花角氏支援団体の長谷川克弥代表代行は、メディアの記者がいる席で池田氏を貶めるデマ情報を流したのですから、公職選挙法に謳う「当選を得させない目的をもって公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者に関し虚偽の事項を公にし、又は事実をゆがめて公にした者」に当たるので、司直の裁きを受けるべきでしょう。
横田氏はその他にも池田候補を誹謗中傷する事実無根のデマがあったとして、「池田氏があたかも過去に『拉致問題は創作だ』と主張していた」かのようなデマがネット上で拡散されていたことを紹介しています。
これが花角陣営によるものとは決めつけられませんが、花角氏を応援する陣営からのものであるのは明らかです。
併せて、花角陣営が杉田水脈、和田政宗、青山繁晴といったネトウヨに人気の国会議員を応援弁士に投入したのは、思いつきなどではなく、科学的に割り出したネット戦術であると述べる田中龍作ジャーナルの記事を紹介します。
知事選も様変わりしたものです。
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新潟県知事選で花角新知事陣営がデマ攻撃!
選対幹部が「文春砲が池田候補の下半身スキャンダル」と嘘を拡散
横田 一 LITERA 2018年6月12日.
新潟県知事選は激戦の末、自公推薦の元国交官僚の花角英世氏が野党5党推薦の池田千賀子元県議らを破って初当選を果たした。しかしその裏で、花角陣営は勝つためにはなりふり構わぬ選挙戦を展開、公職選挙法違反の疑いさえ浮上しかねない事態が起こっていた。
その"実行犯”は、花角氏の支援団体「県民信頼度ナンバーワンの県政を実現する会」の長谷川克弥・代表代行。投開票日の4日前の6月6日、自民党支部が三條市で開いた緊急議員会議で記者を前に、「(週刊)文春」(文藝春秋)が池田氏の下半身話の記事を選挙後に出すというデマ情報を流し、翌7日の地元紙・三條新聞が「文春が選挙後にまたの話も」と銘打って次のように報道したのだ。
「実現する会の長谷川代表代行は情勢を交えながら支援を要請。(中略)『(相手候補のことで)文春が選挙後に出るようだ。また、下半身の話だ。そんなことになったら、また選挙になるではないか』など、危機感や不満をぶちまけるように話し、『花角さんをぜひ新潟県の知事にして頂きたい』と重ねて求めた」
この記事は、つまり「池田氏の下半身スキャンダル記事が選挙後に掲載される。花角陣営ナンバー2の長谷川代表代行は、その“極秘情報”を知りうる立場にあり、だからこそ池田氏当選後の再選挙リスクを避けるために花角氏支持を訴えた」と読める。しかも「自民党の選対会議で花角選対幹部が記者の前で発言した内容がウソのはずがない」と誰もが考えるだろう。
しかし長谷川氏の発言は、事実無根のデマだった。池田氏の選挙事務所に問い合わせると、「文春から下半身ネタに関する事実関係の問い合わせはない」と答え、文春関係者も「企画会議でそんなネタは通っていないし、記者も動いていない」と記事掲載の予定を否定した。そもそも「文春が選挙後に出す」ということ自体も奇妙千万な話で、報道関係者の多くはその信憑性を疑っていた。
2016年の都知事選で落選した鳥越俊太郎氏のスキャンダル報道を見ても分かるように、メディアは事実関係に自信を持った場合、選挙期間中であっても記事を出す。有権者への判断材料の提供にもなるし、公職選挙法違反にもならないからだ。
池田候補のデマを拡散した花角陣営の選対幹部・長谷川克弥氏を直撃
公選法ではあくまで虚偽(ウソ)の情報を選挙期間中に流すことが禁じられているだけであって、投票行動に影響を与える内容であっても事実であれば罰せられることはない。しかし、選挙期間中にデマ(虚偽情報)を流布すれば、選挙違反となる。長谷川氏が、辞任に追い込まれた米山隆一前知事の女性問題記事を出した「(週刊)文春」の名前を出して「下半身の話だ」と断定、選挙後の掲載と再選挙のリスクを示唆すれば、少なからぬ人が「事実」と信じ込んで花角氏支持(投票)へと傾く要因になる可能性は免れない。
公職選挙法には「当選を得させない目的をもって公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者に関し虚偽の事項を公にし、又は事実をゆがめて公にした者」に対して4年以下の懲役、または100万円以下の罰金に処するとある。選対幹部の長谷川氏は、この公職選挙法違反に該当する可能性すらあるのだ。
投開票日(10日)の22時すぎ、筆者は当確が出て万歳を終えた花角氏の囲み取材で、三條新聞の記事を示しながら「長谷川代表代行が『文春(の記事)に相手候補の下半身ネタが出る』ということを話して三條新聞にも報道されているが、これは虚偽のデマを広める公職選挙法違反に当たると考えないのか」と聞くと、「(長谷川氏の発言を掲載した)三條新聞は拝見していない。事実関係を承知していない」と答えた。
そこで「日大アメフト部のように『選挙違反をしても当選する』という考えですか」とも聞くと、花角氏は「選挙違反かどうかは分かりません。事実関係を確認させてください」と調査を約束した。
また、同じホテル内の会場にいてテレビ局の取材を終えた長谷川氏を直撃して「記者の前で話をしてデマが広まった。選挙違反ではないか」と問い質すと、「週刊文春から聞いた話ではなく、ネット上のツイッターに書かれていた噂を基に話した。噂を広めるつもりはなかった。僕の言葉をそのまま載せていない。三條新聞に抗議する」と答えた。
しかし、選対会議を報道陣に公開して記者が聞いている中で話をすれば、記事を読む人に広まる可能性があることは、誰が考えてもすぐに分かることだ。「広めるつもりはなかった」と長谷川氏が流布の意図を否定しても、デマが広まる環境下で話をしたことは紛れもない事実なのだ。
池田候補を誹謗中傷する事実無根のデマは他にもあった。池田氏があたかも過去に「拉致問題は創作だ」と主張していたかのようなデマがネット上で拡散されたのだ。
ネットでは池田候補が書いてもいない「拉致は創作」論文の存在が拡散
〈「池田ちかこ 新潟知事選候補『北朝鮮の拉致は創作された事件』(1997年の論文より)」〉
〈新潟知事選挙に出馬した池田ちか子は1997年に「北朝鮮拉致は創作された事件」と主張する論文を発表した「人間のクズ」である〉
〈「北朝鮮拉致は創作された事件」なんて主張した論文(月刊社会民主1997年7月号)まで出した社民党の #池田ちかこが新潟県知事になったら〉
選挙戦が始まって以降、こんなデマツイートが投稿されはじめ、右派系の評論家や元自民党衆議院議員なども拡散していた。
しかし、池田氏はそんな論文は一切書いておらず、まったく別の人物が書いた記事の中に、そういう記述が出てくるだけだった。元拉致被害者家族会事務局長で元東電社員の蓮池透氏も8日、池田氏支援の集会でこれを否定し次のように訴えた。
「向こうの陣営をたぶん応援する人だと思うのですが、とんでもないデマ、フェイクを流しているのです。池田千賀子さんは『拉致問題は創作だ』と言った、と。そんなバカなこと、誰が言うのですか。地元ですよ、池田さんは。旦那さんはうちの弟と同級生ですよ。そんなふざけたことを言うわけがないんです。これはもう私は、法的にも問題だと私は思います」
だが、このデマはその後も変わらず、投票日まで、あたかも事実のように拡散され続けた。こちらは花角陣営が直接関わっているかどうかはわからないが、「法的にも問題」(蓮池氏)であることには変わりなく、場合によっては、同じく公職選挙法違反となる可能性は十分にあるだろう。
そして、前述したように、“文春の下半身スキャンダル”デマについては、知事ポストを得た花角陣営のナンバー2である選対幹部がかかわっていた。こうしたデマ攻撃が罰せられずに放置されるのならば、新潟県は公職選挙法が適用されない無法地帯と化していると言っても過言ではない。と同時に「法治国家」の屋台骨も揺るがすことにもなる。安倍自民党が支援した候補が選挙違反をしてもお咎めなしとなれば、権力者とその仲間たちの無法行為が免責される独裁国家に等しいといえるからだ。
今回、新聞記事に掲載された「選対幹部の実名のデマ発言」という動かぬ証拠がある。もしこれが立件されれば、長谷川氏逮捕や花角新知事辞任の事態もありうるだろう。「事実関係を確認する」と当確直後に述べた花角氏の初会見は知事就任後の見通しだが、選対幹部の選挙違反をどう釈明するのかが注目される。 (横田 一,)
新潟県知事選
ネトウヨ時代の選挙で勝利した自民 ネット戦略練らない限り負け続ける野党
田中龍作ジャーナル 2018年6月11日
自民党のネット対策はエゲツないまでに徹底していた-
選挙戦最終日、新潟市内であった花角候補の街宣に杉田水脈衆院議員が弁士として加わった。杉田議員はネトウヨたちに熱狂的な人気の政治家だ。
この街宣をアツシこと仁尾淳史がツイキャス中継した。機動隊が辺野古のゲート前に座り込む市民を強制排除する際、それに先駆けて排除するのがアツシである。権力にとって不都合なアツシは、ネトウヨからも敵視されるリベラル系のジャーナリストだ。
アツシが新潟に来ていることは、当然、自民党もつかんでいた。ネトウヨ経由なのか、警察からの情報なのかは定かでないが。
花角候補の遊説スケジュールを手にしたスーツ姿の男性が、アツシを ぴったり マークした。アツシがツイキャス中継を始めると、アツシと中継機材と中継画面を、ビデオで録画した。
選挙は投票率が前回(53・05%)以上であれば、野党共闘の池田候補が勝つと見られていた。無党派層を取り込み、組織票の自公を上回る、というのがセオリーだ。
ところが、そうはならなかった。今回の知事選挙の投票率は58・25%(新潟県選管発表)。前回を大きく上回った。セオリーは覆されたのだ。
一人暮らしの青・壮年層の最も多い新潟市中央区で花角候補は池田候補に1万票もの大差をつけた。池田陣営の支援者や運動員は異口同音に「なぜあんなに中央区で開けられた(大差をつけられた)んだ?」と繰り返した。
組織にもムラ社会にも属さず、ふわっとした個人の動向をうまく取り込んだのはネットではないだろうか? 安倍ちゃんが重宝する右寄りの某会員制大ネットメディア数社は、ユーザーの住所を把握している。新潟のネトウヨをもらさず つかんで いるのだ。
ツイッター、フェイスブックなどでの花角候補のフォロワーに顕著なのは、「日本が好き」と自己紹介したり、日の丸アイコンを付けたりする人々だった。
「(沖縄ヘイトデマのDHCが配信する)虎ノ門ニュースで青山繁晴議員が・・・」「新潟を中国の手先に渡すな」「愛国者と売国者の選択」「反日」など、明らかにネトウヨらしい書き込みが相次いだ。これが政権与党の推す候補の公式SNSで繰り広げられた。
花角陣営が杉田水脈、和田政宗、青山繁晴といったネトウヨに人気の国会議員を応援弁士に投入したのは、思いつきではない。新潟県民を馬鹿にしているわけでもない。科学的に割り出した立派なネット戦術である。
野党は専門家を入れてネット時代の選挙戦略を立てない限り、負け続けるだろう。
〜終わり~