2022年8月7日日曜日

各国の運動 廃絶への力 原水爆禁止世界大会 国際会議

 原水爆禁止世界大会2日目の5日、前日から続く国際会議のセッションIIIIIで、核威嚇や核軍拡を許さない世界各地の運動を交流し、さらに発展させようと話し合われました

 原水協の安井正和事務局長は、核兵器禁止条約に背を向ける岸田政権を批判し、「世論調査で7割を超える日本国民が同条約参加を求めており、条約参加を求める署名運動を大きく広げよう」と決意を述べました
 国際会議で共産党の緒方靖夫副委員長は、締約国会議が再確認したように、核兵器禁止条約はNPTを補完するものでNPT再検討会議が、NPTと核兵器禁止条約の二つの条約を核兵器廃絶に向かう「車の両輪」として前進させる成果をあげるよう強く要請しようではないかと訴えました。
 爆心地から150mのところにある元安橋では、時折雨の降るなか広島、東京、埼玉、愛知、沖縄から来た高校生や中学生約40人が道行く人に核兵器禁止条約の署名に協力を呼びかけました。
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各国の運動 廃絶への力 原水爆禁止世界大会 国際会議
                        しんぶん赤旗 2022年8月6日
 広島市で開かれている原水爆禁止2022年世界大会は5日、前日から続く国際会議のセッションII「平和の国際ルールと核兵器禁止・廃絶―運動の役割」と、セッションIII「核兵器禁止・廃絶とアジアの平和・安全」で、核威嚇や核軍拡を許さない世界各地の運動を交流し、さらに発展させようと語られました。
 ベルギーの「平和」グループのルド・デブラバンデルさんは、ロシアのウクライナ侵略で、欧州に核兵器を含む軍事強化の動きがある一方、欧州市民が核軍縮を求め圧力をかけていると紹介し、「危機にもチャンスはある」と訴えました。
 原水爆禁止日本協議会の安井正和事務局長は、核兵器禁止条約に背を向ける岸田政権を批判。「多数の声は日本を変える力になる」として、世論調査で7割を超える日本国民が同条約参加を求めており、条約参加を求める署名運動を大きく広げる決意を述べました。
 核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)オーストラリアのティルマン・ラフさんは、核実験被害者の声や被害の科学的・医学的根拠を広げるなかで核兵器禁止条約への国民的な強い支持が生まれていると強調。総選挙・政権交代で条約支持の労働党政権が発足し、米国の同盟国であるオーストラリアが、条約に参加する「現実的な見通しが、生まれている」と語りました。
 ベトナム友好組織連合多国間関係次長のグエン・チー・ツェンさんは、東南アジア諸国連合(ASEAN)の諸国が6月、核兵器・大量破壊兵器のない東南アジアを堅持するため協力して取り組むことを確認したと説明。平和な世界の実現へ向けて「国連憲章を含む国際法の尊重と順守を要求することが不可欠」だと述べました。
 「平和の国際ルールと戦争、核兵器廃絶―ウクライナ危機を考える」と題したテーマ別集会では、ロシア・ウクライナ両国の反戦活動家らが、ロシアの侵略戦争の悪影響について報告し、支援を訴えました。
 国際会議で、日本共産党の緒方靖夫副委員長が発言しました。


原水爆禁止世界大会国際会議
二つの条約(核禁条約とNPT)で核兵器廃絶に向け前進を 緒方副委員長の発言
                        しんぶん赤旗 2022年8月6日
 日本共産党の緒方靖夫副委員長(原水爆禁止2022年世界大会共同議長)は5日、広島市で開かれた大会の国際会議に出席し、会場から発言しました。全文を紹介します。
 本大会は、核兵器禁止条約の第1回締約国会議成功の後に開催されています。その政治宣言は、「核兵器は、平和と安全を守るどころか、無数の生命、社会、国家を破壊し、地球規模の破滅の危険性に基づく核抑止論の誤りを浮き彫りにした」と明言しています。
 宣言の結びに「われわれは、最後の国が条約に参加し、最後の核弾頭が解体・破壊され、地球上から核兵器が廃絶されるまで、休むことはない」と決意を表明しています。
 われわれの大会が長年世界に発してきたのと同じ訴え、同じ決意が世界の一連の政府により表明されたことは画期的です。核兵器をめぐる国際政治の新たな到達点を示しています。これは、ウクライナで戦争が続き、侵略国ロシアが核兵器使用を公言しているもとで、NPT(核不拡散条約)再検討会議を前にして表明された重要な出発点であります。
 ロシア、米国、中国、仏、英はこの十年来、P5(五つの核保有国)グループとして共同行動し、NPT6条の核軍縮義務に背をむけ、それぞれ核戦力強化をすることでは完全に一致しています。
 ウクライナをめぐって激しく対立していた今年1月にも、P5は共同声明を出し、「核戦争に勝者はなく、決してそのたたかいはしてはならない」と述べました。そのための行動が厳しく求められています。P5は「核保有国間の戦争を回避し、戦略的リスクを低減する」とは言うものの、核戦争を回避する確実・唯一の道である核兵器廃絶に進むことについては拒否し続けています。
 P5の横暴を抑え、核軍縮、さらに核兵器廃絶への道を拓(ひら)くには、核兵器禁止条約の国際的規範性を高めることです。この条約は国際政治の現実として重みを増しています。
 それは、P5が条約について非現実的で有害であると当初投げつけた非難を繰り返せなくなったことにも示されています。また、締約国会議に米国の同盟国の5カ国もオブザーバー参加し、建設的に議論したことにも示されています。
 締約国会議が再確認したように、核兵器禁止条約はNPTを補完するものです。NPT再検討会議が、NPTと核兵器禁止条約の二つの条約を核兵器廃絶に向かう「車の両輪」として前進させる成果をあげるよう強く要請しようではありませんか。
 ここ被爆地広島から、ニューヨークに、ウクライナに向け、大会の声を力強く発信していきましょう。


高校生が核禁署名 広島 政府に批准求め行動
                        しんぶん赤旗 2022年8月6日
 全国各地の高校生平和ゼミナールなどで活動する高校生らが5日、広島市内で日本政府に核兵器禁止条約への批准を求める署名活動をしました。
 爆心地から150メートルにある元安橋で、時折雨の降るなか広島、東京、埼玉、愛知、沖縄から来た高校生や中学生約40人が道行く人に署名の協力を呼びかけました。家族連れや、制服の学生らが立ち止まり、約1時間で327人の署名が集まりました。
 署名行動が初めてでなかなか呼びかけられなかった高校生もいましたが、署名した人から「がんばってください」との声に励まされ、「核兵器禁止条約の署名をお願いします」と訴えていました。
 参加したAさん(中学2年生)は、「思ったより署名してくれる人がいたのでうれしい」と話しました。
 署名は高校生らが昨年から始めたもので、約1万人分が寄せられており、近く外務省に提出する予定です。


核兵器禁止条約批准の署名を集める高校生らと応じる人=5日、広島市