「意味のないことをダラダラと述べるだけで、聞かれたことにまったく答えていない」
30日に1年半ぶりに行われた党首討論で、立憲民主党の枝野幸男代表はこう憤慨しました。安倍首相の国会での答弁は、役人が書いた答弁書を読み上げる以外は全てがコレ(論点をすり替えたり、時間稼ぎのために関係ないことを延々と述べる)なので、これまで何百回も(千回を超えたかも)野党議員から指摘されてきたことでした。
ところがメディアはそのことをまともに指摘せず、いつも「議論は平行線」とか、「議論が深まらない」などの慣用句で済ませています。それでは真実は伝わりません。さすがに「メディアの政府からの自由度」が世界で72位だけのことはあります。
安倍首相が多弁になる理由は決まっていて、論点をすり替えゴマかそうとするためです。
そのためにこれまでどれだけ貴重な時間が空費されてきたか分かりません。
日刊ゲンダイが、第二次安倍内閣が発足して以降、安倍首相が、「まさに」や「つまり」、「そもそも」「いわば」「中において」「その上において」などを使った回数を調べ、そうした語句を好んで使う理由を解明しました。
それらは駄弁を構成するのにも便利な言葉なので、いわば駄弁の増量剤として使っているのですが、それを聞かされる方の苦痛は限界を超えています。
短い記事ですが労作と呼べます。
追記
15年6月17日の岡田民主党代表との党首討論から一例を示します。とても文章の体をなしていません。
安倍首相
「そこで、そこで、よろしいでしょうか。そこでですね、まさに、どういう事態になるかということは、その事態が起こってさまざまな状況を判断をしなければならない。今、あらかじめ、こうした、こうして、こうした事態があるということを今ここで申し上げるということはいかがなものかと思うわけである。つまり、そうならなければ、いわば、そうならなければ、われわれは武力行使をしないということは、これが明らかになってくるわけである。そこで、その上で、その上で申し上げれば、いわば朝鮮半島で、朝鮮半島で有事が起こる中において、米艦船がその対応にあたっていく。これが重要影響事態に・・・」
速記録はとても文章の体をなしていません。
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「いわば」「まさに」… 安倍首相が使う“不快ワード”の意味
日刊ゲンダイ 2018年6月2日
「意味のないことをダラダラと述べるだけで、聞かれたことにまったく答えていない」
約1年半ぶりに行われた安倍首相との党首討論後、立憲民主党の枝野幸男代表はこう声を荒らげて怒っていた。一部の御用メディアは「安倍論法」とか「すりかえ論法」などと報じ、攻め手を欠いた野党――などと論評しているが、あれは「論法」でも何でもない。
安倍首相の答弁を聞けば聞くほど胸クソが悪くなるのはなぜなのか。歴代首相の演説を研究してきた東照二氏(社会言語学)はこう分析する。
「(安倍首相は)『まさに』や『つまり』といった言葉を使っている。これらの言葉は、同じ意味を繰り返したり、別の表現に言い換えたりする表現です。おそらく同じ意味を別の表現にして話をはぐらかそう、自分を良く見せようとしているのではないか」
確かに安倍首相の国会答弁を聞いていると、「まさに」や「つまり」の多用が目立つ。「さあ、いよいよ結論を言うのか」と聞き手の注意を引きつけながら、全く関係ないことをダラダラと話し始めるからウンザリするのだ。
安倍首相はほかにも、答弁をはぐらかす前に「そもそも」「いわば」「中において」「その上において」という言葉も頻繁に使っている。
日刊ゲンダイが2012年12月に第2次安倍政権が発足してから現在に至るまでの間、安倍が国会答弁でこれらの6つの「不快ワード」を一体、何回使ったのかを調べたところ、「まさに」が341件、「中において」が298件、「つまり」が257件、「そもそも」が232件、「その上において」が178件、「いわば」が144件もあった。
ちなみに、1回の答弁中にこれら6つの「不快ワード」が全てあったのは3件。これじゃあ、質問者も国民も胸クソが悪くなるわけだ。
安倍首相の「不快ワード」に要注意だ。