国会議員の統一教会との関係については、各TV局が盛んに取り上げていますが、統一教会が地方議員も標的にして浸食していることも知られているところです。今のところは国会議員で手一杯のためまだそこまで手が回らないのでしょう。
NEWSポストセブンが、西日本在住の現職地方議員・M氏(40代)にインタビューして旧統一教会とはどのような関係だったのかについて報じました。
M氏は、騒動が起きるまでは家庭連合など旧統一教会系関連団体の催しや会合に出席したことを、自身のブログやSNSで堂々発信していましたが、現在はそれらの過去の投稿をすべて消しています。
そしてNEWSポストセブンの追及に対して、「じゃあ、あなたの親族が犯罪者だからといって、あなたまで悪く言われたらどうですか?」と反論したということです。Mさんの本心を述べたものでしょう。
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いまだに「旧統一教会の支援なくして当選はない」と考える議員は少なくない
森鷹久 NEWSポストセブン 2022/08/28
編集者、執筆家 元番組制作会社、出版社社員
衆議院議員もつとめたことがある自民党会派の帯広市議が、国際勝共連合や旧統一教会との関係を問われ、自分のまわりで霊感商法なんて話は聞いたことがないし、今後も選挙支援のお願いをすると取材に答えた様子が報じられた。全国ニュースとして取り上げられたそれに対し、反発する反応が多かった。だが、同じように考えている地方議員が実は多いのかもしれない。ライターの森鷹久氏が、地方議員の本音についてレポートする。
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「じゃあ、あなたの親族が犯罪者だからといって、あなたまで悪く言われたらどうですか?」
筆者の取材に、少し興奮気味に応じたのは、西日本在住の現職地方議員・M氏(40代)。実はM議員、騒動が起きるまでは、家庭連合など旧統一教会系関連団体の催しや会合に出席したことを、自身のブログやSNSで堂々発信していた。だが現在は、それらの過去の投稿をすべて消している。冒頭の言葉は、旧統一教会とはどのような関係だったのかという筆者の質問への答えだった。
これまでM議員は、筆者以外から旧統一教会との関係を指摘されたことはないという。このところ続いている、似たような指摘を受けた国会議員たちの弁明はたいてい「旧統一教会の関連とは知らなかった」「今後は、関係を絶っていきたい」というものだ。しかしM議員は「統一教会との認識はあった」と認めつつ、関係があったというだけでなぜ責められなければならないのかと怒りの口調で続けた。
「そりゃもう、初めて選挙に出たのが十数年前で、その直後くらいから、彼らはいろいろ手伝ってくれましたよ。私は自民党ではない無所属の立場ですから、選挙活動を手伝ってくれる人探しが大変でした。そんなときに知り合ったのが彼らなんです。最初は、子供さん関連のイベントに呼ばれて行ったところ、そこに参加していた人たちのなかに(旧統一教会の)会員さんがいて、それで知り合いました。イベント自体は、市とか自治体がやっていたんじゃなかったか……」(M議員)
関係の端緒についてはうろ覚えらしいが、旧統一教会メンバーとの「出会い」を語るM氏。その後、選挙期間以外での辻立ちや会合にも、複数の教会メンバーがやってきては、M氏の身の回りの世話を率先してやってくれたと話す。
「選挙に出るというのは本当に大変で……。特に、何の後ろ盾もなく立候補し何度も落選した私にとって、浪人期間に選挙期間以外でも手伝ってくれる人材というのは本当に貴重なんです。もちろん、教会の人という認識はあったが、熱心なボランティアさんだし、ポスター貼りもビラ配りも一生懸命やってくれる」(M議員)
議員の前職は公務員。旧統一教会がかつて世間を騒がせたことも、いわゆる「霊感商法」についても、報道などで見聞きしたことはあったし、問題意識もあった。しかしM議員に言わせれば、ほとんど「M氏後援会」と化した教会メンバー達の言動からは、カルト性や反社会性を感じ取ることはなかったと断言。そして、冒頭のように、筆者に迫ってきたのである。
そして、M議員に近しい非教会員の後援者によれば、この騒動の最中、M議員はこっそり教会員達に「こんな騒動に負けないで、応援している」「マスコミは悪い一面だけにフォーカスする」などの連絡を入れているというのである。SNSから関係ありとうかがわせる記事を削除しておきながら、なぜ水面下で接触しているのかとM議員に改めて話を聞くと、さらに強い口調で独自の見解を述べ始めた。
「あの団体が悪いことをしているというのなら逮捕されるでしょう? でも逮捕されていないんですよ? そりゃ暴力団に選挙活動のお願いをすることはありませんが、教会員さんには今後も、いろいろな形で支援していただきたいですし、応援もしてもらっていますから。自民みたいに、関係性が大きな票田になるならまだしも、私みたいな地方議員までいじめるなんて、そっちの方がおかしい」(M議員)
旧統一教会と政界の関係が社会問題として注目を集めるなか、沈黙を続けたまま関係を維持しようと画策するM議員。もはやM議員が政治家という自身の立場を維持するには、関係を持たずにはいられないのか。
M議員のように、表向きには強く否定せず「世話になっている」「いい人もいる」と、頑なに「教団批判」を避ける人たちは他にもいるようだ。親が旧統一教会の熱心な信者で、自身も二世信者だったという首都圏在住の丸山恭子さん(仮名・40代)が打ち明ける。
「いわゆる泡沫候補、といわれる人たちに多いですね。地元で小さな選挙がある度に立候補するような、ある意味で”ネタ議員”的な人たちの中には、ここぞとばかりに地元にある教会の支部を訪ねたりして、関係を作っていたと聞きます。彼らは、選挙には出るが人も金もない。教会と自民党の関係が崩れた場合、宙に浮いた組織票を狙う人たちはいるでしょう」(丸山さん)
いわゆる常連候補者に対して、うがった見方のようにも思えるが、以前は選挙の手伝いや議員関連のイベントに足繁く通うなどしていた経験が、丸山さんにそう言わせるのか。現在は脱会したというが、今では教義も「なぜ信じていたのか説明できない」と笑って言う。個人や団体の素性を隠して候補者に近づくように指示されることもあった体験から、旧統一教会側のやり方もよくないと思っているが、現在、世間からの厳しい声にさらされている教会員に取り入ろうする議員や候補者は許せないと憤る。
「結局、使えるうちに使おう、いいように消費してしまおう、という魂胆が見え見え。教団が、政界に食い込み日本を乗っ取ろうとしている、なんて言われていますが、私からは逆に見えますよ。教会と関係のあった自民党や立憲民主党などの議員だって同じ。ずっと頼っておいて『知らなかった、今後は手を切る』なんて卑怯すぎませんか」(丸山さん)
かつて選挙活動に加わった体験を持つ丸山さんからは、M議員のような人たちは、熱心にタダ働きしてくれる人たちを手放したくないだけのように見えるということらしい。
安倍晋三前総理銃撃事件に端を発し、与党・自民党と旧統一教会(家庭連合)の関係を大手メディアが追及し続け、今度は、岸田文雄総理との関係まで取りざたされ、落ち着く気配はない。そんな騒動の渦中にあってもなお、政治活動のため、そして票や当選だけのために彼らに近づこう、協力してもらわないと議員を続けられないと本気で考えている人たちがいる。政策を実現したくて議員を目指すのが本来だろうに、議員を続けるための手段のほうが彼らは重要らしい。当選するための手段ばかり、大事にするような候補者が議員になるような選挙制度について、真面目に向き合うときがきているのではないか。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。