新型コロナ・オミクロン株「BA・5」による感染拡大の「第7波」で、死者が急増しています。7月1カ月間の死者は1304人だったのに対し、8月に入り7日までの死者はすでに1078人に達し、1日当たりの死者数は8月5日の189人に対して8月9日には250人に増加しました。第6波のピークの277人はすぐ追い越す勢いで、最近―週間の死者数で日本はアメリカ、ブラジルに次いで世界第3位です。
「BA・5」が猛烈な感染力を持っていることは知られていますが、その分弱毒化した訳ではなく、従来のオミクロン株に比べ肺で増殖する傾向があり、重症化率そのものが高いという専門家の指摘もあるということです。
岸田政権は深刻化する「第7波」のもとでも「経済活動を止めない」「行動制限は考えていない」と述べるのですが、ではその分、感染抑制、医療体制強化、検査体制強化に努力するのかというと何の対策を出さず、相変わらず成り行きまかせに終始しています。「第7波」にも無為無策で対処するとは甚だしい人命軽視、科学軽視です。
しんぶん赤旗が報じました。
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「第7波」日本の死者急増 7日間の死者数世界3位 無策の政権に批判強まる
しんぶん赤旗 2022年8月10日
新型コロナウイルスのオミクロン株「BA・5」による感染拡大の「第7波」で死者が急増しています。
「BA・5」による感染拡大は7月半ばから本格化。厚生労働省の公表データによると、7月の1カ月間の死者は1304人だったのに対し、8月に入り7日までの死者はすでに1078人に達し、合わせて2382入にのぽります。8月5日には1日当たりの死者数が189人となっています。コロナウイルス感染などに関する世界的統計サイト「ワールドメーター」によると、最近―週間の死者数で日本はアメリカ、ブラジルに次いで世界第3位です。
「第6波」上回る
過去最大の死者を出した「第6波」では、立ち上がりの1月の死者が400人で、2月には14日までの死者だけで1702人に急増しました。現在の 「第7波」では、8月の7日間で1078人という死者数は、「第6波」を上回る勢いとなっており、厳重な警戒が必要です。
7月末から8月第1週にかけてのクラスター(感染者集団)発生件数は過去最多の1324件で、そのうち高齢者福祉施設でのクラスターも過去最多の515件です。
オミクロン株は一般に重症化率は低いと言われますが、高齢者や基礎罠愚のある人では50%程度に高まると言われてきました。実際、「第6波」での死者の9割は70代以上の高齢者に集中しています。各地で高齢者の死亡例の報告が相次いており厳重な注意と対策が必要です。
厚生省の説明では「重症化」は人工呼吸器やエクモ(人工心肺)の使用などを基準にしており、基礎疾患の増悪は重症例ににカウントされません。しかし、専門家は「新型コロナの本質は全身性の炎症性疾患だ」と指摘。コロナ感染で基礎疾患が急激に悪化し死に至るケースが増えており、ここでも厳重な注意と対策が必要です。
しかも「BA・5」は、従来のオミクロン株に比べ、肺で増殖する傾向があり、重症化率そのものが高いとの専門家の指摘もあります。
深刻な医療崩壊
爆発的な感染拡大で医療崩壊が深刻となり、本当に治療が必要な人に医療が提供できない状況があり、その面からも重症化率・致死率の増加が懸念されます。
岸田政権は、刻々と深刻化する「第7波」のもとでも、「経済活動を止めない」「行動制限は考えていない」というばかりで、危機感が全くなく、感染抑制、医療体制強化、検査体制強化のいずれでも対策らしい対策を出さず、成り行きまかせに終始しています。臨時国会を開いてもコロナ対策について何の審議も行っていません。人命軽視、科学軽視の姿勢に国民的批判が強まっています。(中祖寅一)