2018年6月30日土曜日

米国のイラン原油禁輸要求 日本は毅然として拒否を

 毎日新聞が「米国のイラン原油禁輸要求 日本は毅然として拒否を」とする社説を立てました。
 そもそもイランに関する「核合意」は、オバマ前大統領が主導して、欧米首脳国しい交渉の末に2015イランの核開発の制限と引き換えにそれまで課していた制裁を解除すると「合意」したものです。
 イランはその合意を順守してきたのですが、それをトランプ氏が一方的に「核合意」からの離脱を宣言し、関係国にイラン産石油の輸入禁止を強制しているものです。そこには納得できる理屈は何もなく、オバマ前大統領のやったことをすべて否定するための暴挙としか思えません。
 
 社説は「日本は核合意を支持しながら、それを破棄したトランプ政権に理解を示し、禁輸要求を批判せず回避策を探っている。米国の顔色をうかがうばかり、筋の通らぬ振る舞いを見過ごしていいはずがない。安倍晋三首相は毅然として禁輸要求を拒否し、制裁発動の再考を求めるべきだ」としています
 正論です。トランプ氏との「親交」を誇るというのであれば、いまこそその非を伝え、イラン産の石油輸入禁止要求を拒否し、制裁発動の再考を求めるべきなのですが、安倍氏へのこの要求は「木に拠って魚を求める」の類であるのも明らかです。
 何とも情けないことです。
 
 日刊ゲンダイは、イランからの原油の輸入を止めれば、ガソリン代や灯油代の高騰だけで家計への影響は年額2万円になるだけでなく、原料高に直面する化学自動車、運輸業などの業績下方に向かい、日経平均は2万円を割り込む トランプ大統領の言いなりになっていたら日本経済は崩壊すると述べています
 
「日々雑感」氏の「トランプ氏の乾分に成り下がった安倍氏に日本の国益は守れない」とするブログ記事も併せて紹介します。 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
社説 米国のイラン原油禁輸要求 日本は毅然として拒否を
毎日新聞 2018年6月29日
 イラン核合意から5月に離脱したトランプ米政権が、イランへの制裁の一環として、日本を含む各国にイラン産原油の輸入を完全に停止するよう求めている。 
 イランの収入源を遮断し、より厳しい核合意を実現するための圧力とする狙いがあるようだ。 
 制裁が適用されれば、イラン原油の取引がある金融機関が米国の金融市場から締め出される恐れがある。日本の金融機関も例外ではない。 
 核合意は今もイランと英仏独中露の合意参加国で維持されている。米国が金融市場での絶大な影響力をテコに力ずくで合意を崩壊させようとしているなら、横暴に過ぎる。 
 イラン原油の禁輸制裁はオバマ前政権が2012年に発動した。欧州連合(EU)も独自に制裁した。 
 厳しい制裁にもかかわらず国際社会が足並みをそろえたのは、核開発の疑念がそれだけ強かったためだ。 
 日本など多くの国がイラン原油の輸入を減らし、その結果、経済的に困窮したイランが交渉に応じて3年前の核合意に至った。 
 しかし、今回の禁輸要求は関係国の理解と支持を得られていない。そもそも問題は核合意を離脱したトランプ政権の決定にある。 
 イランが核開発を制限する見返りに各国が制裁を解除するのが合意の柱で、国際機関は関係国が順守していることを認めてきた。
 
 ところが、トランプ政権は合意の不備を理由に日欧などの反対を押し切って離脱し、制裁の再発動を表明した。理屈を欠く制裁への国際社会の理解が低いのは、当然だろう。 
 トランプ政権は11月に制裁を発動する方針だ。例外は認めないという。イランに原油調達の5・5%を依存する日本への影響は大きい。 
 もとより、国際的な取り決めを一方的に破り、民間企業を人質に他国のエネルギー政策に干渉することなどあってはならないことだ。 
 だが、日本の態度は定まらない。核合意を支持しながら、破棄したトランプ政権に理解を示し、禁輸要求を批判せず回避策を探っている。 
 米国の顔色をうかがうばかりに、筋の通らぬ振る舞いを見過ごしていいはずがない。安倍晋三首相は毅然(きぜん)として禁輸要求を拒否し、制裁発動の再考を求めるべきだ。
 
 
家計負担は2万円とも イラン産原油禁輸トランプ強要の波紋
日刊ゲンダイ 2018年6月29日
 トランプ米政権が各国に要請するイラン産原油の輸入停止が、日本経済に暗い影を落とし始めている。日本が輸入しているイラン産原油は全体の5・5%で6番目に多い。
「輸入停止となったら、5%分をどこからか調達しなければなりません。原油は長期契約が主流ですが、急きょ必要になった場合は割高のスポット(現物)取引になりかねません。日本には余計なコストアップ要因となり、さらなる原油高の懸念が出てきます」(第一生命経済研究所主席エコノミストの西濱徹氏)
 
 市場は、安倍政権がトランプ大統領に逆らえるとは思っていない。原油高騰を見越し、27日の日経平均は下落。プラスチックなどの原料高が避けられない100円ショップのセリアや、イラン南部の製油所新設に絡む千代田化工建設の株価は一時、大幅安に見舞われた。
 
「イラン産原油の禁輸をきっかけに、中東が混乱に陥る危険性があります。イランとイスラエルが軍事衝突し、ホルムズ海峡が閉鎖される事態になったら、原油高騰が止まらなくなる恐れがあります。原料高に直面する業界(化学や自動車、運輸など)で業績の下方修正ラッシュが起き、日経平均は2万円を割り込むかもしれません」(株式アナリストの黒岩泰氏)
 原油取引の主要指標であるWTI原油先物は27日、約1カ月ぶりに1バレル=70ドルを突破。アジア市場の指標となるドバイ原油は1バレル=74ドル台へ急騰した。
 
■「家計負担は年2万円増」とも
 ガソリン価格は高止まりだ。資源エネルギー庁によると、25日時点の全国平均は1リットル当たり151円90銭で、約1カ月にわたり150円超をつけている。
 1年前は130円60銭(17年6月26日)、2年前は119円90銭(16年5月30日)だった。
「今後は、輸入品の値上がりも顕著になるし、家計への影響は計り知れません。今年3月にドバイ原油が60ドル台へ上昇したとき、2人以上世帯の家計負担が年間で1.7万円増えるという試算がありました。現在は、それより15ドル近くも高い水準です。家計負担は2万円以上でしょう」(市場関係者)
 トランプ大統領の言いなりになっていたら、日本経済は崩壊する。 
 
 
トランプ氏の乾分に成り下がった安倍氏に日本の国益は守れない。
日々雑感 2018年6月28日
 今年5月、イラン核合意から一方的に離脱したトランプ米政権が26日、11月4日までにイラン産原油の輸入をゼロにするように各国に求めると表明した。中東で影響力を拡大するイランの最大の資金源を断ち、譲歩を引き出すことを目指す強気の戦略。だが、中国は協力を要請されても従わない意向を示した。核合意の維持を目指す英仏独や日本も難しい対応を迫られそうだ
(以上「毎日新聞」より引用)
 
 トランプ氏の強引なイラン核合意離脱に日本の原油輸入まで付き合わされるのは御免こうむりたい。イランから輸入している原油は日本の輸入量の約6.9%で国別では4位に相当する。
 いかに安倍氏がトランプ氏のポチとはいえ、イランからの原油輸入を禁止するのは困難だ。イランから日本へ入っている6.9%に相当する1322万klもの原油を他からすぐに手当てするのは困難だからだ。
 
 そもそもイラン核合意を破棄したのはトランプ氏の単独行動だ。それも中間選挙を意識して、米国内の有権者の75%を占める「福音派」を抱き込むために強引にイスラエルの米国大使館をエレサレムに移転させ、イスラエルと敵対するイランに強硬姿勢を見せているに過ぎない。
 イラン核合意は国際的な話し合いで合意に達したものだ。確かにトランプ氏が大統領になる以前のことて、オバマ氏の政策を卓袱台返しのようにひっくり返しているトランプ氏にとっては痛快事かも知れない。しかしそれでは国際的な話し合いは成り立たない。
 
 安倍氏は余りにトランプ氏とコミットし過ぎた。日本人拉致問題の解決に関しても、トランプ氏にお願いしたため莫大なポンコツ米国製兵器購入を約束させられた。非核化の費用負担についても日本と韓国が負担する、とトランプ氏は早くも勘定書きを回すといっている。
 こんな馬鹿な外交しかしていない安倍氏がトランプ氏の「イランから原油を買うのはやめろよ」と命じられて、安倍氏に「ノー」と言えるかどうか。
 日本の国益のためにトランプ氏の乾分になり果てた安倍氏を変える必要がある。安倍氏が首相であり続けて百害あって一利なしだ。