この春の食品を中心とする値上げラッシュに社会保障改悪のラッシュが重なります。
年金は、本来物価上昇にスライドさせて1%上がらなくてはならないのですが、安倍政権の巧妙な方策によって0.1%に抑えられました。これによる国民の損失は年間5000億円に達します。
介護保険は4月から、月収32万円の家庭で年間約7000円上がります。
国民健康保険料は、4人世帯で平均4.9万円上がります(8割の自治体で)。
10月に予定されている消費税アップにより、年収400万円の4人家族で3.4万円の負担増になります。
その一方で生活扶助費が引き下げられ、完全に実施されると年間10万円も減額されます。
こんな風に社会保障費の減額には際限がありません。
何をしても許される、3割の岩盤支持層がいる、それをベースに内閣支持率はほぼ40%をキープしている、そうしたおごりがこの庶民いじめの政策を行わせています。
しんぶん赤旗と東京新聞の記事を紹介します。
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社会保障改悪ラッシュ
年金実質5千億円減 介護保険料増
しんぶん赤旗 2019年3月31日
全世代に耐えがたい痛みを押し付ける社会保障改悪を進める安倍政権 ― 。2019年度も消費税10%増税に加え、高齢者や生活保護世帯を標的にした弱い者いじめの改悪メニューが目白押しです。
物価が1%上昇しているのに、安倍政権は4月以降(6月支給分)の年金給付を0・1%しか増やしません。実質0・9%の給付減です。給付総額は実質的に約5千億円も目減りします。安倍政権の16年の年金改悪が拍車をかけています。実質的な年金給付額が目減りするもとで消費税を増税すれば、高齢者の暮らしは破綻に陥ります。
安倍政権が、40~64歳の人の介護保険料に対する国庫補助を17年から段階的に減らすなか、介護保険料も4月分から値上げされます。19年度の協会けんぽの保険料率は過去最高の1・73%(前年度比0・16%増)。月収32万円の場合、年間約7千円の負担増です。
毎年6月ごろまでに決まる国民健康保険の保険料(税)の引き上げ圧力も強まります。安倍政権が国保の都道府県化をてこに国保財政への自治体の公費繰り入れをやめさせようとしているからです。大型選挙を控えた18年度は激変緩和措置をとり、19年度から一気に圧力を本格化させようとしています。
後期高齢者医療の保険料を最大9割軽減している特例措置も10月に廃止し、7割軽減にしようとしています。9割軽減だった人の保険料は全国平均で年額4500円から1万3500円に跳ね上がります。
生活保護の連続改悪も続きます。安倍政権は、食費や光熱費など日常生活費に充てる生活扶助の支給基準を18年から3年間かけて引き下げようとしており、10月に第2弾の発動を狙います。減額幅は最大5%。
都市部の「40代夫婦と子ども2人(小・中学生)の世帯」の場合、最終的に生活扶助費は年10万円以上少なくなります。 (岩間萌子、北野ひろみ、佐久間亮)
都市部の「40代夫婦と子ども2人(小・中学生)の世帯」の場合、最終的に生活扶助費は年10万円以上少なくなります。 (岩間萌子、北野ひろみ、佐久間亮)
安倍政権の社会保障改悪 16年の制度改悪が高齢者を直撃
年金給付 実質大幅減に
しんぶん赤旗 2019年3月31日
物価が上がったときに年金給付額が増えなければ、高齢者の生活は困窮します。
ところが自公政権は2004年の年金制度改悪で、物価より賃金の変動率が低い場合は、賃金変動率を年金改定の指標とすることにしました。19年度の年金改定では、物価がプラス1%で賃金がプラス0・6%だったため賃金変動率が指標にされました。これだけで年金給付額は実質0・4%の減額です。
04年の改悪ではさらに、少子高齢化の進展に合わせて年金給付を自動的に引き下げる仕組み(マクロ経済スライド)も導入。少子高齢化が続く限り、年金給付額は物価上昇に追い付かない仕組みになりました。19年度のマクロ経済スライドの調整分はマイナス0・2%です。
ただし、04年改悪の段階では、物価や賃金がマイナスならマクロ経済スライドは発動しませんでした。
安倍政権はこのルールを16年に改悪。マクロ経済スライドの未実施分を翌年度以降に繰り越すことにしました。アベノミクスで毎年2%の物価上昇を掲げながら、年金給付と物価上昇の差をいっそうひどくする大改悪です。
18年度は賃金がマイナスでマクロ経済スライドは発動しませんでしたが、安倍政権の改悪によって未実施分が19年度に繰り越し。その結果、19年度は、18年度の繰り越し分マイナス0・3%まで年金改定に反映され、実質的な年金給付額の大幅減になったのです。
協会けんぽの国庫補助の廃止
介護保険料率 過去最高
介護保険給付は、国や自治体が支出する公費と、企業や国民が支払う保険料で50%ずつ賄う仕組みです。高齢化で介護の利用が増える中、公費負担の割合が増えなければ保険料は上がります。ところが安倍政権は国の負担を縮減。値上げに拍車をかけています。
安倍政権は2017年の介護保険法改悪で40~64歳の介護保険料を、これまでの各保険の加入者数に応じた決め方から、賃金に応じて決める「総報酬割」に、20年度までに段階的に変更することとしました。同時に、財政難の協会けんぽへの国庫補助1500億円の廃止も決めました。
中小企業が多く加入する「協会けんぽ」への国庫補助を廃止し、その分を大企業が加入する「健保組合」などに肩代わりさせることで、健保組合の保険料率は上がるが協会けんぽでは下がると説明していました。
ところが、総報酬割の導入2年目の19年度の協会けんぽの加入者の保険料率は、1・73%と過去最高に。保険料額は、月収32万円の人で年額約7000円もの値上げになります。
協会けんぽは本紙の取材に、総報酬割による負担減はあったものの、介護給付費の増大などで収支が悪化したとしています。
本来公費負担を抜本的に増やすべきなのに、安倍政権が国の責任を弱めた結果、国の負担を肩代わりさせられた健保組合だけでなく、「総報酬割」で下がるとされていた協会けんぽまで過去最高の保険料率となったのです。
春本番、寒い懐 値上げ続く
東京新聞 2019年3月31日
四月一日から食品や飲料の値上げの波が押し寄せる。人手不足による人件費や物流費の高騰が直撃。国民年金の保険料引き上げも続き、十月の消費税増税を控えて家計への影響が懸念される。外国人材の就労拡大に向けた新制度が始まり、働き方改革関連法も本格施行。残業時間の上限規制は一九四七年の労働基準法制定以来約七十年ぶりの改革で、日本型の雇用慣行に影響を与えそうだ。
明治や森永乳業、雪印メグミルクは牛乳やヨーグルトといった乳製品を値上げする。生乳生産量の減少も要因で、主力商品の店頭価格が十円前後上がるとみられる。日本水産は健康ブームで人気が高まったサバ缶の出荷価格を上げ、日清食品チルドは冷蔵タイプの麺商品の値段を高くする。
コカ・コーラボトラーズジャパンは大型ペットボトル商品を値上げ。一・五リットル入り「コカ・コーラ」の税別の希望小売価格が二十円高い三百四十円となる。キリンビバレッジやアサヒ飲料も今後追随し、子育て世帯などに打撃だ。調味料は公益財団法人の塩事業センターの「食卓塩」や、味の素のコンソメなどが上がる。
(後 略)