2018年6月8日金曜日

日本は北朝鮮復興ビジネスでも蚊帳の外

 北朝鮮の地下資源は豊富であることが知られ、鉄鉱石や石炭、燐灰石、マグネサイト、ウランなど、二百種類を超える有用鉱物が確認されています。経済的な価値がある鉱物資源40種を超え、高価値希少金属タングステン、ニッケル、モリブデン、マンガン、コバルト、チタニウムなども豊富ですそうした強みを背景に、今後順調に発展すれば、いずれは韓国並みのレベルに達すると見られています。
 
 米朝会談で宥和の方向が確認され経済制裁が解かれれば、待っているのは北朝鮮の復興に向けた動きです。
 韓国は先の「板門店宣言」で「東海線」と「京義線」鉄道道路の高度化を南北共同で行う方針を確認しています。
 中国は既に11年に「中朝共同開発・共同管理計画要綱」を取り決め、それは金正恩政下でも継承しているので、経済制裁が解除されれば発動することになります。
 朝鮮深い信頼関係を築いているロシアも既に経済協力をめぐって協議を始めています。
 
 対北強硬論者が揃う米政権も、いまは「米国の民間企業が北朝鮮のエネルギー供給網の整備を手助けできる」「できるだけ早期に北朝鮮に対して貿易や投資を開放する準備ができている」ことを明かにして、「インフラ」「エネルギー」「農業」の3つの柱を軸に「北朝鮮版マーシャル・プラン」を検討しているといわれています。北が経済復興で繁栄を実現すればいずれ10年間で約4兆ドル(約440兆円)復興需要が見込まれるので、米国もその巨額の復興利権にありつこうとしている訳です
 
 そんな中で何一つ北朝鮮の復興ビジネスに関与できないのが安倍政権下の日本です。
 米朝宥和の動きの中で蚊帳の外だった日本は、このままでは北朝鮮復興ビジネスでもやはり蚊帳の外にあり続ける運命にあります。愚かなリーダーを持ったことの悲劇です。
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逃す需要は440兆円 日本は北朝鮮復興ビジネスでも蚊帳の外
日刊ゲンダイ 2018年6月7日
「最大限の圧力」から一転、何とか擦り寄ろうと必死らしい。地球儀俯瞰外交の惨めな正体見たりだ。河野太郎外相はきのう(5日)、6~9日の日程で米国を訪問すると発表。12日の米朝首脳会談前に開かれる予定の日米首脳会談(7日)に安倍首相と同席する考えを示した。首相、外相の2人が出席することで、米国に対して北朝鮮の非核化や拉致問題の早期解決を強く訴える狙い――などと報じられているが、冷静に見れば「蚊帳の外」に置かれた日本が焦りまくっているようにしか見えない。
 
「韓国レベルの繁栄を達成できるよう協力する」。米朝首脳会談を控えた米国が北に対して盛んに呼び掛けているのが、核放棄の見返りとしての経済発展の可能性だ。
「米国の民間企業がエネルギー供給網の整備を手助けできる」(ポンペオ米国務長官)
「できるだけ早期に北朝鮮に対して貿易や投資を開放する準備ができている」(ボルトン大統領補佐官)
 
 米国は第2次大戦後、被災した欧州諸国の経済復興を支援するために「マーシャル・プラン」を打ち出した。北に対しても「インフラ」「エネルギー」「農業」の3つの柱を軸に「北朝鮮版マーシャル・プラン」を検討しているとされる。北が経済復興で繁栄を実現し、国民1人当たりのGDP(国内総生産)が韓国と同水準になったと仮定した場合、復興需要は10年間で約4兆ドル(約440兆円)が見込まれるという。米国の狙いが、この巨額の復興利権にあるのは間違いない。
 
■敵視政策が完全裏目
 韓国でも北のインフラ投資に期待が高まっている。
 5日付の日経新聞によると、韓国ロッテグループが主力の食品や観光事業で投資を検討する組織を新たに設けたほか、通信大手のKTや観光業の現代峨山も同様の組織をつくった。
 文在寅大統領と金正恩委員長が署名した「板門店宣言」では、ロシア国境付近から朝鮮半島東部を縦断する「東海線」と、ソウルから平壌を経由して中朝国境付近の新義州に至る「京義線」について、鉄道や道路の高度化を目指す方針が盛り込まれたが、これらは2013年に韓国国土研究院が公表した「朝鮮半島開発協力の核心プロジェクト」に沿った内容だ。
 
 中国は金正日政権時代から北と経済開発に伴う協力関係を構築。10年には胡錦濤国家主席(当時)が、中朝経済協力の原則として「政府主導による企業を主体とした市場運営と相互利益」を提起し、翌11年に「中朝共同開発・共同管理計画要綱」を作成した。金正恩政権はこの流れを継承しているから、復興利権に中国が大きく関与する可能性は極めて高い。ロシアもまた、北と経済協力をめぐって既に協議を始めている。つまり、この北の復興ビジネスにありつけない近隣国は日本だけということだ。
 
「米経済誌フォーチュンと英ユーライゾン・キャピタル研究所の共同分析によると、北が核放棄の見返りに要求する経済支援の金額は2兆ドル(220兆円)とも試算されている。米国は負担する気はなく、韓国や中国、ロシア、日本などで分担すると言われているが、中国や韓国などは復興ビジネスに食い込めるからまだしも、日本はカネを払ってオシマイになる」(外務省担当記者)
 
 元外交官の天木直人氏はこう言う。
安倍政権の北に対する敵視政策が完全に裏目に出ている。安倍政権が続く限り、北は日本の投資ビジネスなど認めるはずがない。戦後賠償を要求されて終わりですよ」
 無為無策の安倍外交で国民は不幸になる。