2022年8月25日木曜日

「第7波」在宅死続発 救急搬送先みつからない 5時間後に父は(しんぶん赤旗)

 WHOがまとめた今月21日までの1週間の新型コロナウイルスの新規感染者数は日本が5週連続で世界最多り、まだ減勢を示していません。

 死者数2週連続で世界で2番目のレベルです日本の死者数は23日317人、24日301人と、既に第6波のピーク277人を上回わっています。まだ減勢を示していないので今後も同じ増勢を維持しどこまで増えるのか分かりません。
 第6波では死者数がほぼ50人/日に収まるまでの3ヶ月間に10,605人の死者を出しているのに対して、第7波では7月14日以降の41日間で6,366人の死者を出しています。第6波の死者数を大きく上回るのは間違いありません。
 既に入院ができずに自宅死するケースが続出し、折角救急車が来ても受け入れる先の病院が見つからないまま亡くなるケースも出ています。
 要するにこれまで通りのコロナ無策の繰り返しで医療は崩壊していて、重篤な症状に陥っても入院先がないという悲劇が、いまもそっくり繰り返されているのです。
 しんぶん赤旗が「2022 特報」で報じました。
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2022 とくほう・特報
「第7波」在宅死続発 救急搬送先みつからない 5時間後に父は・・・
 教える命教えない
                       しんぶん赤旗 2022年8月24日
 新型コロナウイルス感染「第7波」の大爆発で医療提供体制が崩壊状態となり、高齢者など基礎疾患のあるコロナ患者が入院できないまま自宅で亡くなる事案が続発しています。
                                   (内藤真己子)
 東京都台東区の隅田川に近い路地。遠ざかる救急車のサイレンを聞きながら早苗さん(57)=仮名は4週間前のことを振り返り、絞り出すように話しました。「父は救急車の中で独りぼっぢのまま逝ってしまった。あってはならない残酷な出来事です」

80件以上連絡
 父親の正雄さん(88)=仮名がコロナ陽性と分かったのは7月25日午後3時すぎ。かかりつけ医の定期往診時に40度の熱があり抗原検査をしました。救急要請し、救急隊と診療所が80件以上の病院に連絡しましたが搬送先が見つかりません。5時間後、車内で息を引き取りました。
 認知症を患う正雄さんは寒暖の感覚がマヒしており介護する妻(83)がを離すと夏でも重ね着して、よく熱中症になりました。4日前から発熱しても咳(せき)はなく、妻は熱中症と考え体を冷やし様子を見ていました。熱はいったん下がりましたが再び上がり、25日はから食事がとれないほどでした。
 救急車が到着したとき血中酸素飽和度は80%台で重い中等症。濃縮酸素を投与しても呼吸不全は改善せず、時間が経過するにつれ救急隊に緊張が走ります。「命が危ない」。救急隊貝に要請され診療所の看護師長は医師の指示を得て応急処置にあたりました。同部長(60)は語ります。
 「薬剤投与しようと手足血管に点滴針を刺しました。でも脱水状態が激しくて、できません。解熱剤の座薬を入れるのがやっとでした早く病院に搬送できれば、太い血管(中心静脈)から点滴ルートをとって投薬治療ができました。酸素も高流量の投与が可能です。明らかに結果は違っていた。残念です」

困難事案最多
 午後8時5分、救急車は自宅近くで動かないまま、正雄さんは心肺停止になりました。「コロナ肺炎で呼吸不全が急激に悪化し急性心不全も起こしたと考えられます」と師長。正雄さんには心房細勣の基礎疾患がありました。ワクチンは未接種でした。
 新型コロナの1日当たり新規感染者は連日のように25万人を超え、過去最多レベル。なかでも70代以上の高齢者の割合が上昇しています。病床使用率は高止まりし全国的に5割を超える地域が増加、「救急搬送困難事案」は連続で過去最多です。
 新型コロナによる1日の死者数は23日に343人と過去最多を更新。厚生労働省アドバイザリーボード(18日)は「さらに増加することが懸念される」と警告しました。
 同資料では70歳以上の致死率が上昇。深刻な医療崩壊が起こり重症化リスクの高い高齢者が必要な医療を受けられず命を落としています。

向く方向違う
 先の正雄さんは戦後14歳で山梨から上京、30代で江戸前天ぷらの店を出しました。「父の天ぷら、おいしかったんですよ。穏やかで父が大好きでした」と早苗さんは涙をぬぐいます。「国は、高齢者はコロナで亡くなっても仕方ないと思っているように感じます向いている方同が違う。ベッドが足りないなら臨時施設をつくって入院させてほしい。医療従事者も増やしてほしい

入院できれば
 東京都大田区のある病院でも今月上旬コロナに感染した患者が入院できず、自宅療養中に死亡しました。心不全や糖尿病の持病がある91歳の男性です。
 男性は心不全の治療のため入院することになり8月1日、入院前のPCR検査でコロナ陽性と分かりました。同病院のコロナ病床は満床。一般病床ではクラスターも発生し、入院できません。他の病院でも入院できず自宅療養になり、経口投与の抗ウイルス薬が処方されました
 3日後の8月4日正午すぎ、同居の家族が男性の異変に気づきました。朝はおかゆを口にできた男性の意識がなくなっていました。血中酸素飽和濃度は一気に90%以下に。家族の通報で十数分後に救急隊が到着すると心肺停止の状態でした。
 同病院の総看護師長(42)は振り返り 語ります。「陽性が分かったときにすぐに入院できていれば重症化予防の治療ができました。もちろん予定していた心不全の治療もできたし、コロナによる血栓の予防もできました。こんなに短期間で命を落とすことはなかった。いま医療機関は感染大爆発による患者の激増のなか、市中感染により感染する職員が増加、クラスター発生も相津って機能がマヒしています。救える命が救えません

経済最優先の政治重いツケ

災害級の崩壊
 首都圏の救急病院で働く医師で、日本共産党東京都委員会コロナ対策本部長の
谷川智行氏の話
 医療現場はコロナだけでなく救急医療を中心に一般医療も災害級の崩壊状態です。岸田政権はこの事態を国民に正確に知らせ、感染拡大防止の抜本的な対策をとるべきです。情報弱者の高齢者は医療にアクセスしにくく、検査や治療が遅れる人が多い。政府は高齢者など重症化リスクのある人がしっかり医療が受けられる仕組みを至急構築するべきです経済を回すぶとが最優先で高齢者は命を落としても仕方がないという政治は到底許されません