2022年8月17日水曜日

17- ウクライナ軍はザポリージャ原発を攻撃し始めた/アムネスティの報告書が 

 このところの報道からも明らかなように、ゼレンスキーはロシア軍の管理下にあザポリージャ原発を攻撃し始めました。国内では治安機関SBU(ウクライナ保安庁)やウクライナ国家警備隊(アゾフ連隊など)を使った弾圧と専制恐怖政治が行なわれています。
 櫻井ジャーナルが伝えました。
 また先にアムネスティは、ウクライナにおける戦闘で市民を危険に晒す戦術をウクライナ軍が採用していると批判する報告書を発表しました。要するに人民を盾にして軍を守るという戦闘の仕方を批判したものですが、それはウクライナに取って大いに不快なものだったので、アムネスティに相当な圧力が掛かったと見られ、アムネスティは自分たちが発表した報告書を外部の「専門家」に検証させることにしたということです。この種のことに捏造はあり得ませんが、外力の加わり方によってはどうなるのか分かりません。
 櫻井ジャーナルの記事「ネオコンにとって不快なアムネスティのウクライナに関する報告書が検閲に回った」を併せて紹介します。 
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ゼレンスキー大統領の予告通り、ウクライナ軍はザポリージャ原発を攻撃し始めた 
                         櫻井ジャーナル 2022.08.17
 ウクライナのザポリージャ原発は3月中旬からロシア軍の管理下にあり、ロシア軍の兵士がいるのだが、その兵士を攻撃するとウォロディミル・ゼレンスキー大統領は公言していた。つまり、ザポリージャ原発を攻撃すると言っていた​のである。その発言通り、ウクライナ軍はイギリスで開発された兵器、空対地ミサイル「ブリムストーン」や「M777榴弾砲」で原発を攻撃している。この原発には6つの原子炉があり、それらが破壊された場合、その被害はヨーロッパやロシアだけではすまないだろう。
 ロシア軍が2月24日にウクライナに対する軍事作戦を始めた直後、ゼレンスキー政権の内部にもロシア側と話し合おうとした人たちもいたのだが、これは同政権に張り巡らされたネオ・ナチ人脈、そしてアメリカやイギリスの支配層が受け入れない。
 キエフ政権の治安機関SBU(ウクライナ保安庁)は2014年2月にクーデターが成功した直後からCIAの強い影響下にあるが、その治安機関は​ロシアと話し合いで問題を解決しようと考える人びとを処分​してきた。例えばルガンスクのボロディミル・ストルク市長は3月1日に誘拐され、拷問された上で胸を撃たれて死亡。3月5日にはロシアと交渉しているチームのひとり、デニス・キリーエフがキエフの路上でSBUの隊員に射殺され、3月7日にはゴストメル市長だったのユーリ・プライリプコの死体が発見された。ウクライナでは11名の市長が行方不明だとも言われている
 SBUのチームによる「国賊狩り」も宣伝されているが、これはウクライナ国民を恐怖させ、命令に従わせることが目的だと見られている。4月21日にはウクライナの南部にある​ミコライフ州のビタリー・キム知事が「ウクライナ24テレビ」の番組に登場、「全ての裏切り者を処刑する」と語った。そうした処刑を実行するための秘密部隊を編成、すでに作戦を遂行しているともいう
 こうした「死の部隊」はロシア軍が作戦を始める前から指摘されていた。ウクライナの政治家、2013年にアメリカがクーデターを計画していると議会で警鐘を鳴らしていたオレグ・ツァロフが2月19日に​緊急アピール「大虐殺が準備されている」を出しているが、その中でそうしたことが指摘されているのだ。
 そのアピールによると、キエフ政権の軍や親衛隊はドンバス(ドネツクとルガンスク)を制圧し、自分たちに従わない住民を「浄化」しようとしている、つまり皆殺しにするとしている。この作戦と並行してSBUはネオ・ナチと共同で「親ロシア派」、つまりロシアと戦おうとしない人びとの粛清を実行することにもなっていたという。
 軍事作戦を始めた後、ロシア軍はアメリカが設立した生物兵器の研究開発施設や司令部でウクライナ側の文書を回収している。そうした文書の中に、ゼレンスキーが出した指示に基づき、親衛隊のニコライ・バラン上級大将が1月22日にドンバスへの攻撃を命令する文書へ署名、攻撃の準備が始まったことが書かれている。2月中に準備を終え、3月に作戦を実行することになっていたとしている。これが事実なら、その直前にロシア軍は動いたことになる。
 ゼレンスキー政権は支配下にある国民への締め付けを強め、原発に対する攻撃のような危険な行為を行なっている。リチャード・ニクソンは他国にアメリカが何をしでかすかわからない国だと思わせれば自分たちが望む方向へ世界を導けると考え、イスラエルのモシェ・ダヤン将軍は狂犬のように思わせなければならないと語ったが、ゼレンスキーも似たことを考えているのかもしれない
 ル・フィガロ紙の特派員、ジョージ・マルブルノはウクライナでの取材に基づき、アメリカ陸軍のデルタ・フォース(第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊)やイギリス陸軍のSAS(特殊空挺部隊)が当初からウクライナでの戦闘に参加している事実を伝えている。
 それだけでなく、2013年11月から14年2月にかけてのクーデターを仕掛けたバラク・オバマ政権はクーデター後、キエフへCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込み 、​傭兵会社「アカデミ(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名もウクライナ東部の作戦へ参加させた 2015年からCIAはウクライナ軍の特殊部隊をアメリカの南部で訓練し始めた​ともいう。
 ウクライナの特殊部隊はクリミアにあるロシアの軍事施設に対する破壊活動を始めたようだが、この作戦にもCIA、デルタ・フォース、SASなどが協力しているだろう。


ネオコンにとって不快なアムネスティのウクライナに関する報告書が検閲に回った 
                         櫻井ジャーナル 2022.08.16
 ウクライナにおける戦闘で市民を危険に晒す戦術をウクライナ軍が採用していると批判する報告書を人権擁護団体のアムネスティは8月4日に発表した。学校や病院を含む住宅地にキエフ政権側の武装勢力が軍事基地を建設、そうした場所から攻撃することで住民を危険な状態にしていると批判したのだ。現地で取材しているジャーナリストや住民らの証言と合致していることから信憑性は高い
 しかし、その報告書は西側の支配層を怒らせるような内容だった。そこでアムネスティへは強い圧力がかかったと言われている。言うまでもなくアムネスティは巨大な組織であり、それなりの資金を集める必要がある。イギリスの国際開発省、欧州委員会、アメリカ国務省などの各国政府機関、アメリカのアムネスティはロックフェラー財団やフォード財団からも資金を得ている。
 民主主義や人権を掲げる団体のスポンサーとして適切とは思えない組織、団体が名を連ねている。投機家で体制転覆家でもあるジョージ・ソロスと緊密な関係にあるヒューマン・ライツ・ウォッチに比べるとマシだとは言われているが、問題は小さくない
 有力メディアでも言えることだが、大口の資金源はそれなりの影響力を持っている。組織へ直接及ぼす影響だけでなく、その組織に圧力を加えることができる外部の組織などを通じても圧力を加えてくる。アムネスティはこうした圧力に屈したようで自分たちが発表した報告書を外部の「専門家」に検証させるという。有り体に言うなら「検閲」に回したのである。
 西側の有力メディアがCIAにコントロールされている実態は1970年代から指摘されていた。例えば、ワシントン・ポスト紙の記者としてウォーターゲート事件を取材したことで知られているカール・バーンスタインはリチャード・ニクソン大統領が辞任した3年後の1977年にワシントン・ポスト紙を辞め、「CIAとメディア」という記事をローリング・ストーン誌に書いている。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977)
 ジャーナリストのデボラ・デイビスが書いた『キャサリン・ザ・グレート』もCIAによるメディア支配の一端を明らかにした。第2次世界大戦が終わって間もない1948年頃にアメリカでは「モッキンバード」と呼ばれる情報操作プロジェクトがスタートしているというのだ。
 そのプロジェクトを指揮していたのは4人で、第2次世界大戦中からアメリカの破壊活動を指揮していたアレン・ダレス、ダレスの側近で戦後に極秘の破壊工作機関OPCを率いていたフランク・ウィズナー、やはりダレスの側近で後にCIA長官に就任するリチャード・ヘルムズ、そしてワシントン・ポスト紙の社主だったフィリップ・グラハムだ。(Deborah Davis, “Katharine the Great,” Harcourt Brace Jovanovich, 1979)
 1980年代以降、有力メディアとCIAとの関係は強化され、気骨あるジャーナリストは排除されてきた。そうした状況に拍車をかけたのが「規制緩和」だ。それによってメディアは寡占化した。今ではメディアの9割程度を6つのグループが支配している。
 つまり、COMCAST(NBCなど)、FOXコーポレーション(FOXグループなど)、ウォルト・ディズニー(ABCなど)、VIACOM(MTVなど)、AT&T(CNN、TIME、ワーナー・ブラザーズなど)、CBSだ。日本では電通をはじめとする巨大広告会社によるメディア支配が指摘されているが、情報機関の手は日本のマスコミの内部にも伸びている。
 そうした中、権力犯罪の内部告発を支援してきたのがウィキリークスだが、その創設者のひとりで看板的な存在であるジュリアン・アッサンジは2019年4月11日、イギリスの警察に逮捕され、イギリス版グアンタナモ刑務所と言われているベルマーシュ刑務所へ入れられた。彼はオーストラリア人であり、活動の拠点はヨーロッパだった。そのアッサンジをイギリスの司法当局はアメリカの当局へ引き渡そうとしているのだ。アメリカへ引き渡された場合、アッサンジには懲役175年が言い渡される可能性がある
 アッサンジへの弾圧が正当だと認められたなら、アメリカの権力犯罪を明らかにしたジャーナリストは国籍や活動拠点に関係なくアメリカの私的権力が報復できることになる。アムネスティにもそうした私的権力の力が及んだということだろう。世界規模で「事実」は瀕死の状態にある