2018年6月8日金曜日

「放送制度改革」で新聞協会・民放連がコメント

 政府の規制改革推進会議が4日まとめた第3次答申では、番組の政治的公平性などを定めた放送法4条の撤廃が見送られました。
 今回はメンバーの強い反対によって撤廃が見送られたとはいえ、政府寄りのメディアの登場を願う安倍首相の強い気持ちには変わりがなく、推進会議議長大田弘子教授は、小泉・竹中政権時代に新自由主義者として政府から強く押し出された人物なので、今後も首相サイドの対応を注視し続ける必要があります。
 
 4日、日本新聞協会メディア開発委員会日本民間放送連盟(民放連)がそれぞれコメントを発表しました。
 
 しんぶん赤旗の記事と二つのコメントを紹介します。
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 言論表現の自由こそ
「放送制度改革」で新聞協会・民放連コメント
しんぶん赤旗 2018年6月7日 
 政府の規制改革推進会議(議長・大田弘子政策研究大学院大教授)が4日まとめた第3次答申では、焦点だった番組の政治的公平性などを定めた放送法4条の撤廃が見送られました。しかし、安倍晋三首相の意向で始まっただけに、今後も首相サイドの対応を注視し続ける必要があるとの声も出ています。
 
 日本新聞協会メディア開発委員会は4日、答申内容について、斎藤仁志委員長名のコメントを発表しました。
 コメントは、規制改革推進会議の議論について、「放送事業者が放送法にのっとり果たしてきた『表現の自由の確保』『健全な民主主義の発達』を支える役割や、放送法の根幹をなす『多元性・多様性・地域性』の原則、NHKとの二元体制の下での民放の自主・自律の重要性を再確認するよう訴えてきた」と主張。そのうえで、答申を受けた今後の具体策の検討について、「(こうした)見解とは異なる方向性や結論が導かれる危惧(きぐ)を否定できない」として、「産業政策的な視点に偏り国民・視聴者の利益が損なわれることがないよう、言論・表現の自由を尊重した、より慎重な議論が行われること」を求めています。
 
 一方、日本民間放送連盟(民放連)は、「放送の公共的役割を尊重する取りまとめになった」とのコメントを発表。答申に盛られた「ローカル局の経営基盤の在り方」などについて、「民放事業者に不合理な制約を課すことになれば、国民・視聴者が現に享受している放送サービスの低下を招きかねない」として、今後の行政の検討について「国民各層、専門家や関係事業者の意見を十分に聴取して、慎重に議論を行うよう」要望しています。
 
2018年6月4日
「規制改革推進に関する第3次答申」に対する
斎藤仁志日本新聞協会メディア開発委員会委員長のコメント
 
日本新聞協会メディア開発委員会は、6月4日開催の規制改革推進会議で示された「規制改革推進に関する第3次答申」につき、委員長名で下記のコメントを表明する。
 
本日、規制改革推進会議が安倍首相に提出した「規制改革推進に関する第3次答申」は、放送を巡る規制改革の柱として①通信と放送の枠を超えたビジネスモデルの構築②グローバル展開、コンテンツの有効活用③制作現場が最大限力を発揮できる環境整備④電波の有効活用その他――の4点を掲げた。同会議でのこれまでの議論について、メディア開発委員会は4月16日に表明した見解のとおり、放送事業者が放送法にのっとり果たしてきた「表現の自由の確保」「健全な民主主義の発達」を支える役割や、放送法の根幹をなす「多元性・多様性・地域性」の原則、NHKとの二元体制の下での民放の自主・自律の重要性を再確認するよう訴えてきた。加えて、放送のハード(送出設備)とソフト(コンテンツ制作)の分離の強制、外資規制の撤廃に反対の立場も表明、安易な電波オークション制度の導入には慎重な検討を求めてきた。
 
本日、第3次答申が公表されたが、今後の議論のいかんによっては当委員会が指摘してい
る見解とは異なる方向性や結論が導かれる危惧を否定できない。放送の制度整備にあたっ
ては、現行制度を十分に検証するとともに、産業政策的な視点に偏り国民・視聴者の利益が損なわれることがないよう、言論・表現の自由を尊重した、より慎重な議論が行われることを望む。
以 上
 
「規制改革推進に関する第3次答申」の「放送を巡る規制改革」
に関する民放連コメント 
平成30年6月4日
日本民間放送連盟
 本日6月4日に規制改革推進会議(議長:大田弘子・政策研究大学院大学教授)が取りまとめた「規制改革推進に関する第3次答申」の「放送を巡る規制改革」に関する一般社団法人 日本民間放送連盟〔民放連、会長=井上 弘・TBSテレビ名誉会長〕のコメントは次のとおりです。
 
「規制改革推進に関する第3次答申」の「放送を巡る規制改革」
に関する民放連コメント
 
 本日、規制改革推進会議が公表した第3次答申においては、懸念されたような放送の意義や公共的役割を否定する文言は見当たらず、放送事業の未来像について「国民の知る権利の充足などを通じて、健全な民主主義の基盤として社会的な機能を放送事業者が十全に果たしていく姿」と記されました。学識者や専門家、民放事業者の意見聴取を経て、放送の公共的役割を尊重する取りまとめになったものと受け止めます。
 
 同答申は放送分野について広範な課題を挙げ、提言を行いました。「伝統的なビジネスモデルの更なる発展が必要」との認識は私たちも共通であり、民放事業者は自ら放送の未来像を描き、信頼されるメディアとしてこれからも国民・視聴者の期待に応えたいと考えています。
 
 同答申の提言の具体化は総務省等に委ねられましたが、答申に盛られた「プラットフォーム・配信基盤」「ローカル局の経営基盤」「経営ガバナンス」「制作関連の取引」などに関する提言が民放事業者に不合理な制約を課すことになれば、国民・視聴者が現に享受している放送サービスの低下を招きかねないと考えます。今後の行政の検討にあたっては、国民各層、専門家や関係事業者の意見を十分に聴取して、慎重に議論を行うよう要望します。