2022年8月8日月曜日

本当の強さではない価値観の強要(植草一秀氏)/詩「平和への誓い」

 6日に広島市が主催した平和記念式典で、植草一秀氏は、小学6年生の男女2人が暗誦した「平和の誓い」に極めて重要な指摘があったとして、その部分を含む主要な部分を紹介し、その中から

 「本当の強さとは、違いを認め、相手を受け入れること、思いやりの心をもち、相手を
  理解しようとすること」
 「自分が優位に立ち、自分の考えを押し通すこと、それは、強さとは言えません」
を取り上げ、それは「『民主主義の根幹は異なる価値観、思想、哲学の併存を認めること」で「価値観の異なる者の存在を認め、共存を目指すのが民主主義の最重要の価値だ」と高く評価しました。
 そして、ウクライナの事例から獲得するべき教訓は戦争の回避」の重要性で、戦争回避のために必要なことは近隣諸国、諸外国との相互理解、相互尊重、相互信頼の確立であるのに対して、米国は自分の価値観だけ絶対的なものとしてそれ以外の価値観を認めず、それを認めさせるためには武力の行使をも辞さないとの立場であると批判しました。
 以下に紹介します。
 併せて詩「平和への誓い」の全文を紹介します。
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本当の強さではない価値観の強要
              植草一秀の「知られざる真実」 2022年8月 7日
広島への原爆投下から77年がたった8月6日、広島市で平和記念式典が開催された。
広島市の小学6年生の男女2人が「平和の誓い」を読み上げた。
極めて重要な指摘があった。
「私たちには、大切な人がたくさんいます。
大切な人と一緒に過ごす。
笑い合う。
そんな当たり前の日常はとても幸せです。
昭和20年8月6日午前8時15分。
道に転がる死体。
死体で埋め尽くされた川。
「水をくれ」「水をください」という声。
大切な人を一瞬で亡くし、当たり前の日常や未来が突然奪われました。
あれから77年経ちました。
今この瞬間も、日常を奪われている人たちが世界にはいます。
戦争は、昔のことではないのです。
自分が優位に立ち、自分の考えを押し通すこと、それは、強さとは言えません。
本当の強さとは、違いを認め、相手を受け入れること、思いやりの心をもち、相手を理解しようとすることです。」

「本当の強さをもてば、戦争は起こらないはずです。
過去に起こったことを変えることはできません。
しかし、未来は創ることができます。
被爆者の声を聞き、思いを想像すること。
その思いをたくさんの人に伝えること。
そして、自分も周りの人も大切にし、互いに助け合うこと。
世界中の人の目に、平和な景色が映し出される未来を創るため、私たちは、行動していくことを誓います。」

「本当の強さ」とは何か。
子どもたちは
「本当の強さとは、違いを認め、相手を受け入れること、思いやりの心をもち、相手を理解しようとすること」
「自分が優位に立ち、自分の考えを押し通すこと、それは、強さとは言えません」
と述べた。
その通りだ。
本ブログ、メルマガで何度も記述してきた。
岸田首相が口癖のように掲げる「価値観外交」

自由、人権、民主主義、市場経済、法の支配。
価値観を共有する者との連携を深める。
この主張は「価値観を共有しないものとは対決する」との主張であると受け止められる。
しかし、共有する価値観のなかに掲げている「民主主義」はこのスタンスと決定的に矛盾する。
「民主主義」の根幹は異なる価値観、思想、哲学の併存を認めること。
価値観の異なる者の存在を認め、共存を目指すのが民主主義の最重要の価値だ。
ウクライナで戦乱が起こり、日本政府は短絡的に「軍備増強が必要、日米同盟の強化が必要、戦争への備えが必要」と騒ぎ立てる。その姿勢が戦争を呼び込む主因になる。

ウクライナの事例から獲得するべき教訓は戦争の推進ではなく戦争の回避だ。
戦争回避のために必要なことは近隣諸国、諸外国との相互理解、相互尊重、相互信頼の確立だ。
米国は米国の価値観だけが唯一絶対の存在で、それ以外の価値観を認めず、自分たちが保持する価値観を他国に埋め込むためには武力の行使をも辞さないとの立場を示す。
広島市の小学生が述べた
「自分が優位に立ち、自分の考えを押し通すこと、それは、強さとは言えません」
の言葉をかみしめるべきだ。
多様性の時代。
異なる価値観の併存を認めようとしないことが無用な戦争発生の原因になっている。

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「平和への誓い」こども代表【全文】
「自分が優位に立ち、考えを押し通すことが強さではない」
                         広島ニュースTSS 2022/8/6
                                 テレビ新広島
平和への誓い

あなたにとって、大切な人は誰ですか。
家族、友だち、先生。
私たちには、大切な人がたくさんいます。
大切な人と一緒に過ごす。笑い合う。
そんな当たり前の日常はとても幸せです。

昭和20年(1945年)8月6日 午前8時15分。
道に転がる死体。
死体で埋め尽くされた川。
「水をくれ。」「水をください。」という声。
大切な人を一瞬で亡くし、当たり前の日常や未来が突然奪われました。

あれから77年経ちました。
今この瞬間も、日常を奪われている人たちが世界にはいます。
戦争は、昔のことではないのです。

自分が優位に立ち、自分の考えを押し通すこと、それは、強さとは言えません。
本当の強さとは、違いを認め、相手を受け入れること、思いやりの心をもち、相手を理解しようとすることです。
本当の強さをもてば、戦争は起こらないはずです。

過去に起こったことを変えることはできません。
しかし、未来は創ることができます。
悲しみを受け止め、立ち上がった被爆者は、私たちのために、平和な広島を創ってくれました。

今度は私たちの番です。
被爆者の声を聞き、思いを想像すること。
その思いをたくさんの人に伝えること。
そして、自分も周りの人も大切にし、互いに助け合うこと。

世界中の人の目に、平和な景色が映し出される未来を創るため、私たちは、行動していくことを誓います。
                        令和4年(2022年)8月6日
               こども代表 
                広島市立幟町小学校6年    バルバラ・アレックス
                広島市立中島小学校6年  山崎 鈴(やまさき りん)
                      ※山崎さんの崎は「大」が「立」の崎