2019年4月23日火曜日

23- 衆院2補選 自民敗北 自民批判と受け止めよ(各紙社説)

 衆院2つの補選で自民が大敗したことを受けて22日の各紙の社説のタイトルは、
「自民2敗 民意を受け止め足元見直せ」、「自民2敗 民意を厳しく受け止めよ」、「おごる政権への警鐘だ」、「2補選敗北 自民批判と受け止めよ」などと、手厳しい言葉が並びました。
 沖縄3区での惨敗についても、「屋良氏当選 新基地断念しか道はない」、「屋良氏が当選 政権のおごりの結果だ」、「沖縄3区補選 政権に問う3連敗の重み」、「沖縄3区補選 辺野古が唯一脱せよ」という具合で、辺野古新基地工事の強行を見直せという主張で溢れました。
 毎日新聞は、「この半年余りを振り返れば、昨年9月の知事選、今年2月の県民投票に続き「辺野古ノー」の民意が三たび示されたことになる。安倍政権としては、沖縄の民意を無視する形で埋め立ての土砂投入に踏み切った上での3連敗である」(社説 沖縄3区補選 政権に問う3連敗の重み)と指摘しています。
 
 大阪12区は、安倍自民の敗北には違いがないのですが、当選したのは改憲派である大阪維新の新人でした。
 北海道新聞は、大阪では野党共闘に課題を残したとして「共産党は先月末に比例選出の現職議員を無所属で擁立し、野党統一候補としての支援を求めたが、支援態勢は広がらなかった。首をかしげたのは立憲民主党の対応だ。衆参で野党第1会派を握っていながら、共闘のまとめ役としての姿勢が見られなかった。
 沖縄の結果は政権との対立軸を明確にし、早くから候補を一本化して準備すれば、巨大与党にも太刀打ちできることを示した。参院選に向けた態勢構築が急がれる
と述べています。指摘の通りでしょう。
 
 東京新聞と琉球新報の社説を紹介します。
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【社説】衆院2補選敗北 自民批判と受け止めよ
東京新聞 2019年4月22日
 きのう投開票が行われた二選挙区の衆院補選は、いずれも自民党の公認候補が敗北した。選挙区固有の事情はそれぞれあるにせよ、自民党に対する有権者の厳しい批判の表れと受け止めるべきだ。
 衆院沖縄3区補選は沖縄県知事選に立候補、当選した玉城デニー氏の議員失職に伴うもので、無所属のフリージャーナリスト屋良朝博氏(56)が自民党公認の島尻安伊子元沖縄担当相(54)を破った。
 
 沖縄3区には政府が米軍普天間飛行場(宜野湾市)に代わる新基地建設を進める名護市辺野古があり、選挙戦では新基地建設を容認する島尻氏と、反対する屋良氏が激しい舌戦を展開した。
 在日米軍専用施設の70%が集中する沖縄は長年、重い基地負担を強いられ、県民は新たな基地建設に反対する民意を示してきた。
 昨年以降だけでも、九月の県知事選で新基地移設に反対する玉城氏が圧勝し、今年二月の県民投票でも七割が反対票だった。
 
 こうした民意を背景に、沖縄県は政府に計画変更を繰り返し迫ってきたが、安倍内閣は一顧だにせず、埋め立てを強行している。基地負担を強いられる地元の声に全く耳を傾けようとしないのは、民主主義の軽視にほかならない。
 主要野党が推す屋良氏の勝利は新基地への重ねての反対表明であり、建設を強引に進める自民党政権への厳しい批判と受け止めるべきだ。安倍内閣は、沖縄県民に対する高圧的な態度を改め、新基地建設計画の変更を求める県側との話し合いに応じる必要がある
 
 一方、大阪12区補選は、日本維新の会新人の藤田文武氏(38)が、自民党新人の北川晋平氏(32)ら三候補を破った。選挙戦最終日に安倍晋三首相自らが北川氏の応援に駆けつけたが、及ばなかった。
 大阪都構想を進める維新は、大阪府知事と大阪市長がそろって辞職し、立場を入れ替えて立候補する「クロス選挙」で自民党候補を破った。補選勝利はその勢いに乗った、という事情はある。
 とはいえ、道路整備を巡り首相や麻生太郎財務相への忖度(そんたく)に言及した塚田一郎元国土交通副大臣や復興以上に自民党議員が大事と発言した桜田義孝前五輪相が辞任に追い込まれたことも自民不信につながったのではないか。
 
 地域で相次ぐ自民党敗北は、有権者が長期政権のほころびを敏感に感じ取っている証左だ。首相をはじめ自民党執行部は有権者の批判を謙虚に受け止め、強引な政権運営を直ちに改めるべきである。
 
 
<社説> 衆院補選屋良氏当選 新基地断念しか道はない
琉球新報 2019年4月22日
 昨年9月の県知事選、今年2月の県民投票に続いて、名護市辺野古の新基地建設に反対する民意が示された。
 21日に投開票された衆院沖縄3区の補欠選挙で、フリージャーナリストの屋良朝博氏(56)=無所属=が元沖縄北方担当相の島尻安伊子氏(54)=自民公認、公明、維新推薦=を大差で下し、初当選したのである。
 今回の選挙は、玉城デニー氏の知事選出馬で生じた欠員を埋めるもので、屋良氏は玉城氏の後継候補だった。
 
 最大の争点である米軍普天間飛行場の移設に伴う新基地建設に対し、屋良氏は反対、島尻氏は容認する姿勢を表明し選挙戦に臨んだ。
 名護市を含む沖縄3区で屋良氏が当選したことは、新基地に反対する有権者の切実な思いの表れと言えよう。
 政府は選挙結果を尊重し、新基地建設を速やかに断念すべきだ。ここまで再三再四、民意が示されている以上、県内移設を伴わない普天間飛行場の返還に大きくかじを切る以外に道はない
 
 昨年の県知事選で自民、公明などが推した候補者は、辺野古移設を推進する安倍政権の全面的な支援を受けながらも、その是非について最後まで言及しなかった。
 今回、島尻氏が新基地建設への旗幟(きし)を鮮明にしたのは、政治家として当然の態度である。政権側の候補が賛否を明らかにしなかった最近の事例を考慮すると、ようやく正常な形で選挙戦が行われたことになる。
 屋良氏は「普天間飛行場は米軍の運用を変えるだけで辺野古の海を壊さなくても返還可能だ」などと選挙戦で訴えてきた。
 辺野古の埋め立て中止と普天間飛行場の即時運用停止のほか、日米地位協定が定める施設管理権の日本への移管、基地の立ち入り権などを定めた基地使用協定の締結などを掲げている。
 
 基地問題以外では、離島県沖縄の不利性を補う輸送コストの低減、北部を走る路面電車(LRT)構想の提起、北部の医療体制の充実、児童保育の拡充などを公約した。
 有権者に約束したこれらの政策課題の実現に向けて全力を挙げることは、屋良氏に課された使命だ。
 県選出・在住国会議員は衆院7人、参院3人の10人となり、屋良氏を含む5人が「オール沖縄」系である。玉城知事を支持しない国会議員は自民、維新の5人。このうち4人は比例代表選出であり、沖縄の有権者から直接信任を得ているわけではない。
 国会議員の構成を見ても辺野古新基地建設に反対する民意が大勢を占めていることは明らかだ。駄目押しとなる屋良氏の当選だった。政府は今度こそ沖縄の民意に沿った判断をすべきだ。
 選挙結果は玉城知事に対する信任とも言える。自信を持って政府との交渉に当たってほしい。