新元号は「令和」に決まりました。
多くの人たちが心配していた「安」を含むものでなかった点は何よりでした。数千万の人々が安堵したのではないでしょうか。
いくら安倍氏でもそこまではしないだろうという見方も一部にはありましたが、一連の反動立法を強引に成立させ、いまも憲法9条改定を目指している妄執をみれば、甘い見方は禁物でした。日テレによれば最終の6候補群の中にも含まれていなかったということです。これまでの諮問委員会方式ではとてもそうはならなかった筈なので、「平成」の元号を決めた方式を先例にしようとする自然の圧力には、安倍氏も抗し切れなかったということなのでしょう。
万葉集が典拠になっているということから、「令和」の考案者は、文化勲章受章者で国際日本文化研究センター名誉教授の中西進氏(89)との見方が早くも浮上しているということです。
「令和」を美しい言葉と評した識者もいましたが、「令」には、令嬢や令夫人などの尊称以外では法令とか命令とかの言葉でしか出会わないので、冷たく硬いというイメージが浮かび何となくとっつきにくいのですが、やがて馴れるものなのでしょう。
それよりも、記者会見のたびに女性記者に対して常識外れのいじめを続けている張本人が、尤もらしい表情をして「和」の文字を掲げ、そのあとでロクに漢字を読めないことで知られている人物が「令和」の意味合いを語るという、あの違和感のあるシーンの2連続は何だったのでしょうか (^○^)。
東京新聞の記事を紹介します。
註 「令和」の典拠となった「万葉集」巻五、梅花の歌32首の序文「初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す」の意味について、NHKはニュースで、「春の初めの良い月にさわやかな風が柔らかく吹いている。その中で、梅の花が美しい女性が鏡の前でおしろいをつけているかのように白く美しく咲き、宴席は高貴な人が身につける香り袋の香りのように薫っている」と説明しています。
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新元号「令和(れいわ)」 出典は万葉集 5月1日施行
東京新聞 2019年4月1日
政府は一日午前、「平成」に代わる新元号を「令和(れいわ)」に決定した。出典は日本最古の和歌集「万葉集」。中国古典(漢籍)ではなく、日本の古典(国書)を由来とする元号は確認できる限り初めて。今の天皇陛下が改元政令に署名され、同日中に公布。四月三十日の天皇陛下退位に伴い、皇太子さまが新天皇に即位される五月一日午前零時に施行される。皇位継承に先立ち、新元号が事前に公表されるのは憲政史上初めて。新元号は六四五年の「大化」から数えて二百四十八番目。一九七九年に制定された元号法に基づく改元は「平成」に続き二例目となる。
菅義偉(すがよしひで)官房長官が記者会見で公表した。出典について「『万葉集』巻五、梅花(うめのはな)の歌三十二首の序文」と説明した。
「初春(しょしゅん)の令月(れいげつ)にして、気淑(きよ)く風和(やわら)ぎ、梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き、蘭(らん)は珮後(はいご)の香(こう)を薫(かおら)す」から引用した。春の月の美しさと空気の爽やかさを表現した文章。
続いて安倍晋三首相が記者会見し、「令和」について「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つという意味が込められている」と説明した。出典の万葉集は「わが国の豊かな国民文化と長い伝統を象徴する」と述べた。
菅氏は新元号の考案者について「特定の個人との結び付きが強調されることになりかねない」と公表しない方針を表明。「新元号が国民に受け入れられ、日本人の生活の中に深く根ざすよう努める」と語った。
政府は一日午前九時半からノーベル医学生理学賞受賞者の山中伸弥京都大教授ら有識者九人による「元号に関する懇談会」を官邸で開いた。山中氏によると、中国古典由来も含めて複数の原案が示され、有識者が意見を述べた。政府は衆参両院の正副議長からも意見を聴いた上で、全閣僚会議を経て臨時閣議で改元政令を決定した。
これを受け、宮内庁の山本信一郎長官が天皇陛下に、西村泰彦次長が皇太子さまに新元号をそれぞれ報告した。皇太子さまはにこやかに「分かりました」とうなずかれたという。
新元号の選定手続きは、八九年の平成改元時をほぼ踏襲した。国文学、漢文学、日本史学、東洋史学の四分野の中から専門家数人を選び、三月十四日に正式に新元号の考案を委嘱した。出された候補から数個に絞り、元号に関する懇談会に提案した。
新元号は、元号選定手続きの要領に従い(1)国民の理想としてふさわしい良い意味を持つ(2)漢字二字(3)書きやすい(4)読みやすい(5)過去に元号や贈り名として用いられていない(6)俗用されていない - の六条件に留意して選ばれた。
改元は、天皇一代に一つの元号とする「一世一元」制となった明治以降、天皇逝去に伴う皇位継承時に行われてきた。政府は今回、国会から退位特例法の付帯決議で「改元に伴って国民生活に支障が生じないようにする」と求められた点を重視。改元の一カ月前に新元号を発表し、官民の情報システム改修の準備期間を設けた。
天皇陛下は一六年八月、退位の意向をにじませるメッセージを公表。退位を一代限りで認める退位特例法が一七年六月に成立した。これを受け、一九年五月の天皇の代替わり、改元が決まった。首相は年頭記者会見で新元号を四月一日に事前に公表すると表明した。
<万葉集> 約1200年前の7、8世紀に詠まれた歌を収めた、現存する日本最古の歌集。皇族、貴族、農民、防人(さきもり)ら全国各地の幅広い階層の歌約4500首を収める。漢字の音訓を使って日本語を記した「万葉仮名」による表記など、国語学の上でも第一級の資料と位置付けられる。代表的歌人は額田王(ぬかたのおおきみ)ら。
<改元> 元号を改めること。古代中国の皇帝が時も支配するとの考えから始まった。天皇代替わりや慶事があった時、天災、戦乱、疫病の流行などが起きた際などに改めた。明治以降は天皇一代に一つの元号とする「一世一元」制を採用した。元号の起源が中国だったこともあり、出典が確認できる日本の元号は全て中国の古典が出典とされる。