現代ビジネスに「元信者が明かす統一教会関連団体の驚きの実態 ~ 」という記事が載りました。
まず統一教会が100以上の関連団体を持つということに驚きますが、そうした緩やかな組織にからめとられた人間のうち慈善活動に熱心な人たちが、最終的に「献金」に誘い込まれる経過が語られています。
元・統一教会信者の30代女性のMさんは韓流タレントのファンで、06年に韓国にあったあるファンサークルに入りました。09年に済州島のビーチにあるキャンプ場で約1ヵ月の語学留学(費用約60万円)に参加し、その後もさらに2回 語学のレッスンで渡韓して初歩的な韓国語を覚え、韓国での平和イベントを手伝い、慈善活動に参加するようになりました。
そして14年に活動仲間から「さらに有益な活動を」と頼まれたのが日本での街頭募金で、それは日本人8人でチームを組み、3ヵ月で2億円を達成するという「常識外れ」のものでした。週3度の募金活動をやっても100万円にも届かず、Mさんは貯金200万円を出した他、みんながそれぞれ家族や親戚から金を借りて4000万円ぐらいを集めて上納しました。
そのことでサークルの活動を疑って辞める人も出てMさんも懐疑的になりましたが、抜けたら仲間に悪口を言われると既に自縄自縛に陥っていました。
そもそも街頭募金で2億円を集めるなどということは「到底あり得ないこと」で、本人の身ぐるみを剥いで、更に親戚からも借金をさせるというのが組織の狙いだったとしか思えません。その後Mさんは脱会しましたが、退会書類を書くこともなく口頭で辞めると伝えて関係を終えたということです。
著者の片岡氏は一般に8万人規模と称される統一教会について、「統一教会との関係といっても、その関わり方や関係を築くに至る経緯は千差万別で、教団の裾野は現在言われているよりもさらに広いのかもしれない。~ Mさんも『私のような人は(8万人に)含まれていないはずなので、そんなことはないと思います』と語っている」と述べ、思ったよりも大きな規模の社会問題かもしれないと結んでいます。
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元信者が明かす、統一教会の「関連団体」の驚きの実態…「勧誘手法」「選挙協力」はこうなっていた
片岡 亮 現代ビジネス 2022/08/18
「友好団体」が無数にある
統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と関わっていた政治家が全国的に続々と発覚する中、当の教団は田中富広会長が8月10日に都記者会見をおこなった。
「当法人が霊感商法を行ったことは過去も現在もない」と、巷間、問題視されている点について真っ向から否定し、政治家との関係については「私たちの法人と、友好団体それぞれにおいて関わり方は異なる」と答えた。
実のところ、統一教会で厄介なのが、無数にある「友好団体」に枝分かれしていることだ。何か問題が起きても家庭連合本体の直接的な関与でなければ、「それは統一教会の問題ではない」と言いきられてしまう。多くの政治家が「今後は社会的に問題となる団体とは関係しないようにしたい」と曖昧に答えているのも、その逃げ道を意識したものだろう。
判明しているだけでも100を軽く超える関連団体については、関係があっても「統一教会とは知らなかった」と言い逃れができてしまう。だから決して「関連団体とも一切、関わりを持たない」とは言いきらない。
関連団体は、天宙平和連合や世界平和青年連合、世界日報社、原理研究会など、すでにメディアに主要なものが取り沙汰されているが、それはごく一部にすぎず、ネット上で羅列された数十の団体名もまた氷山の一角である。
問題になっている政治家との絡みも、本体の「世界平和統一家庭連合」と名乗ったもののほうが少ないほどで、全国紙の政治記者からは「ある議員の選挙の応援で入り込んだ信者たちの所属が、インターネットで検索してもまったく出てこない名の新設グループだった」という話も聞かれた。
「入会申請書」も書かない
現在、筆者が直接コンタクトをとっている信者と元信者、十数名も実のところ所属先がそれぞれ違っていて、実にややこしい。一口に統一教会といっても、創価学会のように同じ組織でまとめられているというわけではないのである。
さらに、彼らは一様に「入会申請書」のようなものを書いたことがないとも言っている。
「書面で入会届を書いた話は私も含めて聞いたことがないです。団体によってはそういうのを独自に作っているかもしれませんが、家庭連合としてはそういう仕組みにしていないのでは」
こう話した30代女性Mさんは「元・統一教会の信者」という自覚があるが、「家庭連合」の組織の名前のもとに活動したことはないという。しかし、2017年の衆院選では自民党議員の選挙活動を手伝った経験があり、そこに至る経緯はまた想像もつかないものだった。
彼女は韓流タレントのファンで、2006年に韓国にあったSNS「サイワールド」に登録、そこで知り合った人々の誘いで「ピースワールド」なるファンサークルに入った。これもまた申請書などはなかったが「会費のようなものが寄付という形で毎月5万ウォン(約5150円)必要だった」という。
当初はそれで目当てのタレントの非公開の写真や情報などが得られた。2009年には、Mさんは済州島のビーチにあるキャンプ場で約1ヵ月間の語学留学に参加。韓流タレントが参加しての韓国語レッスンを受けられるというもので、約60万円で参加。「でも、実際に来たタレントは、あまりよく知らない若手俳優と無名の歌手だけだった」という。
「それでも韓国の友達がたくさんできて、レッスン自体も楽しかったんです。その後もさらに2度のレッスンで渡韓して、うち1度は3ヵ月もいて、初歩的な韓国語を覚えることができました」
そこで誘われたのが韓国のテレビ局SBSでも放送された平和イベントの手伝い。Mさんはボランティア・スタッフとしてたびたび、日韓を行き来するようになった。当時の資料を見せてもらうと、イベントの主催者が複数の福祉財団やNGOで、中には人気俳優チ・チャンウクやチョ・インソンが協力していることで知られる団体もあった。
「だから好きな韓流タレントの慈善活動に参加している気分だったんです。でも、参加者の多くが日本人も韓国人も家庭連合の信者だと分かっていきました。でも、すごく純粋でいい人たちばかりなので、抵抗はなかったです。
韓国で知り合った韓国人の年配の方のなかには『日本人は韓国人に過去の罪を償うべきだから韓国のためになることをすべき』みたいなことを、しつこく言う人もいました。日本が悪いっていう歴史の勉強をさせられたことも何度もあって、自分の中でも一時期『韓国人は良い人が多く、日本人は悪い人が多い』みたいな印象が強くなっていたこともありました」
貯金から200万円出す
2014年、Mさんが活動仲間から「さらに有益な活動を」と頼まれたのが日本国内の街頭募金活動だった。
「日本人8人でチームを組まされたんですが、目標の集金額が2億円で、3ヵ月で達成してほしいといわれたんです。でも、週3度の募金活動をやっても100万円にも届かなくて、自分の貯金を200万円出しました。それでも届かないので、みんなそれぞれ家族や親せきからお金を借りて4000万円ぐらい集めて寄付をしたんです」
ここでようやく統一教会の問題となっている高額寄付に行き着くわけだが、霊感商法でもなく、あくまでピースワールドなる団体の平和活動の一環、家庭連合の名は使われていなかった。
「でも、みんな「連合のために」と口々に言っていて、文鮮明や韓鶴子がいかに偉大な人かという話も常々出ていましたし、連合が資金不足だから大変だという話もされました。結局、募金で集めた4000万円の使い道もよく分からないまま、それでサークルの活動を疑って辞める人が出たので、私も懐疑的になっていました。でも、抜けたら仲間に悪口を言われるので、悩んでいる時期がありました」
選挙協力の依頼
そんな中で依頼されたのが選挙の手伝いで、仲間から、
「いま日本と韓国が共産主義国に狙われている。まずは中国が台湾を攻撃し、次が日韓。侵略されたら平和が壊れて、大好きな芸能タレントもみんな徴兵に駆り出されるから、平和を守るために選挙を応援する」
と説明を受けたという。紹介された選挙スタッフを通じて自民党議員の応援に加わり、議員はそこで3選目を果たしたが、最近、統一教会の関連団体に出席していたことなどが分かった人物だ。
「選挙スタッフは全員じゃないですが、中心メンバーは連合関係の信者が手伝っているのは知っていましたよ。私も隠してもいませんでしたし、ピースロードっていう別の関連団体の人々もいて、何者か分からないなんてことはなかったです。手伝いの後にみんなで食事に行ったら、韓流ドラマのファンが多かったのに驚いたこともありました」
その後、Mさんは脱会したが、退会書類を書くこともなく、口頭で辞めると伝えて関係を終えたという。
統一教会との関係といっても、その関わり方や関係を築くに至る経緯は千差万別なのである。
そうなると、逆に教団の裾野は、現在言われているよりも、さらに広いのかもしれない。一部で教会の信者数が8万人程度しかいないとされていることについては、Mさんも「私のような人は(8万人に)含まれていないはずなので、そんなことはないと思います」と語っている。
これは、思ったよりも大きな規模の社会問題かもしれない。