2018年6月6日水曜日

06- 森友問題 佐川氏が勝手にやったとする破廉恥

 安倍首相は折に触れて「信なくば立たず」という言葉を口にしますが、これほど彼に相応しくない言葉もありません。
 安倍政権が出来てからの政治モラルの退廃は行き着くところまで進み、仮に彼の退陣によってこの風潮が改められるにしても、極めて長時間が掛かるといわれています。
 
 4日に公表された森友学園問題についての財務省の内部調査報告書には、申し訳程度に安倍首相の「私や妻が関係していたなら首相も国会議員も辞める」という国会答弁が載っていますが、それが問題の「切っ掛け」ということではないと麻生氏は述べました。
 結局、辞めた佐川氏にすべての責任を押し付けて幕引きを図るという内容になっています。
 
 最近問題になっている日大の悪質タックル事件、“地銀の雄”スルガ銀行によるシェアハウス向け融資問題、神戸市教育委員会の首席指導主事による「いじめ調査メモ」の隠蔽事件は、みな安倍政権のモラルの退廃につながるものです。
 
「安倍政権が5年も続いたことで、日本は本当におかしくなってしまった。この社会のアベ化』は国の末端まで広がってきた」と、日刊ゲンダイは述べています。
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破廉恥政権の恐るべき幕引き 佐川氏が勝手にやったのか
日刊ゲンダイ 2018年6月5日
 (阿修羅 文字越しより転載)
 佐川宣寿前理財局長が事実上、指示をした――。やはり、予想された通りである。佐川氏にすべての責任を押し付け、巨悪の中心の安倍首相と麻生財務相はのうのうと居座る。これほどの破廉恥政権が過去にあっただろうか。
 
 森友学園への国有地売却に関する決裁文書の改ざんと交渉記録廃棄の問題。財務省が4日にまとめた調査報告書には、背景に「私や妻が関係していたなら首相も国会議員も辞める」という安倍首相の国会答弁があったとハッキリ書かれている。それでも結論は「忖度はなかった」「昭恵夫人は関係ない」なのである
 改ざんについては、佐川氏が「政治家関係者からの問い合わせの記載がある決裁文書は外に出すべきでない」と部下に指示したからと断定。廃棄については、佐川氏が「交渉記録はございません」と国会で答弁したため、部下が記録を廃棄するよう指示されたと受け止めたと決めつけた。佐川氏本人は「指示」を否定しているのに、結論ありきの恐るべき幕引きだ。
 
 内部調査のお手盛りだからだろう、報告書とともに出された関係者20人の処分も一般の感覚では、「歴史を書き換える重大“犯罪”でこの程度?」という内容だ。佐川氏が最も重い3カ月の停職処分相当で、退職金4999万円から513万円の減額。次いで理財局総務課長が停職1カ月の懲戒処分。あとは当時の次官ら3人が減給10%から20%、残り15人が戒告。トップの大臣は閣僚給与1年分(170万円)の自主返納のみ。大金持ちの麻生にとっては痛くもかゆくもない。
 
最大の目的は安倍首相や麻生財務相の政治責任をウヤムヤにすること。その筋書き通りに進んでます。理財局の刑事責任が焦点のように見せかけることで、政治責任から国民の関心をそらした。結局、検察は佐川氏らを不起訴としましたが、財務省の調査は佐川氏の責任と結論付け、安倍・麻生両氏は何の責任も負わない。あまりに茶番です」(上智大教授の中野晃一氏=政治学) 
 わずか15分間、記者会見をした麻生は、「嫌々ながら会見をしてやっている」という空気が漂う酷い態度だった。
 発言もデタラメ。「改ざんが日常的、全省的に行われていたわけではない」と組織ぐるみとの見方を否定したが、改ざんだけでも300カ所以上という膨大なものだ。文書管理を所管する官房部署が全く知らなかったのかという疑問もあるし、これだけの“大仕事”なのに全く報告を受けていない大臣は自ら「無能」と言っているようなもの。
 そのうえ、最大の焦点である改ざんや廃棄のそもそものきっかけについて問われると、ニヤニヤしながら「それが分かれば苦労しない」「正直分からない」と開き直ったのにはア然である。
 
安倍首相の“同志”だった愛国小学校への便宜が原点 
 麻生の後に会見した財務省の矢野康治官房長は、改ざんの動機について「忖度を挙げた職員はいなかった」と言っていた。だが考えてもみて欲しい。今の安倍政権で、それも内部による調査で、「忖度があった」なんて言えるわけがない。
 報告書には、背景に「私や妻が関係していたなら首相も国会議員も辞める」という安倍首相の国会答弁があったと書いてあるのだ。この答弁を受け、佐川氏は慌てて交渉記録に昭恵夫人の名前があるかどうかを確認させている
 加えて、財務省が「昭恵隠し」に躍起になった様子もありありだ。安倍の答弁から5日後に、財務省は昭恵夫人付職員から照会を受けたことがあると官邸に耳打ちしているし、決裁文書からは、森友学園側が「夫人からのお言葉」だとして伝えた「いい土地ですから、前に進めて下さい」など、昭恵夫人が登場する5カ所の記述が全て削除されているのである。
 
 改めて原点に戻ろう。森友問題とは、国有地がタダ同然にまで8億円も値引きされ、その“便宜”の背景に安倍夫妻が関わっているのではないかという疑惑だ。時代錯誤の教育勅語を暗唱させる戦前回帰教育の学園が、「安倍晋三記念小学校」の名で建築費の寄付金を募り、その“愛国”小学校の名誉校長に昭恵夫人が就いていた。それはまさに、安倍や、安倍を支える右翼団体「日本会議」が理想とする学校であり、それを推し進める籠池前理事長は問題が発覚するまでは、安倍の同志だった。つまり、森友問題とは安倍夫妻による行政の私物化なのである
 官邸ぐるみの国家犯罪なのに、身内に調査させ、部下に責任を押し付けるとは、安倍首相も麻生財務相も、チンピラ以下の恥知らずだ。
 
「かつての官僚主導から政治主導を強く打ち出す流れの中に、安倍官邸の『1強』や安倍首相の『最高責任者は私』という発言があるはずです。ところが、いざ問題が起こると政治家は責任を取らず、官僚に押し付ける。権限と責任はセットです。官僚の好き勝手が進んだ55年体制下で、責任の所在を明確にするために官邸や政務3役の権限を強化したのです。それなのに、権限だけ主張して責任は回避する。そもそも改ざん文書は内閣の責任で国会に提出しているのですよ。内閣が責任を取らないでどうするんですか」(中野晃一氏=前出)
 報告書公表を受け安倍は、「公文書の改ざんはあってはならない。再発防止策を講じていく」と他人事のように批判していたが、毎度のフレーズ「膿を出し切る」の「膿」は官僚のことじゃない。自分だ
 
日大・スルガ・神戸市教委は安倍政権の金太郎飴 
 こうして史上最低の無責任政権が5年も続いたことで、日本は本当におかしくなってしまった。ここ最近の社会の「アベ化」には暗澹たる気持ちになる。直近のニュースを少し振り返るだけで、この国の末端までが安倍政権の“金太郎飴”のようになってしまったことが分かる。正義のなくなった悪党大国・日本の惨状が分かる。
 
 日大の悪質タックル事件は、監督とコーチが選手を恐怖で支配し、「QBをつぶせ」と指示して反則させ、それが問題になると「認識のずれ」で選手の責任にした。
 金融庁が「特異なビジネスモデル」ともてはやしてきた“地銀の雄”スルガ銀行は、シェアハウス向け融資で、行員が貸し付けデータの改ざんまでして成果を上げようとし、顧客を悲劇に陥れた。
 そして今月3日に明らかになった神戸市教育委員会の首席指導主事による「いじめ調査メモ」の隠蔽指示。主事は「今さら出せない」と校長に“共犯”を強要までしていた。
 
「勝てればいい」「儲かればいい」「どうせバレない」という倫理観の欠如。森友問題を彷彿させる。
 
 コラムニストの小田嶋隆氏がこう言う。 
「すべてが安倍首相のせいだとは言いませんが、隠蔽や改ざん、廃棄という異常事態が政権中枢で発覚しても、首相や財務相に何のおとがめもない、ということの“副作用”を甘く見てはいけないと思います。先日、雑誌の取材で、今年上半期に話題になった記者会見の映像を20本ほど見たのですが、どれもこれも質問にマトモに答えず、言い逃ればかりでした。記者の質問に正面から答えていたのは悪質タックルで“加害者”になった日大の宮川選手だけでしたよ。日本の大人はみんな嘘つきになってしまいました。ここまでの『モラル崩壊』は、この何十年かで見ても最も深刻。社会全体が安倍首相から言い訳の仕方を学んでいるかのようです」
 
 安倍を政権から引きずり降ろさない限り、「膿」は日本中に広がるばかりだ。