2019年4月10日水曜日

防衛費はNATO基準ではGDP比最大1.3% 

 これまで日本の防衛費はGDP比1%以下(19年度は0.93%と)とされてきましたが、それは政治的考慮から一部の項目を除外して計算したからで、NATOの算定基準で計算すると、対GDP比で最大約1.3%になることが明らかになりました。
 敢えて防衛相が明らかにしたのは、トランプ大統領日本の防衛費の対GDP比が低いとして防衛予算を増額するよう求めているためです
 これまで国内向けには低い数値を発表し、海外から低いと指摘されると、今度は実はこうだと修正する・・・ご都合主義というしかありません。因みに1.3%はドイツの比率を上回っています。
 
 そもそも9条を持っている日本の防衛費をNATO諸国のレベルと比較すること自体が間違いなのですが、それを機に防衛費の実態が明らかになったのは怪我の功名とでもいうべきものです。
 それにしてもここでも安倍政権は、当初の防衛費予算に計上せずに予備費で数千億円の兵器購入費を処理するなどの、いつもながらのマヤカシの方法も取ってきました。
 
追記)9日夜、自衛隊のF35A戦闘機が三沢市沖で消息を絶ちました。墜落したものと思われます。F35機については機体の強度不足など様々な懸念が伝えられてきました。日本はそのF35A機を105機(計1兆2180億円)とF35B機(金額不明)を42機米国から購入する計画です。墜落に関するNHKの記事を併せて紹介します。
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防衛費、GDP比最大1.3% 防衛相、NATO基準で
日経新聞 2019年4月9日
岩屋毅防衛相は9日の衆院安全保障委員会で、防衛費を北大西洋条約機構(NATO)の算定基準で試算すると、対国内総生産(GDP)比で最大約1.3%になるとの認識を示した。日本の防衛費はGDP比約0.9%だが、これまで組み込んでいなかった関係経費を合算する。米国による防衛予算の増額要請を踏まえ、NATO基準の適用で理解を求めていく。
 
従来の防衛費に防衛省以外が所管する国連平和維持活動(PKO)の分担金や旧軍人遺族らへの恩給費などを加えた。岩屋氏は「安全保障に関連する経費の水準は今後5年の間に1.1~1.3%程度になる」と初めて言及した。2018年末に閣議決定した19~23年度の中期防衛力整備計画(中期防)に沿って防衛装備品の調達費用が増えることなども考慮した。
 
日本はこれまで国内や周辺国による防衛費拡大への懸念を抑えるため、防衛費を対GDPで1%以内におさえてきた。19年度予算の防衛費は5兆円超で過去最高を更新したものの、GDP比では0.929%と1%以内に収まった。
トランプ米大統領は日本を含む同盟国に防衛予算を増額するよう求めている。NATO加盟国はGDP比2%の目標を掲げているが、届いていない国も多い。18年は米国は3.39%、英国が2.15%、ドイツは1.23%だった。
 
日本も対応を迫られている。今後5年間の中期防では最新鋭ステルス戦闘機「F35」の追加取得などで防衛装備の調達を増やし、防衛費の予算総額を約27兆円に積み増す。GDP比では1%以内に収まる。
政府・与党が米国向けに検討するのが従来の防衛費とNATO基準で算出した防衛関連費を2本立てで採用することだ。
 
岩屋氏は9日の衆院安保委でNATO基準の適用に関し「日本の場合、防衛費は厳格に計算しているが、国際会議で安全保障上どれほどの貢献をしているのか議論になった際、参考値として持っておくことも必要だ」と述べた。米国などとの協議では、NATO基準での防衛費の試算を示していく考えだ。
 
 
自衛隊F35A戦闘機 レーダーから機影消え連絡途絶 青森沖
NHK NEWS WEB 2019年4月9日
9日夜、青森県三沢市沖の太平洋上で航空自衛隊の最新鋭の戦闘機、「F35A」の機影がレーダーから消え、航空自衛隊は墜落した可能性があると見て詳しい状況の確認を急いでいます。機体にはパイロット1人が乗っていたということで、現在、自衛隊の哨戒機などが捜索に向かっています。
 
航空自衛隊によりますと、9日午後7時27分ごろ、青森県三沢市の東およそ135キロの太平洋上で、航空自衛隊三沢基地に所属する最新鋭のF35A戦闘機1機の機影が、レーダーから消えるとともに無線通信も途絶えたということです。
この機体には、40代の3等空佐の男性パイロット1人が搭乗していて、およそ30分前の午後7時ごろ、三沢基地を離陸したということです。(中 略)
航空自衛隊はレーダーの状況などから墜落した可能性があると見て、詳しい状況の確認を急いでいます。(中 略)
F35Aは、アメリカなど9か国が共同開発した、レーダーに映りにくいステルス性能を備えた最新鋭の戦闘機で、航空自衛隊には去年1月から配備され、現在、三沢基地に13機配備されています。(中 略)
防衛省は、A型を105機、艦艇に発着できるB型を42機導入する計画で、防衛省がことし1月に公表したA型1機当たりの価格は116億円となっています
F35をめぐっては去年9月に、アメリカ軍のB型1機が、南部サウスカロライナ州で訓練中に墜落する事故が起きています