2022年8月26日金曜日

地方政治まで蹂躙する旧統一教会/山上容疑者に同情 拘置所に相次ぐ差し入れ

 閣僚、副大臣。政務官を中心とする国会議員の「統一教会汚染」が連日TVで取り上げられていますが、実は地方議員たちの中にも教団は着実に浸透しています。
 「毎日新聞」(8月17付)19年10月6日に愛知県常滑市で行なわれた「孝情文化祝福フェスティバル/名古屋4万名大会」に、「東海・北信越地方を中心に200人もの国会議員や地方議員」が出席し、祝福される「36組の『代表家庭』」「県議や市議とその妻たち」が登壇したと報じました。そんな「祝福」を受ける以上、彼らは「入信」していると理解されます。
 日刊ゲンダイの「永田町の裏を読む 高野孟」のコーナーが取り上げました。
 信者が議員になってはならないということではありませんが、「教祖」や「組織の幹部」の意向に沿った議員活動するのであれば、立候補時に立場を明確にするべきです。

 それとは別に、安倍晋三氏を銃撃した山上徹也容疑者宛に沢山の差し入れが届いていて、その中身は「お金中心で菓子やマンガ本もあるということです。山上容疑者の父と兄は、母の入信を苦に自殺しています(父は京都大学を出たエリート)。そんな配偶者や「2世」の境遇に同情が集まっているようです。
 日刊ゲンダイが報じましたので併せて紹介します。 
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永田町の裏を読む 高野孟
中央だけでなく地方政治まで蹂躙する旧統一教会の「恐るべき実態」
                         日刊ゲンダイ 2022/08/25
 旧統一教会の「反日謀略工作」が中央政界を侵食してきた実態には日々驚かされるばかりだが、それに加えて地方政治への蹂躙にも目を向ける必要がある。
「毎日新聞」(8月17日付)が映像記録をもとに大々的に報じたところによると、2019年10月6日に愛知県常滑市の国際展示場で行われた「孝情文化祝福フェスティバル/名古屋4万名大会」には、なんと「東海・北信越地方を中心に200人もの国会議員や地方議員が顔をそろえた」という。
 そこでは、特別に選ばれた「36組の『代表家庭』」すなわち「県議や市議とウエディングドレスを着たその妻たち」が登壇し「既成祝福」という教団の儀式に参加した。これは既婚の夫婦が改めて愛を誓う統一教会独特の行事で、ここまでやるからにはその36組の夫婦はおそらく教会に入信しているのだろう。
 イベント後半には「真のお母様」と呼ばれる韓鶴子総裁がパレードカーに乗って登場。熱狂の中、タキシード姿の議員代表が韓総裁に贈り物を捧げた。
 議員たちの多くは、その年の4月に行われた統一地方選挙で統一教会から選挙支援を受けた見返りにこのイベントに参加したようで、愛知県内のある自民党市議は「教団関連のボランティア数人に『電話作戦』を手伝ってもらった。ほどなくイベントのチケット3枚を受け取り、知人と参加した」。
 付き合ってみると「一人一人はいい人ばかり。教会に顔を出すようになり、後援会の親睦旅行には(教会の)関連団体のメンバーも参加していた」というから、単に選挙の時に手伝ってもらっただけでなく、それを機に議員が教会に出入りし、議員の後援会に教会信者が紛れ込むなど、アリ地獄にはまるようなズブズブの関係になっていることが分かる。
 また、19日付「東京新聞」の「こちら特報部」によると、過去の勝共連合の機関紙「思想新聞」が「住民投票法」「自治基本条例」を「左翼の地域乗っ取り策」「市民自治は国を壊す」などと敵意を剥き出しにしていた。こうした露骨な国家主義的な政治主張を実現するために、地方議員の陣営にも深々と浸透しているわけである。
 来春の統一地方選挙に向けて彼らの策謀を徹底的に暴き、この反日・反市民自治の活動におめおめと屈したような議員は叩き落とさなければならない。

高野孟 ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。


安倍元首相銃撃で見えた 統一教会の実態
旧統一教会の闇が暴かれるほど山上容疑者に同情が集まり…拘置所に相次ぐ「現金」差し入れ
                          日刊ゲンダイ 2022/08/24
「徹也から19日に段ボールが届いた。拘置所にいっぱい差し入れがきているみたい。なんせお金が多いらしい。段ボールには、お菓子やマンガ本が入っていた」
 こう語るのは、安倍元首相の銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者(41)の伯父(77)だ。
 奈良地方検察庁は先月25日、山上容疑者を奈良西署から大阪拘置所に移送。現在、責任能力の有無や程度を調べる鑑定留置を行っている。山上容疑者は犯行動機について、「統一教会によって人生と家族がめちゃくちゃになった」と供述。家庭が旧統一教会に崩壊させられたことが明らかになり、あらためて旧統一教会の闇がクローズアップされることになった。
 事件発生からすでに50日近く経つというのに、メディアは連日のように、旧統一教会の霊感商法や政治家との関係を追及。「全国統一協会(教会)被害者家族の会」や「全国霊感商法対策弁護士連絡会」には、元信者や被害者家族からの相談が殺到している。旧統一教会の実態が明らかになればなるほど、山上容疑者に対する世間からの同情が集まっているようだ。

■伯父が振り返る「父親代わり」の過去
 山上容疑者の父親は1984年に自殺。以来、次男の山上容疑者が、小児がんを患う1つ年上の兄と4歳下の妹の面倒を見てきた。山上容疑者の母親(69)は、父親の生命保険6000万円を子どもたちに一切残さず、すべて旧統一教会に献金。兄は将来を悲観して自殺し、山上容疑者は金がなくて大学受験すらできず、妹は奨学金をもらいながら高校、大学を卒業した。
 大阪府内に住む伯父が振り返る。
徹也の父親が自殺してからは、徹也父親代わりだった。兄と妹が統一教会の影響を受けないよう、ガードしていた。兄と妹が生活に困っている姿を見て、自分の生命保険を渡してやりたいと思い、受取人を母親から兄に変更して05年に自殺未遂を図った。徹也は母のことでずっと悩み苦しめられてきた。母親はこれからもずっと統一教会にいるでしょう」
 山上容疑者が14歳の時、母親は実父に包丁を突き付けられ、「脱会しろ」と迫られたが、結局、首をタテに振ることはなかった。母親は事件から1カ月経った7日、身を寄せていた伯父宅を離れ、旧統一教会のコントロール下に戻った。
 山上容疑者と似たような環境で育てられた「2世」は多い。容疑者への同情が集まれば集まるほど、社会の闇の深さを物語る。