米国の体制派は、メディアの大宣伝のもとロバート・マラー特別検察官によって「ロシアゲート」でトランプ大統領を失脚させようとしましたが失敗しました。「ロシアゲート」が虚偽であったことは、仕掛けた体制側とそれを大宣伝したメディア、それに当のトランプ氏とが一番よく知っていた筈です。
アメリカでは第二次大戦後の1948年以降、アレン・ダレス氏らの4名によって権力による報道機関の懐柔・支配作戦が開始され(モッキンバード作戦)、1977年以前の段階で、CIAの任務を秘密裏に実行していたジャーナリストは400名以上に達しました。
メディア支配の体制は1980年以降格段に強化されたので、現在はさらに酷いことになっている筈です。
メディアを支配することが出来れば政権はどんなこともできます。現実に米国はCIAなどと連携して、その後のあらゆる侵略戦争や謀略事件を正当化してきました。米国のメディアは当初はまともでしたが、次第に政権の道具に変容しました。
そうした影響が日本を含むいわゆる西側諸国に広く及んでいることは言うまでもありません。
櫻井ジャーナルの記事を紹介します。
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情報操作を生業とする有力メディアが偽情報を流すのは当たり前のこと
櫻井ジャーナル 2019年4月8日
ロシア政府が2016年のアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプを当選させる為に介入したとする「ロシアゲート」はヒラリー・クリントンを担いでいたDNC(民主党全国委員会)や有力メディアが始めた「おとぎ話」である。
ロバート・マラー特別検察官がロシアゲートでトランプ大統領を失脚させるためには、誰かを別件で逮捕し、司法取引で偽証させるしかなかったが、それに失敗、捜査を終結させたのである。
ロシアゲート事件を宣伝してきた有力メディアは難癖をつけているが、自分たちの嘘を認めるわけにはいかないのだろう。日本のマスコミは「灰色」という表現でごまかそうとしているが、これは事実に反する。文句を言っている議員を「リベラル派」と呼ぶためには「リベラル」の定義を変える必要がある。
アメリカの電子情報機関NSAの技術部長を務め、通信傍受システムの開発を主導、NSA史上最高の数学者にひとりと言われている内部告発者のウィリアム・ビニーはNSAがすべての通信を傍受、保管していると指摘し、もしロシアゲートが事実なら特別検察官を任命することもなく、FBIは必要な証拠をすべて手にすることができたとしている。
このビニーを含む専門家たちは、ウィキリークスが公表した、バーニー・サンダースが同党の大統領候補になることを妨害するためにDNCが行った工作を明らかにした電子メールは、ハッキングで盗まれたのではなく内部でコピーされたのだと技術的な分析で指摘している。ハッキングにしてはダウンロードのスピードが速すぎるという。内部でコピーし、ウィキリークスへ渡したと噂されているのはDNCのスタッフで2016年7月10日に射殺されたセス・リッチ。電子メールが公表される12日前の出来事だ。
リッチの両親が調査のために雇った元殺人課刑事の私立探偵リッチ・ウィーラーによると、セスはウィキリークスと連絡を取り合い、DNC幹部の間で2015年1月から16年5月までの期間に遣り取りされた4万4053通の電子メールと1万7761通の添付ファイルをウィキリークスへ渡したという。
このケースに限らず、アメリカをはじめとする西側の有力メディアは支配層の政策を正当化するために偽情報を流し続けている。
本ブログでは繰り返し書いてきたが、第2次世界大戦後に情報操作を目的とするモッキンバードが始められた。その中心人物はウォール街の弁護士でOSSやCIAに君臨していたアレン・ダレス、やはりウォール街の弁護士でアレンの側近として破壊工作を指揮していたフランク・ウィズナー、やはりダレスの側近で国際決済銀行初代頭取の孫であるリチャード・ヘルムズ、そしてワシントン・ポスト紙の社主だったフィリップ・グラハムだ。
フィリップ・グラハムの妻、キャサリンはウォーターゲート事件でリチャード・ニクソンを失脚させた当時のワシントン・ポスト紙社主。その事件の取材は若手記者だったカール・バーンスタインとボブ・ウッドワードが中心になって行われたが、ウッドワードは少し前まで海軍の情報将校で記者としては素人に近く、事実上、取材はバーンスタインが行ったと言われている。
そのバーンスタインはニクソン大統領が辞任した3年後の1977年にワシントン・ポスト紙を辞め、「CIAとメディア」という記事をローリング・ストーン誌に書いている。
その記事によると、20年間にCIAの任務を秘密裏に実行していたジャーナリストは400名以上に達し、そのうち200名から250名が記者や編集者など現場のジャーナリストで、残りは、出版社、業界向け出版業者、ニューズレターで働いていた。また1950年から66年にかけてニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも10名の工作員に架空の肩書きを提供したとCIAの高官は語ったという。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977)
CIAが有力メディアを情報操作のために使っていることはフランク・チャーチ上院議員を委員長とする情報活動に関する政府の工作を調べる特別委員会でも明らかにされた。
これに対し、CIAは報道統制を強め、内部告発ができないように規則を変更した。また巨大資本によるメディア支配を容易にするように規制は緩和され、気骨のある記者や編集者は排除されていった。
1990年代のユーゴスラビア、2003年のイラクなどをアメリカは先制攻撃しているが、その前に偽情報を流していた。イラクの場合、サダム・フセイン体制を倒してとりあえず所期の目的を達成した後、嘘を認めた。が、あくまでも記者個人が行ったことだと主張して逃げ、罪をかぶった記者は有力シンクタンクのメンバーだ。それに対し、ウクライナやシリアの場合、所期の目的を達成できなかったことから嘘をつき続けざるをえない状況である。
CIAはアメリカの金融機関がイギリスの情報機関の協力を受けてつくりあげたもの。イギリスの情報機関はシティと強く結びついている。ロシアゲート事件で重要な役割を果たした報告書をかいたのがイギリスの情報機関MI6の「元」オフィサーだという事実を軽視するべきではない。
マスコミには少なからぬ情報機関の人間が入り込んでいると見られるが、情報で釣られる人もいる。情報の提供と機関への忠誠がセットだ。そのほか、広く行われているのが接待。東電福島第一原発で炉心溶融の大事故が起こった際、その一端が明るみに出た。
「アイドル」をビジネスにした秋元康の場合、弟の伸介がマスコミ担当だという。
(後 略)