経済学者の植草一秀氏が、安倍首相が豪語した「108兆円の経済対策」の中身を分析しました。
108兆円の中でいわゆる真水(財政支出)は39・5兆円とされていますが、そのなかの12・5兆円は財政投融資であって財政支出ではないということです(財政支出額は27兆円)。
27兆円のうちいま必要なのは ▽感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発の2・5兆円と ▽雇用の維持と事業の継続の12・2兆円なので、これを、公平、透明、直接の方法で国民に給付すればよいとして、消費税率ゼロ、1人10万円の給付金だけをまず実施するべきで、その二つを実行するだけで安倍内閣の対策の100倍以上の効果があると述べています。
経済対策で新たに財政支出される額は、補正予算(一般会計で16・7兆円、特別会計で1・9兆円)の合計18・6兆円でしかなく(108兆円云々は詐欺)、そのごく一部だけが困窮者の生活を支える支出になるものであって、まったく意味のない利権まみれの財政支出が大半を占めているとしています。
そしてこの危機に直面してなお利権まみれの財政運営というのが安倍内閣の実態だと批判しています。
植草一秀氏のブログ「知られざる真実」を紹介します
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国民をなめ切っている利権まみれ安倍経済対策
植草一秀の「知られざる真実」 2020年4月8日
安倍政治では国民は救われない。経済対策が決定されたが、立案しているのは官僚機構である。官僚機構は国民のことなど何も考えていない。ただひとつ。それぞれの省庁の利益だけを考える。
政治屋はどうか。政治屋は金と票のことしか考えていない。
いま必要な施策対応は国民生活を支える財政支出である。
1.国庫から国民に直接、財政資金を給付する。
2.減税を実施する。
コロナ対策はこれだけでいい。広く、公平、透明に財政支出を実施する。間に何も介在させない。これが正しい政策対応だ。
すべての国民に一律一人10万円の給付を行う。消費税の税率をゼロに引き下げる。必要な資金は35兆円である。真水35兆円は大きな財政支出でないが、まずはこれを実施する。
安倍内閣は108兆円の経済対策だとするが、この数値に何の意味もない。納税を繰り延べる金額まで含んでいる。算数の勉強から始めた方が良い。
108兆円は、
1.昨年12月の総合経済対策 19.8兆円
2.緊急対応策 2.1兆円
3.今回の緊急経済対策 86.4兆円
を足し合わせたもの。
事業規模というのは、単なる数字の積み上げで、このなかに納税額の延納というものまで含まれる。安倍内閣の専売特許と言えるペテンそのものだ。財政支出はこのなかの一部に過ぎない。
合計金額は39.5兆円とされるが、これは
1.昨年12月の総合経済対策 9.8兆円
2.緊急対応策 0.5兆円
3.今回の緊急経済対策 29.2兆円
を足し合わせたもの。
しかも、この39.5兆円のなかの12.5兆円は財政投融資で財政支出でない。
投融資を受けても苦しみは除去できない。
財政支出は昨年12月からの三つの対策合計で27.0兆円に過ぎない。
その目的別内訳は
1.感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発
2.5兆円
2.5兆円
2.雇用の維持と事業の継続
12.2兆円
12.2兆円
3.次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復
2.8兆円
2.8兆円
4.強靱な経済構造の構築
8.0兆円
8.0兆円
5.今後への備え
1.5兆円
1.5兆円
いま必要な施策は1と2だけである。これを、公平、透明、直接の方法で国民に給付すればよい。
消費税率ゼロ、1人10万円の給付金だけをまず実施するべきなのだ。35兆円の施策だ。
この二つを実行するだけで安倍内閣の対策の100倍以上の効果がある。
経済対策で新たにどれだけの純粋な財政支出があるのかを知るには、補正予算の規模を見ればよい。補正予算の規模は一般会計で16.7兆円、特別会計で1.9兆円の合計18.6兆円しかない。108兆円は完全な詐欺。
真水18.6兆円のごく一部だけが困窮者の生活を支える支出になる。
まったく意味のない利権まみれの財政支出が大宗を占める。
危機に直面して国民は分断される。国民全員に一律の施策を実施することが危機意識の共有を生むことをあまりにも軽視している。
危機に直面してなお、利権まみれの財政運営というのが安倍内閣の実態だ。
感染拡大を防ぐことができないだけでなく、国民生活を支えることもできない。
このような政権を存続させることが日本国民の不幸の主因になる。
(以下は有料ブログのため非公開)