2019年4月25日木曜日

田中龍作氏の「安倍首相、被災地慰問ヤラセ報道」に自由報道協会賞 

 昨年7月、豪雨に見舞われ多数の死者を出した倉敷市の避難所を安倍首相が訪問しました。
 そこは小学校の体育館で、マスコミは一段高くなった舞台のようなところに勢ぞろいして、首相が被災者たちを慰問しているところを一斉に正面からアップの映像を撮り、それを全国に流しました。
 ようするに、安倍首相マスコミ向けに労いのポーズを取り、マスコミは首相側が作る「絵」の通りに報道したのでした。大災害の最中にそこまで周到に絵柄を選ぶとはやはり違和感を禁じ得ません。
 
 その舞台装置をバラした田中龍作ジャーナルの記事に自由報道協会賞が贈られました。
 対象になった昨年7月の記事も紹介しますが、残念ながら写真が添付できませんので記載のURLからアクセス願います。 
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田中龍作の「安倍首相、被災地慰問ヤラセ報道」に自由報道協会賞 
田中龍作ジャーナル 2019年4月23日
 昨年7月、安倍首相が豪雨に見舞われた倉敷市の避難所を訪問した。大雨のさなか酒盛りをしていた、として世の批判を浴びた「自民赤坂亭」から6日後のことだった。
 作り笑いで被災者に労いの言葉をかける首相。マスコミは首相が、いかにも被災者たちを慰問しているように写していた。それは正面からのアップのみ
 
 背後に回り、やや引いた場所から見ると、真相が丸わかりだった。官邸が「絵を作り」記者クラブが、忠実に仕事をこなした・・・新聞の読者、テレビの視聴者は、ものの見事に騙されているのだ。
 当時の現場のもようは、拙稿『【倉敷・真備町発】安倍首相、被災地訪問 赤坂自民亭に避難住民「頭に来るなあ」』(昨年7月11日付)で、御覧頂きたい。  
 記者クラブと官邸が結託したヤラセ報道を「可視化」した拙稿が、2019年度の自由報道協会賞を受賞した。
 
 マスコミが検察のリークを垂れ流し冤罪に加担する。最近の大きな冤罪事件としては「陸山会事件」(2004~2012年)がある
 権力のお先棒を担ぐ記者クラブの強力なアンチテーゼとして、2011年に発足したのが自由報道協会だった。
 
 権力監視がジャーナリズムの役割と心得る田中龍作にとって、自由報道協会賞の受賞はこのうえなく光栄である。
~終わり~
 
【倉敷・真備町発】
安倍首相、被災地訪問 赤坂自民亭に避難住民「頭に来るなあ」
田中龍作ジャーナル 2018年7月11日 20:26     
 【写真説明】ニヤニヤとした表情が目立った安倍首相。田中が初動の遅さと酒盛りを追及すると さらに ヘラヘラした。=11日、倉敷市真備町 撮影:田中龍作=
 
 気象庁が厳重な警戒を呼び掛ける豪雨の中の酒盛りから6日後のきょう11日。安倍首相は河川決壊により多数の死者を出した倉敷市真備町の避難所を訪問した。
 住民300人が避難する岡田小学校体育館には、安倍首相の訪問が決まると突貫工事でクーラー10台が設置された。地元ジャーナリストによると、別の避難所で首相は「国がクーラーをつけた」と恩着せがましく語った、という。
 
 岡田小学校体育館で首相は避難住民に声を掛けて回った。「大変ですね」「すぐに整備します」・・・首相の口を突くのは、ありきたりの言葉ばかりだった。
 避難住民の多くは、安倍首相らが大雨警報の最中に酒盛りをしていたことを知らなかった。体育館にはテレビもインターネットもないからだ。スマホの電波状況もすこぶる悪い。田中から「酒盛り事件」を知らされた住民(70代男性)は「えっ!?」と驚き、「頭に来るなあ」と憤った。
 
 【写真説明】「避難所訪問報道」の種明かしをします。水色の防災服(画面下・中ほど)後ろ姿が安倍首相。マスコミ向けに労いのポーズを取り、マスコミは首相側が作る「絵」の通りに報道する。=11日、倉敷市真備町 撮影:田中龍作=
 
 田中と助手の倉持は体育館の玄関で安倍首相を待ち構えた。首相が靴をはいて去ろうとするところを直撃した。「初動が遅かったのではないですか? 酒盛りなんかしてる場合ではなかったのではないですか?」と。
 首相はヘラヘラしながら「しっかり対応しています。ちゃんとやってますから、どうぞ御安心下さい」と開き直った。一向に悪びれていない。酒焼けの赤ら顔だった。森・加計で動かぬ証拠を突きつけられても嘘でかわす、いつもの鉄面皮が田中の目の前にあった。
 
 ある避難者(70代・男性)は「行政がもっと早く動いていればねえ」としたうえで「麻生さん、安倍さん。あのレベルの人たちには何を言っても無駄」と諦めの表情で語った。
 別の避難者(70代・男性)は「(5日に)警報が出たのは知っていたが、具体的な情報がないので逃げようという気にならなかった。家の前の道路が冠水しているのを見て、急いで避難した」と当時を振り返る。
 
 官邸が対策本部を早くから立ち上げて自治体をせっつけば、もっと具体的な情報が出ていただろう。逃げ遅れによる死者は今より はるかに 少なかったはずだ。安倍首相による人災が被害を広げたことは確かである。
〜終わり~