2019年4月19日金曜日

萩生田氏が“消費増税延期・衆参同日選ありえる” と

 首相の信頼が厚い萩生田幹事長代行が18日、6月の日銀短観の内容次第では消費税増税の延期もありえるという認識を示すとともに、「増税をやめることになれば、国民の信を問うことになる」と述べました。衆参同日選挙を行うということです。
 それに対して菅官房長官は「リーマンショック級の出来事が起こらないかぎり、法律で定められたとおり、引き上げる予定だ」と強調しました
 現時点では官房長官の発言が正式見解ということになりますが、萩生田氏が敢えて増税延期・衆参同日選挙の可能性に言及した裏にはやはり首相の意向があり、この時点で言及しておいた方がよいと判断したのだろうと思われます。
 
 財務省には森友問題で、省をあげて安倍首相を全面的に擁護したという意識があるので、こんどこそ首相は増税を回避できないだろうと見ていますが、安倍氏はそんな義理堅い人間ではないので、政権の維持に不利と判断すれば今度も延期に踏み切ると思われます。
 
 これに関して植草一秀氏は、「630日衆参ダブル選実施シナリオが浮上」(4月15日)、「安倍内閣による消費税増税 再々延期有力に」(4月18日)の二つのブログを発表しています。
 NHKの記事と共に紹介します。
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萩生田氏“消費増税延期ありえる” 衆参同日選含め臆測も
NHK NEWS WEB 2019年4月19日
   (前 略)
10月の消費税率引き上げについて、自民党の萩生田幹事長代行は、日銀が7月に発表する短観=企業短期経済観測調査の内容次第では、延期もありえるという認識を示すとともに、「増税をやめることになれば、国民の信を問うことになる」と指摘しました。
一方で、夏の参議院選挙に合わせた「衆参同日選挙」については「G20サミットもあるので、なかなか日程的に難しい」と述べました。
 
これに対し菅官房長官は「リーマンショック級の出来事が起こらないかぎり、法律で定められたとおり、引き上げる予定だ」と強調しました。
自民党の幹部によりますと、萩生田氏は「安倍総理大臣から指示を受けて発言したわけではなく、迷惑をかけて申し訳ない」と話しているということです。ただ萩生田氏は安倍総理大臣に近いことで知られ、党内では「増税を延期すれば、衆参同日選挙を行う可能性もあるのではないか」といった見方も出ています。
 (後 略
 
6月30日衆参ダブル選実施シナリオが浮上
植草一秀の「知られざる真実」 2019年4月15日
安倍政治を支える3名の幹部は菅義偉官房長官、麻生太郎副総理、二階俊博幹事長である。
しかし、塚田一郎国交副大臣と桜田義孝五輪相が引責辞任に追い込まれて麻生氏と二階氏の立場が後退した。
大阪ダブル選で維新勢力が勝利したことで菅義偉氏の立場が強化された。今後の政局運営で強い影響力を発揮するトップに躍り出たのが菅義偉氏である。
 
焦点は本年10月に予定されている消費税増税と次の衆院総選挙日程である。
安倍首相は退陣までに憲法改定を実現することを目指している。そのためには、衆参両院で3分の2以上の改憲勢力を確保しなければならない。
この目的を実現するために「衆参ダブル選」という選択肢が依然として排除されていない。
衆院総選挙は野党陣営の準備が整わないタイミングで仕掛けることが得策である。
ダブル選が参院選結果にも好影響を与えることが想定される。
こう考えると、4月21日の衆院補選結果を見極めて、衆参ダブル選に突き進む可能性がある。
この場合に有力視されるのが消費税増税の再々延期である。
5月20日に本年1-3月期のGDP速報が発表される。再びマイナス成長になる可能性が高い。の統計発表を受けて消費税増税の再々延期を発表する可能性がある。
 
6月末には大阪でG20サミットが開催され、日本が議長国になる。
また、安倍首相は4月末に訪米して日米首脳会談を行う。トランプ大統領は5月末に訪日して新天皇と会見し、大相撲千秋楽で総理大臣杯を授与することが計画されている。
4月末の日米首脳会談で消費税増税再々延期の可能性をトランプ大統領に伝達する可能性があるだろう。
その上で、5月20日のGDP統計発表を受けて消費税増税再々延期を発表する。その際、国民に信を問うとの大義名分で衆院解散の方針を表明するのではないか
衆参ダブル選に突入し、投票日がG20サミット直後の6月30日に設定される可能性もある。
 
消費税増税再々延期は菅義偉官房長官が強く推進する可能性がある。
野党陣営は衆院選を戦う準備態勢をまったく整えていない。敵の準備が整わぬ間に奇襲をかける作戦である。
野党陣営が消費税増税凍結を唱えても、与党サイドが消費税増税延期を打ち出せば、効果はまったく発揮されないことになる。
 
安倍内閣は2014年に消費税増税を強行実施して、日本経済を不況に転落させた。2014年1月から2016年5月が景気後退期である。
安倍内閣はこの事実を隠蔽し、景気回復が持続して拡大期間の長さでいざなぎ景気やいざなみ景気を超えたと吹聴しているが、嘘である。「偽造、捏造、安倍晋三」と言われるほど、この政権には嘘が多い。「息を吐くように嘘をつく」と言われている。
そう言えば、安倍首相は2014年11月8日の記者会見で消費税増税を延期した際、次のように述べていた。
「来年(2015年)10月の引き上げを18カ月延期し、そして18カ月後、さらに延期するのではないかといった声があります。再び延期することはない。ここで皆さんに、はっきりとそう断言いたします。」
ところがどうだろう。
その安倍首相が2016年6月1日の記者会見では次のように述べたのだ。
「(2017年4月の消費税増税について)そうしたなかで、内需を腰折れさせかねない消費税率の引上げは延期すべきである。そう判断いたしました」
「今回、『再延期する』という私の判断は、これまでのお約束とは異なる『新しい判断』であります。」
さらに驚くべきことは、次の言葉を付け加えたことだ。
「信なくば立たず。国民の信頼と協力なくして、政治は成り立ちません」
 
ここまで来ると、天下一品、筋金入りのペテン師であると称賛するべきなのかも知れない。
いずれにせよ、消費税増税再々延期、衆参ダブル選という可能性を排除できない。
非安倍陣営は、消費税減税を明確に掲げるべきだ。
同時に、最低賃金全国一律1500円の政策公約を具体的に丁寧に訴えるべきである。
(以下は有料ブログのため非公開)
 
安倍内閣による消費税増税再々延期有力に
植草一秀の「知られざる真実」 2019年4月18日
安倍内閣が消費税増税再々延期の方針を固めつつあると見られる。
狙いは次の衆参両院選挙での改憲勢力3分の2確保である。
5月20日に2019年1-3月期のGDP統計が発表される。
1-3月期の実質GDP成長率はマイナスに転落する可能性が高い。そうなると、2018年度はプラス成長が2四半期、マイナス成長が2四半期ということになる。
年度の成長率はゼロから+0.5%の間の極めて低いものになる可能性が高い。
本年1-3月期の数値が著しく悪化すれば,年度の成長率がマイナスになることも完全には否定できない。
 
すでに個人消費が著しく停滞し始めている。消費税率が10%になるなら、引き上げ前の駆け込み消費が出るはずだが、それ以上に消費全体が抑圧される可能性が高い
自民党の萩生田光一幹事長代行が、4月18日のインターネット番組で、消費税増税に関し、6月の日銀短観が示す景況感次第で延期もあり得るとの考えを示したと報じられている。
消費税増税再々延期は現実に可能性のあるものだ。かねてより「リーマンショックのようなことがあれば」消費税増税を延期する可能性があることが表明されてきた。
問題は「リーマンショックのようなこと」の判定基準だが、これまでの経緯を踏まえれば基準はないに等しい
 
1回目の延期を発表した2014年11月18日の総理大臣記者会見で安倍首相はこう述べた。
「来年(2015年)10月の引き上げを18カ月延期し、そして18カ月後、さらに延期するのではないかといった声があります。再び延期することはない。ここで皆さんに、はっきりとそう断言いたします。」
ところが、2回目の延期を発表した2016年6月1日の記者会見で安倍首相は次のように述べている。
「そうした中で、内需を腰折れさせかねない(2017年4月の)消費税率の引上げは延期すべきである。そう判断いたしました」「今回、『再延期する』という私の判断は、これまでのお約束とは異なる『新しい判断』であります。」「信なくば立たず。国民の信頼と協力なくして、政治は成り立ちません。」
最後の「信なく場立たず」の発言の意味が不明である。
安倍首相は「信なくば立たず」の意味を知らずに発言した疑いが強い。
「訂正云々」を「ていせいでんでん」と読み上げて何の疑問も持たない人物だから,約束を破って「信なくば立たず」と発言したことの意味を考察するのは時間の無駄かも知れない。
 
安倍内閣は2016年5月の伊勢志摩サミットで、世界経済の状況がリーマンショック前の状況に似ていると訴えたが賛同者はいなかった。
客観的に見ても、リーマンショック後の状況には類似する部分があったが,リーマンショック前の状況には似ていなかった。それでも,これを根拠に消費税増税を延期したのだから、延期に理由はいらないということになる
GDPの低迷、日銀短観での業況判断DIの悪化を理由に消費税増税再々延期を発表する可能性は十分にある
(後 略)