2019年4月13日土曜日

国保料が大幅アップ 年間10万円のケースも 安倍政権の弱者いじめ

 統計不正によって“アベノミクス偽装”が発覚し政府の景気判断信用も失墜した中で、10月には消費税増税を行う姿勢を崩していないことに、ウォール・ストリート・ジャーナル「安倍首相は増税して景気を悪化させようと決心しているように見える」という社説を掲げました。
 選挙戦術として増税を延期する可能性はまだ残されていますが、選挙にそれほど悪影響がないと分かれば、たとえそれによって日本の経済がダウンすることになっても断行することでしょう。
 安倍首相には、選挙に勝ち抜くことともう一つはトランプ大統領の機嫌を取って保身を図ることしか眼中にありません。どんなに庶民が苦しもうとも、どんなに国益を毀損しようとも構わないのです。
 
 安倍政権は2018年4月から、市町村が担当していた国保の財政運営を都道府県に移しました。それはこれまで市町村が保険料を抑えるためにおこなってきた国保会計への公費の繰り入れをやめさせるためで結果として国民健康保険料は大幅にアップしました。
 共産党試算によると2019年度以降、市区町村が「標準保険料率」通りに国保料を改定した場合、全国の約8割の自治体で平均4万9000円も値上げになります。東京都新宿区で9万8500円もの値上げになります。
 国保料だけでなく、初診料値上げや、在宅医療の往診費用の値上げ、40歳以上の介護保険料の負担増さらには高額療養費の負担の上限額の大幅アップも行われます。
 
 トランプ氏のご機嫌を取るため、米国製超高額の兵器の購入には国税を湯水のように使いますが、その分を弱者にしわ寄せするわけです。
 国保料、医療費アップの詳細はこれまで折に触れてしんぶん赤旗が報じてきましたが、LITERAがその総集編的な記事を出しました。
 なお記事中で紹介されている元の記事は下記のとおりです。
     (しんぶん赤旗2月24日)18年度改定 国保料 大都市で高騰/4人世帯都区部の大半 年42万円超
      (しんぶん赤旗3月15日)8割の自治体で平均4.9万円値上げの危険/ 国保問題が選挙の大争点に
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国民健康保険料が大幅値上げ、年収400万円で年間10万円増額のケースも!
安倍政権は“人でなし”政権だ
LITERA 2019年4月12日
安倍晋三首相は増税によって、景気を悪化させようと決心しているように見える」──消費税の10パーセントへの引き上げまで半年を切ったなか、米経済紙のウォール・ストリート・ジャーナルが5日、こんな社説を掲載し、話題を呼んでいる。日銀短観をはじめとして経済指標がさえない内容であるのに増税を実施するのは「自傷行為になるだろう」と言うのである。
 それでなくても統計不正によって“アベノミクス偽装”がおこなわれていたことが発覚し、景気判断も信用に値するのかと不信感が高まっているというのに、何事もなかったかのように消費増税に踏み切るというのはあり得ない。
 
 しかも、今年以降、わたしたちの生活を直撃するのは、消費増税だけではない。国民健康保険の保険料が大幅に値上がりするというのだ。
 安倍政権は2018年4月から、市町村が担当していた国保の財政運営を都道府県に移した。国は“財政基盤を拡大することで国保財政を安定化させる”などと説明するが、実際には、これまで市町村が保険料を抑えるためにおこなってきた国保会計への公費の繰り入れをやめさせ、都道府県の算定する「標準保険料率」に合わせることを求めるものだ。
 
 国はこの変更で国保料が値上がりした市町村は全体の23パーセントだと言うが、しかし、国保の加入者の多い都市圏では値上がりした地域が続出。たとえば、「給与年収400万円・30代の夫と専業主婦、子2人の4人家族」の場合、東京都は51市町区村が値上げとなり、10市村が据え置き、値下げとなったのは千代田区のみ。しかも、江戸川区は年1万2300円の値上げで国保料は43万円に達し、21の区で年6800~8600円増となり、国保料は42万円を超えたという。また、「年収240万円・非正規雇用の単身者」の場合も、東京都では72.6パーセントが値上げされている(しんぶん赤旗2月24日)。
 しかも、話はこれで終わりではない。この各都道府県の「標準保険料率」をもとに共産党が独自試算したところ、2019年度以降、市区町村が「標準保険料率」通りに国保料(税)を改定した場合、全国の約8割の自治体で平均4万9000円も値上げになることがわかったというのだ。
 
 この試算によると、たとえば東京都新宿区で「給与年収400万円・4人家族(30歳代の夫婦+子2人)」の場合、「2018年度の実際の国保料の額」は42万6200円だが、「2019年度の市町村標準保険料率で計算した国保料の額」(以下、2019年標準料試算)はなんと52万4700円。その差は9万8500円にもおよぶ。大阪市の場合も41万9500円(2018年度)が、2019年標準料試算では45万9900円となり、4万400円も高くなる。
 
 そもそも、国保の加入者は高齢者や非正規雇用の若者といった低所得者が多い。だが、「給与年収240万円・単身者(20歳代)」で新宿区の場合、試算では2018年度が16万2600円であるのに対し、2019年標準料試算では20万400円に跳ね上がる。こうした値上がりは名古屋市(16万9600円→17万6500円)、大阪市(20万2200円→21万2400円)や京都市(17万7200円→19万1800円)、福岡市(18万4900円→19万7600円)も同様だ。
 また、「年金収入280万円・高齢夫婦世帯(夫230万円・妻50万円、ともに65〜74歳)」で新宿区の場合は15万5000円→19万800円で3万5800円の値上がりで、名古屋市でも12万9000円→14万2300円、大阪市で16万6600円→18万2300円、京都市15万1100円→16万5000円、福岡市15万3400円→16万5400円となっている。
 
初診料や往診料など医療費が値上げラッシュ、安倍政権は「人でなし」政権
 高齢者や若者の貧困が深刻な社会問題になっているというのに、これほど大幅に値上がりするようなことがあれば、それは命にかかわる問題となるのは必至だ。一応、「標準保険料率」の活用は都道府県の判断にかかわり、市区町村も独自に負担抑制などを維持することも可能な状態ではあるが、7日の41同府県議選・17政令市議選で自民党が2015年を上回る議席を獲得した結果を見ると、都道府県や市区町村が国の圧力を撥ねつけるようなことができるのか、疑問だ。むしろ、安倍政権の徹底した「弱者切り捨て政策」を考えれば、数年のあいだにこうした試算のように大幅な値上げが起こる可能性のほうが高いだろう。
 
 いや、現実にこの4月からは、すでに生活に追い打ちをかけるような「値上げラッシュ」が起こっている。
 この問題を取り上げた「女性自身」(光文社)4月3日号によれば、「一部医療機関の初診料が800円値上げ(医療費3割負担の人は240円、1割負担の人は80円の値上げ)」や「一部在宅医療の往診費用が月2000〜4000円値上げ(うち1〜3割が患者負担)」、「40歳以上の介護保険料の負担増(65歳以上・大阪市の場合、月1000円以上の値上げ)」などがこの4月からはじまっている。そして、8月からは高額療養費制度も70歳以上を対象に、「年収約156〜370万円の世帯では外来費用は1人当たり支払い上限が1万4000円までだったのが、1万8000円に引き上げ」に。さらに、「年収370万円以上の世帯では1カ月の総医療費の上限額が約8万円だったのが、収入によって段階的に引き上げられ、最大で約25万円以上」となる
 
 こうした医療や介護といった命や生活の質にかかわる、けっして削れない分野で軒並み値上げした挙げ句、追い打ちをかけるように10月からは消費増税……。格差・貧困の拡大が叫ばれるなかで、法人税を引き下げる一方、低所得者ほど負担が大きい逆進性の高い消費税を増税しようという安倍政権の弱者に対する鬼畜ぶりはどうだ。成果などまるでない口だけの「アベノミクス」の幻想に惑わされず、統一地方選後半や参院選では投票によって、この「人でなし政権」にNOを叩きつけるほかないだろう。 (編集部)