元外交官の宮家邦彦氏は、8日に行われた日米首脳会談について、「首相は、米朝首脳会談前にできることはすべてやったのではないか」と高く評価したということです。
天木直人氏はその是非には触れずに安倍首相の出番は全て終わったとして、今後のことについて次のように展望しました。
トランプの米国とは7月から二国間経済交渉が始まるが、どう考えてもやられっぱなしになる。
プーチンのロシアとは北方領土問題で行き詰まる。
習近平の中国とは尖閣問題や歴史認識で対立が解けない。
文在寅大統領の韓国とは慰安婦問題で争いが解けない。
北朝鮮に至ってはいよいよ拉致問題でガチンコ勝負になるが、これも勝ち目はない。
アメリカとの関係だけを重視し、近隣の中国、韓国との関係を粗略にし、ひたすら北朝鮮を敵視して来た結果がこれです。
ロシアのプーチン氏との個人的関係を重視してきた点だけは評価できますが、これも米国にひたすら盲従する中では北方領土の返還は望むべくもないのでした。
ジャイアンに付き従うスネ夫としては、ジャイアンがジャイアンである限りではそれなりの恰好が保てますが、ジャイアンが様々に批判されるようになると惨めを極めることになります。
何よりの悲劇は、彼にはネトウヨ並みの見識しかなかったということで、それではとても「外交の・・・云々」などと口にする自体が憚られることだったのでした。
天木直人氏のブログを紹介します。
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今度の日米首脳会議で5年半の安倍外交は終わることになる
天木直人のブログ 2018年6月9日
共同記者会見からまる一日が過ぎて、きょうの各紙が今度の日米首脳会談の意義について書いている。
今度の首脳会談は米朝首脳会談の直前に日本の立場を伝える首脳会談だったと。
そして拉致問題の重要性についてあらためてトランプ大統領に念を押すためだったと。
これを評して元外交官の宮家邦彦氏が読売新聞紙上で語っている。
「これ以上ないタイミングでトランプ米大統領と会談し、日米の考え方をすり合わせることができた」と。
「首相は、米朝首脳会談前にできることはすべてやったのではないか」と。
いいだろう。
かりにそうだとしても、今度の米朝首脳会談で安倍首相の出番はすべて終わったのだ。
もはや安倍首相の出る幕はなくなったのだ。
すなわち、今日から始まるG7は、トランプ大統領とその他の首脳の対立の場となり安倍首相は板挟みになっておろおろするだけだ。
自由貿易を標榜し、不合理なトランプ大統領の保護主義的圧力に悩まされる日本は、本来ならば他の首脳と一緒になってトランプ大統領に断固反対しなくてはいけないが、日米関係を最優先する安倍首相にはそれは出来ない。
ましてや仲介など出来るはずがない。
沈黙を守るしかないのだ。
そして、G7の後に続く米朝首脳会談に至っては、すべてを米国に託した日本に出る幕はまったくない。
米朝首脳会談の主役は、あくまでもトランプの米国と金正恩の北朝鮮だ。
そして朝鮮半島の和平の当事国である文在寅大統領の韓国と、いまや北朝鮮の後ろ盾となった習近平の中国が、米朝首脳会談のわき役だ。
日本は会議場をうろついて情報入手に努めるしかない。
かくて安倍外交は昨日の日米首脳会談で終わったのだ。
日本のメディアが安倍首相の外交について書く意味はなくなる。
書くとすればウソの追従記事でしかない。
しかもである。
安倍外交の出番が本当になくなるのは、まさしく歴史的な米朝首脳会談の後なのである。
米朝首脳会談が朝鮮戦争の終結につながる事は間違いない。
その時に、間違った歴史認識に固執する安倍首相の出る幕はない。
朝鮮半島の和平とは裏腹に、米朝首脳会談の後に表面化する国際問題は、米中の対立であり、米ロの対立であり、そしてイランとイスラエルの対立だ。
いずれも安倍首相の日本の出る幕はまったくない。
そして、日本と主要国間の二国間外交は今後ますますその行き詰まりが露呈してくるだろう。
トランプの米国とは7月から二国間経済交渉が始まる。
どう考えてもやられっぱなしになる。
プーチンのロシアとは北方領土問題で行き詰り、習近平の中国とは尖閣問題や歴史認識で対立が解けず、文在寅大統領の韓国とは慰安婦問題で争いが解けず、北朝鮮に至っては、いよいよ拉致問題でガチンコ勝負になる。
そして、いまの金正恩委員長と安倍首相では、どう考えても金正恩委員長のほうが一枚上だ。
こう考えて行けば、どれ一つとってみても、安倍首相のかなう相手ではなく、安倍首相では解決できない問題ばかりだ。
おまけに頼みのトランプ大統領は、中間選挙や自らの弾劾で、これ以上安倍首相のかかわっている余裕はない。
つまり5年半の安倍外交の誤りがすべて噴出してくるのだ。
今度の日米首脳会談が安倍外交5年半の終わりだと私が断言するゆえんである(了)