筈なのに、日本はいつの間にか、戦争が出来るように憲法を改悪し、軍事費を現行の2倍以上の11兆円超に上げ軍備を拡張することを何となく是認するムードになっています。
 そもそも軍備を拡張しておけばウクライナの悲劇が避けられたと考えるのは根本的な間違いで、現実に一旦戦争が起きればどんなに高級な兵器を供与されても戦争は終結しません。
 何百万人の国民が国外に逃れ、60歳以下の男性は兵士の要員とされて国外退避が許されず、国内では野党の政党活動が禁止されて、かつての日本と同じようにゼレンスキーによる軍事独裁政治が行われ、それがこの先いつまで続くのか見当もつかない状況です。
 ゼレンスキーは米国にそそのかされるままに親NATO・反ロシア政策を推し進めた結果この悲劇を生みました。日本がいま公然と反中、反ロを掲げて軍備を拡張しようというのはまさにウクライナの悲劇を再現することに他なりません。
 米国は中国がGDP世界一の国になるのをどうしても容認できないようですが、かといって中国と戦火を交えて勝てる見込みもありません。そこで日本にウクライナの役割をさせて中国と消耗戦をやらせようという考えのようですが、そんな手に載るというのは余りにも愚かなことです。日本の主要都市は簡単に灰燼に帰します。

 台湾有事を絶対に避けるために全力を挙げるのこそが政治であり外交というものです。
 日本はいまこそ9条の精神に立ち返り、近隣諸国との友好関係の樹立に努めるべきです。
 併せて終戦記念日に当たっての共産党小池晃書記局長による談話を紹介します。
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主張77回目の終戦の日 「戦争する国」への逆流許さず
                       しんぶん赤旗 2022年8月15日
 日本がアジア・太平洋戦争に敗北した1945年8月15日から、きょうで77年です。31年の中国東北部への侵略(「満州事変」)で始まった15年にわたる侵略戦争は310万人以上の日本国民、2000万人を超えるアジア諸国民の命を奪いました。戦争の惨禍を二度と繰り返さないという誓いこそが戦後日本の出発点です。ロシアのウクライナ侵略という暴挙に乗じて自民党などが日本国憲法の破壊を企て、戦後の歩みを逆転させる動きを強めていることは重大です。東アジアと日本に戦火を招かないために平和外交に全力をあげる政治への転換が必要です。

「9条は人類の到達点」
 破壊しつくされた街、砲撃で恐怖に震える子どもの姿―ウクライナから伝えられる戦争の悲惨な光景に胸が締め付けられます。自分の戦争体験と重ね合わせ、心を痛める人も数多くいます。
 戦争を絶対に起こさないため知恵と力を尽くす責任が政治にはあります。
 岸田文雄首相は10日の内閣改造後の記者会見で、最重要課題のトップに軍事力の「抜本強化」を掲げました。「敵基地攻撃能力」の保有や、軍事費を国内総生産(GDP)比2%以上にすることを念頭に大幅増を狙うなど大軍拡に拍車をかけようとしています。それと一体で、憲法9条に自衛隊を明記する改憲策動も加速する構えです。東アジアで「軍事対軍事」の緊張を高める道に踏み込もうという危険な姿勢です。

 しかし国民の願いは異なります。日本世論調査会の「平和世論調査」(7月31日報道)がそのことを示しています。「戦争を回避するために、最も重要と思うことは」との質問では「平和に向け日本が外交に力を注ぐ」(32%)、「戦争放棄を掲げた日本国憲法を順守する」(24%)との回答が、「軍備を大幅に増強し他国からの侵攻を防ぐ」(15%)を大きく上回りました。
 ロシアのような国が世界秩序を揺るがしている時だからこそ日本国憲法に意義があると説く外国の国際法学者もいます。アメリカのイエール大学のオーナ・ハサウェイ教授です。
 同氏は「長い人間の知の歴史、さまざまな人々のアイデアと考えの積み重ねがあって、1928年の不戦条約があり、第2次世界大戦があり、国連が生まれ、そして日本国憲法が生まれた」と世界史の文脈で考えることが重要と語り、憲法9条は「戦争違法化の流れからいって、人類の一つの到達点」と強調します。そして、いま日本が平和憲法を変えることは、「戦争違法化」の世界秩序を覆したい勢力に付け入らせることになり、世界の法体系に影響し、安全を損なう恐れがあるとも指摘します(朝日新聞社『ジャーナリズム』8月号)。9条を守り生かすことは世界の平和にも重要な貢献となります。

再び惨禍招かないために
 日本の侵略戦争と植民地支配の深い傷はいまもアジア・太平洋の各地に残され、日本の責任は問われ続けています。過去の過ちを直視しない政治では平和の未来は開けません。
 「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」。憲法前文に記されたこの一節を心に刻んで、「戦争する国」づくりを許さないために力を合わせましょう。


終戦記念日にあたって 日本共産党書記局長 小池晃
                       しんぶん赤旗 2022年8月15日
 一、77回目の終戦記念日にあたり、日本共産党は、日本軍国主義による侵略戦争と植民地支配の犠牲となった内外の人々に深い哀悼の意を表するとともに、戦争の惨禍を絶対に繰り返さない決意を新たにします。

 いま、政府・与党とその補完勢力は、ロシアによるウクライナ侵略の蛮行に乗じ、憲法9条改悪と、「敵基地攻撃能力」の保有や軍事費の2倍化という大軍拡に突き進もうとしています。日本共産党は、創立から100年、反戦平和を貫いてきた党として、このたくらみを打ち破り、9条を生かした外交で平和な東アジアをつくるため全力をあげます。「戦争をさせない、9条を変えるな」という国民多数の共同を広げるために力をつくします。

 一、岸田政権は、憲法9条を変え、日本を「戦争をする国」にしようとしています。これまで政府は、9条のもと、「専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならない」としてきました。しかし、軍事費を2倍にすれば世界第3位の軍事大国となります。政府は、安保法制発動――集団的自衛権を発動した場合でも「敵基地攻撃」はできると答弁しており、そうなれば日本が攻撃されていなくても米国の相手国に自衛隊が「敵基地攻撃」で攻め込むことになります。こんなことが「戦争放棄」「戦力不保持」を宣言した憲法9条と相いれないことは明白です。軍事費2倍化は、大増税か、暮らしの予算の大削減をもたらします。平和を壊し、暮らしを押しつぶす改憲と大軍拡を許すことはできません。

 一、ウクライナ侵略や台湾問題を口実に「軍事対軍事の悪循環」に陥ることこそ戦争への危険な道です。日本共産党は、中国による台湾に対する軍事的威嚇強化に厳しく抗議し、その中止を強く求めます。一方、米国が、台湾問題への軍事的関与を強化し、それに日本政府が追従していることは、台湾問題をめぐって「軍事対軍事」の悪循環に陥る危険をはらむものであり、わが党はこの道に対して強く反対します。台湾問題の解決は、台湾住民の民主的に示された意思を尊重し、あくまでも平和的な話し合いで解決されるべきです。
 政治の責任は、戦争を起こさせない外交に力をつくすことです。日本共産党は、ASEAN(東南アジア諸国連合)が主導する東アジアサミットを強化・発展させ、中国も含む包摂的な地域の平和枠組みを構築する「外交ビジョン」を提案しています。いま、世論にも大きな変化が起き、「軍備増強」でなく「平和外交を」という声が広がっています。日本共産党は、「外交ビジョン」をさらに豊かなものにし、野党外交にもとりくみ、日本と東アジアの平和のために力をつくしていきます。

 一、今年6月、核兵器禁止条約の第1回締約国会議は大きな成功をおさめ、ドイツ、ノルウェー、ベルギーなどの米国の同盟国もオブザーバー参加するなど、禁止条約が無視しえない現実になっていることを示しました。しかし、日本政府は締約国会議にオブザーバー参加すらせず、岸田首相は、核不拡散条約(NPT)再検討会議でも、広島・長崎の平和式典でも、核兵器禁止条約にも、核保有国に核軍縮・撤廃を義務づけるNPT6条にも一言も触れないという、核兵器禁止を求める世界の本流に背を向ける姿勢に終始しました。核使用を前提とする「核抑止力論」にしがみつき、米国の「核の傘」の強化に熱中しながら、「核保有国と非保有国との橋渡し」などできるはずがありません。

 日本共産党は、「核戦争の防止と核兵器の廃絶」を綱領に掲げる党として、核兵器禁止条約に参加する政府をつくるために奮闘します。