共産党の志位委員長は9日、国会内で記者会見し、「補償なき緊急事態宣言」が、さまざまな矛盾を引き起こしているとして、「政府の『緊急経済対策』について抜本的な見直しを求めたい」と述べました。
108兆円と謳う政府の経済対策の実際の中身は、一般会計からの支出16・8兆円に過ぎず、あらゆる点で余りにも不十分であるとしています。
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東京新聞の記事「解雇・雇い止め急増 ホテル・製造・飲食・・・1600人超」を併せて紹介します。
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生活・営業がもちこたえられる補償を 「緊急経済対策」の抜本的見直し求める
志位委員長が会見
しんぶん赤旗 2020年4月10日
日本共産党の志位和夫委員長は9日、国会内で記者会見し、「補償なき緊急事態宣言」が、さまざまな矛盾を引き起こしているとして、「政府の『緊急経済対策』について抜本的な見直しを求めたい」と表明しました。
志位氏は、「補償なき緊急事態宣言」に対する批判と怨嗟(えんさ)の声が渦巻いているとして、「外出自粛要請、休業要請などあらゆる自粛要請に伴う事業者・個人の直接・間接の損失に対して、生活と営業がもちこたえられる補償をしっかりと行うことを大原則にするよう強く政府に求めたい」と語りました。
志位氏は、政府の「緊急経済対策」とそれにもとづく補正予算案について、安倍晋三首相が「世界最大規模の108兆円」と自慢しているが、中身は一般会計からの支出16・8兆円にすぎず、そのうち当面の新型コロナ対応に使える金額は約12兆円で、個人や中小企業への給付金は、わずか6兆円だと指摘。安倍首相は“医療崩壊を阻止する”というが、医療提供体制の整備の予算はわずか8000億円程度だとして、「やる気があるのかが疑われる『経済対策』であり、抜本的に見直す必要があります」と強調しました。
一方、例えばイギリスでは、すべての労働者、小規模事業者、フリーランスに最大毎月2500ポンド(33万円)まで補償していると指摘。「日本のスキーム(枠組み)は給付金一つとっても、あまりに対象が狭い。個人でいえば5800万世帯のうち1300万世帯程度しか対象にならず、中小企業・個人事業者に対する給付も4分の1から5分の1程度しか対象にならない。あまりにも対象が狭い。そして額が小さい。さらに不公平をつくり、何より一回こっきりです。とてもではないけれど生活がもたない。そうなれば、感染の爆発的拡大を抑止するための協力もできないことになります」と述べました。その上で、「一刻を争って、いまの態度をあらためて、外出自粛要請、休業要請によって損害を被るあらゆる事業者・個人に対して生活と営業がもちこたえられる補償を強く求めたい」と表明しました。
志位氏は、全国知事会が8日に出した「『緊急事態宣言』を受けての緊急提言」に言及。この中で ▽休止・中止に伴う営業損失について補償するなど、主催者や事業者が安心して要請に協力していただけるよう、強力かつ実効性のある対策を講じる ▽給付金については、必要に応じて複数回給付を行う ▽入院医療体制で、空床確保にかかわる国庫補助について、病棟単位での確保など都道府県が実情に応じて必要と認めるものについてはすべて対象にする―ことを求めていることに触れ、「給付金は、一回こっきりではダメだと、継続的な給付を求めています。医療の問題も、日本共産党がかねてから主張してきたように、ベッドを空けて待っている病院に対しては、国が負担・補償する、それがなければ体制が取れない、このことが述べられています。この『緊急提言』には、全面的にこたえることが必要だと強くいいたい」と語りました。
記者から、安倍首相が求めた「人と人との接触の8割削減」について、自民党の二階俊博幹事長が「できるわけない」と述べたことについて問われて、「政権・与党の中枢が、自ら呼びかけていることについて『できるわけがない』ということは厳に慎むべきだ」と指摘。「こういう危機的状況のもとで、政府が『あきらめてしまった』というメッセージが伝われば、どんな対策を出そうと、国民の不安は募る一方になる」と語りました。
<新型コロナ>解雇・雇い止め急増 ホテル・製造・飲食・・・1600人超
東京新聞 2020年4月10日
新型コロナウイルスの感染拡大の雇用への悪影響が深刻化している。厚生労働省によると、解雇や、非正規社員で雇い止めにあった人は七日時点で、見込みも含め千六百七十七人と二週間でほぼ倍増。内定取り消しの学生数も急増している。東京都は十日にも幅広い業種に休業要請する見通しで、職を失う人がまた増えかねない。 (池尾伸一)
同省の解雇・雇い止めの人数は失業した人が失業保険受給のためにハローワークに提出した書類や、労働局への企業の相談を通じて、把握した範囲に限られる。そのため、先月二十五日時点の八百八十八人からの急増以上に、実態は悪化しているとみられる。
業種ではホテル、運送など観光関係のほか、製造業、飲食業などが多い。企業が社員を休業させた場合に支給する雇用調整助成金に関する相談も五千六百八十事業所からあり、先月二十七日時点の三千四百八十九事業所から大幅に増えた。
東京都は三月末にバー、ナイトクラブなどの利用自粛を呼び掛けたのに続き、十日にも幅広い業種に休業を要請する方針。政府は雇用を維持した企業に給付する雇用調整助成金について、休業手当の助成率を最大で四分の三(中小企業は十分の九)まで引き上げるほか、売り上げが半減した中小企業への最大二百万円の給付も準備している。厚労省はこれらの資金を活用し、解雇や雇い止めは極力避けるよう企業に要請しているが、手続きが煩雑で時間がかかるとの指摘も多く効果は不透明だ。
一方、三月に卒業した学生の内定取り消しも三月二十七日時点で三十二人(二十二社)だったのに対して、八日時点で五十八人(二十四社)に上った。内訳は大学生や短大生が四十二人、高校生が十六人。厚労省は内定者についても内定取り消しを避け雇用調整助成金の活用で自宅待機などで対応するよう企業に呼び掛けている。
<解雇と雇い止め> 解雇は正社員などが雇用契約を打ち切られること。雇い止めは契約社員や派遣社員など契約期間が決まった非正規社員について、期間満了に際し、次の労働契約を更新しないこと。