2022年8月10日水曜日

旧統一協会脱会阻む洗脳 「祝福」名目 金むしり取る 川井康雄弁護士に聞く

 しんぶん赤旗の「2022焦点・論点」のコーナーに、「旧統一協会 脱会阻む洗脳 『祝福』 名目 金むしり取る ~ 」という「弁護士連絡会」事務局長の川井康雄弁護士へのインタビュー記事が載りました。

 3000字弱の短い記事ですが、借金をさせても あるいは家庭が崩壊しても構わないというアコギさで数々の名目で信者から繰り返し「献金」をむしり取るやり方や、協会をやめようとすると脅迫を交えて阻止したり、献金による損害を賠償させようとしても、それは下部の人間が行ったことで「本部の責任ではなく」当人の責任(使用者責任)であると逃げる一方で、議員を取り込んで組織に司直の手が伸びることを防止するなどの醜い実態が明らかにされています。
 彼らはまた正体を隠して組織に勧誘する手口が巧妙で、最近は学生を中心に信者が増えている(原理研究会など)ということです。
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2022焦点・論点
旧統一協会脱会阻む洗脳 「祝福」名目 金むしり取る
全国霊感商法対策弁護士連絡会 川井康雄事務局長に聞く
                        しんぶん赤旗 2022年8月9日
 安倍音三元首相の襲撃事件からカ月。この事件をきっかけに旧統一協会(世界平和統一家庭連合)による被害や政治家との関係が注目されています。霊感商法や多額の献金で大きな被害を生み出している旧統一協会の被害者救済に携わってきた全国霊感商法対策弁護士連絡会の事務局長、川井康雄弁護士に話を聞きました。 (統一協会取材班)

 -被害の実態は?
 旧統協会は正体を隠し近寄ってきます。学生に対してだとCARP(原理研究会)といったダミーサークルです。学生の頃は進路や人生の目的に悩むもの。「一緒に勉強しよう」と勧誘します。特に、学習意欲がある学生は 『統一原理』を、それが宗教団体の教義であるごとを隠されたまま、真剣に理解しようとします。
 既婚女性に対しては訪問販売や、宝石店や絵隔膜に誘うというやり方です。手相見たり、家系図をとったりすることもあります
 夫婦聞の不和など家庭の問題を聞き出し、先祖の因縁と結び付けます。「因縁から解放する」と説明し、物品を買わせるのです。同時に「先祖の勉強をした方がいい」とビデオセンターに連れて行き、「霊界がある」と信じ込ませます。
 入信の前に、誰かに相談できれぱいいのですが、「陰徳積善」といって徳を積むことは人に言うべきではないと□封じをされます。
 入信してからの献金は、定期的なものと特別なものがあります。「祝福」といって教祖が週ぶ相手との結婚が信者の一つの目標になっています。これは140万円。すでに結婚していて、信者になってから改めて祝福を受ける既成祝福、亡くなった人と行う写真祝福などもあります祖が地獄で苦しんでいる」といい、先祖解放献金先祖の祝福献金も。要はお金をむし取るためにいろいろな名目の祝福をつくっています。
 140万円というのは安い方で、聖本」は3000もします。何千万、何億円という被害がざらにありす。旧統一協会はピラミッド構造となっており、ノルマ達成を熾烈に争わせている実態があります。
 実家の売却、遺産、家族の退職金など、信者の財産を献金させます。結果として信者の暮らしは苦しくなります仮に家族が「やめよう」といっても、「そんな不信仰なことを言わないで」とあつれきが生まれます。
 途中でおかしいど思っても、「この道を外れたら地獄に落ちる」などと信じ込まされており、脱会することはながなかできませ

 旧統一協会による被害は、お金以外も深刻です。宗教全般は、心のよりどころになるもので人生に与える影響が大きいのです。正しいと思い、家族や友達、見知らぬ人まで勧誘します。信者にすることが、その人を救うことになると信じているため熱心に勧誘を行い、その結果、被害者が加害者になってしまいます。入ってしまうと、一生を棒に振ってしまうわけです。
 安倍音三元首相の襲撃事件を機に、旧統一協会に関する報道が増えています。カルト全般にある話ですが、「反社会的な存在だ」と報道をされると、協会内ではあえて陰謀論のように脱き、「これも神様が私たちに与えた試練なんだ」と信じ込ませます。正体を隠すといった勧誘の手口も巧妙になります。最近は学生を中心に信者が増えているという話もあります。

旧統一協会と政治家の関り 関係強め摘発逃れ
どんな影響が
 ー政治家が協会とかかわることでどんな影響がありますか。
 旧統一協一会のメディアに出たり、イベントで登壇したり、祝電を送る政治家がいます。それを協会の機関紙などで喧伝(けんでん)します。
 信者からしたら「自分たちが信じていることはやっぱり正しいんだ」と、お墨付きを与えることになります。信仰心がよりあつくなり、新しい信者を誘うモチベーションにつながります。
 さすがに旧統一協会のことを全く知らない政治家はいないと思います。旧統一協会系のイベントに参加し、途中で怪しいと気づき席を立った議員がいると聞いたことがあります。もし知らないのであれば、それこそ問題です。「知らなかった」のではなく目に見える利益があったから近づいたのだと思います。
 2007~09年に捜査当局が旧統一協会の霊感商法を相次いで摘発しました。特に物品販売が旧統一協会の組織活動の一環であると裁判で認定された「新世(しんせい)事件」では協会に家宅捜査が入りました。協会は、よりいっそう政治家とのつながりを強めようという万針を取ります。
 12年に第2次安倍政権が誕生して以降摘発はなくなりました。15年には、長年認められなかった「世界某醤教統一神霊協会」から「世界平和統一家庭連合」への名称変更が認められてしまいました。摘発については、協会側が表面的な対策をうっていることもあるでしょうが、なんらかの政治的圧力があることは否定できないと思います。

被害の対策は
 -被害を出さないための対策は?
 もし身近に旧統一協会に取り込まれそうになっている人がいたら、専門家に相談してください。取り込まれていると気づくポイントはいくつかあります。一つは部屋や倉庫に大きなつぽや、経典が増えたり、通帳からお金が無くなっていたりするとき。二つ目は、他の人を入信させようとするときです。
 悩みや心配が全くないという人が、カルトにはまることはあまりありません。「家族のために」という気持ちから信仰を持たされていることを理解しようとする姿勢が大切です。どんな教義があるのか、どんな悩みがあるのかを、一緒に話し合っていく過程で、自分の頭で考えられるようになり、「必要ないのではないか」と気づけるかもしれません。
 旧統一協会だけに限りませんが、カルト宗教は一度入ってしまうと抜けることが難しいです。入信の前に食い止める必要があります。すでに実施されているところもありますが、学校や大学でカルトがどのような手口で近づくかなどをオリエンテーションするのが効果的だと思います。
 政治家が旧統一協会に関わらないことは最低限必要です。「家庭連合」は旧統一協会だということを伝え、被害を風化させないこと、監視していくことも重要です。
 旧統一協会の責任を認める民事判決が相次いでも、旧統一協会はその多くが「使用者責任」に過ぎないとして協会本体の責任を認めようとしません。それらについて、協会はきちんと反省し、謝罪するべきです。長年にわたり、全国各地で、繰り返し同様の被害が起こっているのですから、旧統一協会が組織的に財産収奪行為を行っていると言えるでしょう。
 第三者委員会などによる公正な調査もしてほしいです。何千万円もの献金をさせて、そのノルマ達成を確認するため、献金に関する記録が残っているはずです。