2020年4月29日水曜日

29- アベノマスク 漏れ率100% ユースピオ社は疑惑まみれ(LITERA)

 厚生省が妊婦などに向けてまず50万枚配布したマスクは、髪の毛の混入や汚れ黄ばみがあるとして、27日昼時点で約400の市町村から箱ごとの返品を含めて、3万枚が厚生省に返品されたということです。現在は配布を中止しています。
 首相が全戸に2枚ずつ配布すると謳ったアベノマスクにもやはり虫や髪の毛の混入、黒色・緑色のカビの付着などが確認されています。到底使えるモノとは思えませんが、厚労省は包装後に目視検査を行って配布を進めようとしました。しかしマスクを納入した3社のうち、大手メーカーの興和と伊藤忠商事23日、未配布のマスクを全量回収し海外や国内で品の検査を徹底すると発表しました。
 さて肝心のマスクの性能についてですが、聖路加国際大の大西一成准教授が「アベノマスク」の微粒子漏れ率を計測したところ5回とも漏れ率が100%でした。マスクが小さくて顔に密着しないためマスクの周りを顔にしつけて測っても漏れ率は97%で大西準教授は「感染を防ぐ効果は期待できない」としました。WHOのトップも述べたように、ガーゼ・マスクの阻止率が低いことは衆知の事実で、洗濯して繰り返し使えるからという理由で採用した結果がこの有様です。
 本質的なことではないにしても、洗えば縮むマスクなのに最初から小さめの寸法に決めるというのも論外です。これでは466億円をドブ捨てるも同然ということになります。

 ところで政府が頑なに公表しなかった布マスクの受注業者の1社が「株式会社ユースビオ」という会社であることが27日ようやく公表されまし。しかしそれは得体のしれない会社で、何故か会社の戸籍簿に当たる登録書類の閲覧が禁止になっているということです。
 他の3社は公表したのにこの分だけ頑なに公表を拒んでいたことと言い、まことに胡散臭い話です。

 28日の衆院予算委で立憲民主党の大串博志衆院議員がこの問題を取り上げました。
 質問に逆ギレした安倍首相は、いつもの調子で延々と関係のない答弁を続けるなどして紛糾させました。「答弁を邪魔された」、「私が時間稼ぎする必要なんかない」などと何とも異常な態度でした。LITERAの記事を紹介します。
(関連記事)
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アベノマスク“隠されていた1社”にさらなる疑惑  安倍首相は逆ギレ、
自分のマスクの有効性強弁も「漏れ率100%」の悲惨な実験結果
LITERA 2020.04.28
 「アベノマスク」をめぐり、政府が頑なに公表しなかった妊婦向け布マスクの受注業者の1社が「株式会社ユースビオ」という会社であることが昨日ようやく公表されたが、それがさらなる疑念を生んでいる。
 このユースビオの社長に取材をおこなったメディアは「癒着は一切ない」「癒着の噂全否定」などと報じているが、疑念は深まるばかりだ。
 そもそも、他の受注業者は興和や伊藤忠商事、縫製大手であるマツオカコーポレーションといった名の知られた企業である一方、ユースビオはホームページさえも見つからない会社。さらに、法人登記簿に記載する定款の「目的」を4月1日に変更、10日に登記されているのだが、変更前は「再生可能エネルギー生産」や「バイオガス発酵システム」の研究開発と販売や、「ユーグレナ等の微細藻類」「オリゴ糖等の糖質」の生産・加工と販売などといったものが並び、マスクに結びつきそうな事業目的がなかった。しかも、同社社長が2018年には消費税約3100万円を免れたとして消費税法違反などの容疑で懲役1年6月、執行猶予3年の判決が出ていたことも判明。こうした情報から、ネット上では「どうして政府はこの会社に受注したの?」と訝しむ声が次々にあがった。
 一方、同社の社長は契約の経緯について、「もともとは、福島県や山形県につてがあって、そこにベトナム製のマスクを用意してほしいと頼まれた。その準備をしていたら、『国が一括で集めることになった』と言われたので、そちらにシフトしてスペック表やサンプルを提出し、受注する流れになった」(デイリースポーツ27日付)と語り、自身が公明党員であるとし、安倍首相や政府との癒着についても「ないですよ。安倍さんとも自民党とも、何の付き合いもない」と否定。執行猶予中であることも認めている。
 しかし、国内外にマスク製造や輸入が可能な企業は数多くあるはずなのに、どうしてこの会社が選ばれたのかという疑問は残ったまま。いや、大前提として、ここまで同社との契約に「何かあるのでは」と疑いの目が集まるのは、政府が必死で企業名を隠してきたためだ。

 そして、実際に本日の衆院予算委員会でもユースビオが受注企業に選ばれた問題について追及がおこなわれたが、安倍政権は何ら納得のいく説明をおこなわず、正当性だけを主張したのだ。
 まず、この問題を取り上げた立憲民主党の大串博志衆院議員が「この会社はどういう会社か」と質問すると、加藤勝信厚労相は「福島県福島市に本社を持って、輸出入業務をおこなっている企業」と答弁。さらに「3月16日に予備費で契約した。緊急随契(随意契約)」「木質ペレットの関係の輸出入業をやっていた」と述べた。
 だが、前述したように、法人登記簿には最近まで事業目的にマスク製造や輸出入に関連した事業はなく、4月1日におこなった変更によって「貿易及び輸出入代行業並びにそれらの仲介及びコンサルティング」が追加されたばかりだ。つまり、政府との契約後に「輸出入代行業務・仲介」が足されていたのである。
 そこで、大串議員は「3月中は会社の目的として輸出入をおこなう定款になっていなかった。そういう会社だと知らないで契約したのか」と問いただしたのだが、ここで加藤厚労相は“輸出入については別の会社が担っている”と言い出し、それは「シマトレーディング」という会社であり、ユースビオは「マスクの布の調達、納品時期等の調整」、シマトレーディングは「生産・輸出入の担当」だったと説明。ユースビオとシマトレーディングの2社が一緒になった契約額が52億円だと述べたのだ。

国会で追及受け安倍首相が逆ギレ「答弁を邪魔された」「私が時間稼ぎする必要なんかない」
 3月の時点でユースビオには「マスク布の調達」のような業務が含まれる定款もなかった上に、唐突に公表された新たな会社名……。問題は、どうしてこのユースビオやシマトレーディングと緊急の随意契約を結ぶにいたったのかだが、加藤厚労相はこう主張した。
「このユースビオは、他の布製マスクの供給をされている方含めてですね、政府によって広く声がけをしていただきました。これは私どもというよりも経産省主体になってやって、これはほかでもこういうことやってます。それに応えてもらった事業者の1社」
「マスクの品質および価格、企業の供給能力および迅速な対応が可能であるかという観点から選定をおこない、速やかにマスクを配布する必要があるということで随意契約をおこなった」
「経産省が広く声がけして応えてもらった1社」というが、それこそ日本には布製品の製造や輸入を手掛ける会社は山ほどある。経産省はほんとうに「広く声がけ」などおこなったのか。実際、大串議員も「私の地元には縫製工場がたくさんあり、マスクもつくっているが、経産省からの声がけなんて話は一度も聞いたことがない」と疑問を投げかけていたが、加藤厚労相はなぜユースビオと契約したのか、納得できるような説明をしなかった。

 このように、いまだ疑問が尽きない「アベノマスク」ならぬ「ナゾノマスク」──。だが、呆れたのは、「アベノマスク」の発案者たる安倍首相の対応だ。
 じつはこの布マスク問題の追及中、大串議員は最初、事務所と宿舎の2カ所に届いたという「アベノマスク」を着用していたのだが、途中で「総理に配っていただいたこのマスク、空気を吸うことがなかなか難しいので代えさせていただきましたけれども」と断って、地元の縫製工場がつくったというマスクに付け替えたのだが、これに安倍首相がキレて、こう非難したのだ。
「私、(アベノマスクを)ずっとしているんですが、あの、全然、息苦しくはございません。意図的にですね、そうやって貶めるような発言はやめていただきたい」
「『息苦しい』とかそういう苦情は、いまのところ聞いてはいない」
「全然、息苦しくない!」と主張した安倍首相だが、しかし、じつはこの質疑がおこなわれる前、午前の質疑が終わったとき、安倍首相は委員長に一礼するやいなや、素早く「アベノマスク」を取り、背広の内ポケットにしまい込んでいた。
 みんなマスクを着用したままなのに(普通、自宅に戻るまでは着用するものだろう)、委員会が休憩に入った途端、布マスクを外した安倍首相……。それは「息苦しかった」からではないのか?とツッコまずにはいられないだろう。
 しかも、大串議員からどうして布マスクの全戸配布を決めたのかとその経緯を説明してほしいと質問された際には、「布マスクはですね、咳などによる飛沫の飛散……」などと訊かれてもいない布マスクの「有効性」について話し始め、「経緯だけでいいですから」と大串議員から言われても「これ大切なところですから」「これも経緯のひとつですから」と強弁し、安倍首相の無駄な答弁を止めてくれと委員長席に駆け寄るなか、「感染拡大に一定の効果がある」「米国のCDCも使用推奨を発表」「シンガポール、パリ、バンコクなどで市民に配布する動きが広がっている」など、長々と主張を繰り広げたのだ。
 これはあきらかに質疑時間を削るための時間の浪費だが、挙げ句、「質問者の方が立たれて答弁を遮られては、これはやりとりにならない」「答弁を邪魔された」「私が時間稼ぎする必要なんかない」などと主張。いつも時間稼ぎのダラダラ答弁ばかり繰り返してきたくせによく言うよという感じだが、当然、「私が時間稼ぎする必要なんかない」という主張に野党席がざわつくと、「(布マスクが)どういう評価を得ているかと話をすると、ヤジで遮られたり邪魔される、直ちに妨害されるのは遺憾」と言い出す始末だった。

マスク研究者がアベノマスクを実験も、5回計測して5回とも「100%の粒子漏れ率」
 しかし、ここで安倍首相が必死になって繰り広げた「アベノマスクの有効性」は、まったくのデタラメだ。
 というのも、本日、AERA.dotに掲載された記事によると、『マスクの品格』(幻冬舎)という著書もある聖路加国際大大学院の大西一成准教授が「アベノマスク」の〈外側と内側の粒子の数を計測して、どれくらい内側に入り込んでいるか〉という「漏れ率」を計測。その「漏れ率」は、5回計測して5回とも〈100%の漏れ率〉だったとし、こうコメントしているのだ。
「ウイルスの取り込みを防ぐという観点から言うと、ほとんど効果がない。布ではフィルターの役割を果たしていないことに加えて、サイズが小さいので隙間ができやすい。一生懸命マスクの周りを押さえて測ってみても、漏れ率は97%でした。人からの感染を防ぐ効果は期待できませんね」
 つまり、専門家の計測では「アベノマスク」は「人からの感染を防ぐ効果は期待できない」ものだと判断されているのに、安倍首相は「感染拡大に一定の効果がある!」などと国会で大嘘の主張をおこなった、というわけだ。
 だいたい、「アベノマスク」の生産を請けた会社に送られたという仕様書によると、「アベノマスク」は〈1枚のガーゼを折りたたんで15重にし、左右の端の1列ずつを縦に縫って、ゴムをかけて完成〉させただけのものであるらしい(前出・AERA.dot)。それで「感染拡大に一定の効果がある」などと国民に喧伝することは、詐欺としか言いようがない。
 だが、「アベノマスク」を揶揄されて色をなしてキレまくったのも、躍起になって嘘っぱちの「アベノマスク」の有効性を主張したのも、それだけ安倍首相が「アベノマスク」の問題に過敏になっている何よりの証拠だ。さらに、受注業者をめぐる問題の追及がおこなわれたことでキレはじめたことを考えれば、そこに突かれたくない理由が何かあるのかもしれない。となると、今後もこの「ナゾノマスク」の追及が必要だ。 (編集部)