2019年4月2日火曜日

働き方関連法が4月から施行

 働き方の改革と称した「働き方関連法」が1日に施行されました。
 残業の上限規制は勿論働ぎすぎを防ぐものですが、「単月で百時間未満」ではとても規制とは言えません。
 残業規制適用を1年間猶予された中小企業では、大企業が労働時間を短縮する、中小の下請けに納期の前倒しが要求されるため、労働時間が長くなる例が増えています
 また、大手チェーンの傘下にあっても個人事業主であるコンビニやクリーニング店などの経営者には上限が適用されないことや、建設現場や運転手として働く人たちが5年間は対象外とされていというのも問題です
「高度プロフェッショナル制度」導入可能になりますが、過重労働につながる懸念に加え、将来適用範囲の歯止めが利かなくなる危険性があります
 
 審議不十分のままで昨年強行採決されたこの法律は様々な問題を抱えています。
 東京新聞の記事を紹介します。
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<働き方改革の死角> 残業規制など関連法施行 抜け穴、過重労働懸念
東京新聞 2019年4月1日
 「働き方」関連法が一日、施行された。働き過ぎの是正などに向け、残業上限規制をはじめ一連の施策が順次導入される。だが、施策には抜け穴や副作用もあり、現場で働く人たちの声が反映されるかが実効性のカギとなる。
 
 社員を働かせてよいのは法律で一日八時間、週四十時間以内が決まり。会社と労働者側が「三六(サブロク)協定」と呼ばれる約束を結べば残業が可能だが、従来は残業時間の上限が事実上なかった。一日からは「単月で百時間未満」などの上限が設けられ、罰則もある。
 ただ、百時間は労災で過労死認定される基準と同じで、過労死した人の遺族からは「甘い」との批判が出ている
 会社ごとの実際の上限は三六協定で決まる。すでに協定を結び直した企業もあるが、これから設定する企業も多い。働く側も過重労働を防ぐ観点から、上限設定について経営者と十分に協議する必要がある。
 
 残業規制導入では、適用を一年間猶予された中小企業へのしわ寄せも心配されている。大企業が労働時間を短縮するため、中小の下請けに納期の前倒しを命じ、労働時間が長くなる例が増えているからだ。
 また、大手チェーンの傘下にありながら個人事業主であるコンビニやクリーニング店などの経営者には上限が適用されない。建設現場や運転手として働く人らが五年間は対象外とされる問題もある。
 仕事終了時から翌日の勤務までの睡眠、休息時間を確保する「勤務間インターバル」は欧州では最低十一時間とるルール。だが、今回の関連法では、制度導入自体が努力義務にとどまっており、働く側は経営者に導入を要望することが重要だ。
 
 年次有給休暇は、最低五日は取得させないと企業は罰則を受ける。今後、企業は社員から希望時期を聞いて日程を指定し、取得を促す仕組みになる。
 金融ディーラーなど高収入の一部専門職を労働時間規制の対象から外す「高度プロフェッショナル制度」も導入可能になるが、過重労働につながりやすいとの指摘が根強い。
 一連の施策を働き方の改善につなげるには現場の人々の声の反映が不可欠。日本労働弁護団事務局次長の今泉義竜(よしたつ)弁護士は「職場や労組で関連法の学習会を開いて理解を深め、企業に要求してほしい」と話している。 (池尾伸一)