2020年4月22日水曜日

国債発行額 過去最大に 平時に大型対策のツケが…

 本年度の補正予算案見直しにより国債の新たな発行額は早くリーマン・ショック後の09年度を超え58兆円に達するということです。
 安倍政権はこれまでもアべノミクスを取り繕うための経済対策を繰り返してきたため、財政余力はもともと残っておらず、コロナ禍以前の段階でも もしも世界不況が起きたら安倍政権には打つ手は残っていないと不安視されていました。
 これまで日銀は株価維持のためにFTNを年間6兆円も購入していましたが、今年からその限度を12兆円に拡張したのもそのいい例です。
 
 問題はコロナ禍の対策が現状で済むのかということですが、勿論1人10万円程度では全く不十分で、この先が見通せないのですから尚更です。国民の生命を守り、中小企業や商店などを倒産から守り、それによってコロナ禍が治まったあとの日本の再生を期すために、さらに20兆円、30兆円が必要になることでしょう。
 500兆円近くある大企業の内部留保を使えればそれが一番いいのですが、無理であればやはり国債に頼るしかありません。勿論それは将来国民にとって多大な負担になりますが、政府の無策によって国民が現実に生命の危機に瀕している以上「緊急避難」的に必要なことです。

 国債を無利子。返済無期限で日銀に購入させる方法もある筈です。ただそんな非常対応を可能にするためには、何よりも先ず安倍政権が責任をとって退場することです。
 そもそも安倍首相には責任をとるという発想が根源的にないので、そのこと自体がこの時期のリーダーとして完全な欠格者であることを示しています。
 東京新聞の記事を紹介します。
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<新型コロナ>国債発行額、過去最大に 平時に大型対策のツケが…
東京新聞 2020年4月21日
 二〇二〇年度の補正予算案見直しにより、国の借金に当たる国債の新たな発行額は早くも年度ベースでリーマン・ショック後の〇九年度を超え、過去最大を更新する。感染拡大が長引けば、今後も生活困難者を助けるための追加の予算が必要となる可能性が高い。平時に危機であるかのように経済対策を繰り返したアベノミクス。そのツケで財政余力に不安が生じている。(渥美龍太)

■長期化でさらなる膨張も
「全ての国民が厳しい状況に置かれている。長期戦が予想される」。麻生太郎財務相は二十日、補正予算案の閣議決定をやり直した後の記者会見で述べた。
 見直した補正予算案は当初予算と足し合わせると百二十八兆三千億円で、これまで過去最大だった一九年度の百四兆七千億円(補正後予算ベース)を大きく上回るが、長びけばさらなる膨張も視野に入る新規の国債発行は現時点で、〇九年度の五十二兆円を上回る五十八兆円に達する
 収入面をみれば、年度当初に六十三兆五千億円と過去最大を見込んだ税収の急減が確実。景気の悪化により法人税などが大きく落ち込む見通しで、経済対策として消費税や所得税など二十六兆円の納税と社会保険料を猶予するためだ。

■追加対策を求める声も
 問題の核心は麻生氏が認めるように、早期の感染終息が見通せないこと。補正予算案に盛り込んだ一律十万円の給付金がたとえ迅速に人々に届いても、経済活動がストップしたままなら、苦境は終わらない。
 千葉県のテーマパークに勤める非正規の三十代女性は会社の方針で休業に入ったが、給与の全額は補償されず、四月の手取りは十万円余りになりそうだという。「この状況が続くと、もう生活ができない」と不安にさいなまれている。
 与野党からは、政府が取り下げた所得減少世帯への給付金三十万円の「復活」など、追加での対策を求める声が早くも相次ぐ。民間の専門家も「今は積極的な財政支出をすべき時だ」との意見が多数だ。

■危機対応の余力小さく
 ただ政府はこれまで「戦後最長の景気拡大」をアピールしつつ、世界景気が良いのに国債を発行して経済対策を五回繰り返してきた。このツケで危機対応の余力は小さくなっており、財務省幹部は「長引くと厳しい」と漏らす
 アベノミクス最大の経済対策といわれ、市場から大量の国債を買い取ってきた日銀の金融緩和も影を落とす。現在は国債の半分近くを日銀が抱える。国内外の投資家が「政府の借金は日銀がまかなっているだけ」とみなせば、国債価格が急落する懸念がつきまとう。日銀が揺らげば日本円の信認に影響しかねない。
 日本総研の河村小百合氏は「急いで生活困難者にお金を届けるのが最優先だが、国債発行以外で財源をまかなう方向性も示す必要がある」と指摘。その上で「事実上日銀に国債を引き受けさせ、漫然と支出を増やしてきた危うさが危機の今になって表面化しかねない情勢だ」と警鐘を鳴らす。