アベノミクスをサポートすることに余念のない日銀ですが、企業短観の数値は冷厳です。
1日に発表した大企業製造業の業況判断指数の下落幅は7ポイントで、第二次安倍政権が発足した12年12月(9ポイント低下)以来、6年3カ月ぶりの大きさです。
それでも政府・日銀は、設備投資と個人消費などの内需が堅調なことから、国内景気は「緩やかに回復」という判断を崩していません。本当にそうであれば結構なことですが。
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6年3カ月ぶり大幅下落 3月日銀短観 景況感悪化、景気後退懸念
東京新聞 2019年4月2日
日銀が一日発表した三月の企業短期経済観測調査(短観)は、企業経営者が景気拡大の「終わり」を意識し始めたことを示す結果となった。代表的な指標である大企業製造業の業況判断指数(DI)の下落幅は七ポイントと、第二次安倍政権が発足した二〇一二年十二月(九ポイント低下)以来、六年三カ月ぶりの大きさ。海外経済の減速が直撃し、「戦後最長の景気拡大」という政府認識の足もとが揺らいでいる。(岸本拓也)
短観では、景気が「良い」と答えた割合から「悪い」を差し引いたDIが、大企業製造業でプラス12となり、二・四半期(六カ月)ぶりに悪化した。一七年十二月調査のプラス25をピークに悪化の流れが続く。
製造業に打撃を与えたのが中国経済の失速だ。今年に入り、ITや半導体関連の需要が落ち込み、国内で中国向けの輸出や生産が減少。短観のDIでも「電気機械」や「汎用(はんよう)機械」などが大きく下落した。主力産業の「自動車」も、日米貿易交渉を四月に控え、三カ月後の先行きのDIは大幅な悪化を見込む。
大企業非製造業のDIは3ポイント下落のプラス21と、二・四半期ぶりに悪化。中小企業では製造業が8ポイント悪化のプラス6、非製造業は1ポイント改善のプラス12だった。
経営者心理の悪化とは対照的に、政府・日銀は、設備投資と個人消費などの内需が堅調なことから、国内景気は「緩やかに回復」という判断を崩していない。
短観では、大企業製造業は、一九年度も引き続き設備投資を増やす計画が示された。ただ、非製造業も含めた「全規模・全産業」では前年割れを見込んでおり、投資判断にも慎重さが垣間見えるようになった。
五月には元号が「令和」に変わり、十連休などは個人消費に追い風となるものの、十月に消費税増税を控えており、お祭りムードが続く保証はない。
政府・日銀内からは「まだ内需が崩れたわけではない」という声が漏れるが、海外経済の減速に、内需の鈍化が加われば、景気後退が現実味を帯びる。
ニッセイ基礎研究所の上野剛志シニアエコノミストは「国内景気の鈍化は明確だが、後退局面と判断するのは時期尚早だ。ただ、海外情勢は見通せず、景気が下振れるリスクは高い」と指摘する。
日銀短観の大企業 業種別 業況判断
今 回
|
変化幅
|
先行き
| ||
製 造 業
|
12
|
-7
|
8
| |
汎用機器
|
20
|
-27
|
22
| |
非鉄金属
|
-9
|
-21
|
-3
| |
電気機械
|
9
|
-12
|
7
| |
生産用機械
|
31
|
-9
|
22
| |
自 動 車
|
15
|
1
|
4
| |
非 製 造 業
|
21
|
-3
|
20
| |
卸 売 り
|
11
|
-14
|
13
| |
運輸・郵便
|
12
|
-8
|
9
| |
対個人サービス
|
33
|
-4
|
31
| |
電気・ガス
|
7
|
-3
|
5
| |
建 設
|
46
|
4
|
36
| |
全 産 業
|
17
|
-4
|
14
|