2019年4月26日金曜日

26- GPIFが年金株運用で約15兆円の赤字 検査院が異例の警鐘

 年金積立金運用するGPIFは、181012月期に、四半期ベースで148000億円の赤字を記録しましたこれまでの最大の損失7兆9000億円(15年7~9月期)を倍近く上回るものです。
 これは株価上昇をアベノミクスの実績とするため、14年10月に資産運用の株式比率をそれまでの24%から50%に大幅に上げたことが裏目に出たものです。
 
 会計検査院は24日、GPIFのリスクの高い運用方法に対して異例の警鐘を鳴らしました。検査院は「年金積立金の運用は、将来にわたって公的年金制度の安定に資することが強く求められる」「国民への丁寧な説明が必要」と指摘し、一部の投資手法について手数料などが詳細に開示されていないとして、収益などの透明性を確保するように求めました。
 GPIFが投資業務の委託先に莫大な手数料を払っている問題は、植草一秀氏が当初から指摘していたものです。
 安倍政権は自分たちに都合の良い数字は虚偽を交えて誇大に宣伝しますが、都合の悪いことは隠蔽します。
 日本の株価は公費で無理に買い支えているだけなので、先行きは下がる見通ししかありません。どういう展開になるのかは明らかです。
 
 しんぶん赤旗が2月2日の時点で同じことを報じているので、日刊ゲンダイの記事と併せて紹介します。
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GPIFが年金株運用で約15兆円の赤字 検査院が異例の警鐘
日刊ゲンダイ 2019年4月25日
 会計検査院が24日、公的年金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」のリスクの高い運用方法に対して異例の警鐘を鳴らした。
 
 GPIFは、アベノミクスの一環として2014年10月にポートフォリオ投資先内訳の見直しを行い、国内株と外国株の比率をそれぞれ12%から25%に引き上げ、全体の50%にした。その結果、18年10~12月期に、四半期ベースで14兆8039億円もの赤字を記録。150兆円資産の約1割が吹っ飛んだ。
 
 会計検査院は14年以降、株式運用の割合が増加してリスクが上昇していると指摘し、所轄する厚生労働省やGPIFに対し、「国民への丁寧な説明が必要」との所見を示した。
 検査院は「年金は老後の生活設計の柱。積立金は国民から徴収した保険料の一部だ。国民の利益のため安全、効率的に運用し、将来にわたって公的年金制度の安定に資することが強く求められる」と指摘。また一部の投資手法について、手数料などが詳細に開示されていないとして、収益などの透明性を確保するように求めた。 
 
 
年金運用 15兆円損失 18年10~12月 赤字額 過去最大
 しんぶん赤旗 2019年2月2日
 年金保険料を原資とした公的年金積立金の資産運用が2018年10~12月期に14兆8039億円の損失を出していました。四半期ごとの赤字額では過去最大となります。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が1日に発表しました。株価上昇をアベノミクスの実績とするため、資産運用の株式比率を大幅に高めてきた安倍晋三政権の責任が問われます。
 
 同期の資産運用の実績は国内株マイナス7兆6556億円、外国株マイナス6兆8582億円、国内債券プラス4242億円、外国債券マイナス7182億円。米中貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる欧州政治の不透明感による世界的な株価下落が影響しました。
 
 本紙は1月5日付で同期の損失が14兆円超に上り、四半期ベースで最大の損失となった15年7~9月期(マイナス7・9兆円)と比べても倍近くになるとの独自試算を報じていました。
 
 安倍政権は14年10月、公的年金積立金の資産構成を大幅に変更。それまで6~7割を占めていた国内債券の比率を28%まで削減する一方、株式比率は政権発足時の22%から48%に倍以上に増やしてきました。安倍首相は、株価上昇による高い運用益をアベノミクスの成果と宣伝してきました。
 
 公的年金積立金の運用額は約150兆円。株式比率を1%上げるだけで1・5兆円の資金が株式市場に流れ込みます。安全性の高い資産を減らし株式比率を高めたことが、株価下落局面での損失を膨張させる要因となっています。