安倍首相は13日におこなわれた自民党の役員会で、「休業に対して補償を行っている国は世界に例がなく、わが国の支援は世界で最も手厚い」と述べたということです。
驚くべき発言、よくも言えるものです、そういう感覚でいるのであればもはや何も期待できません。
LITERAによれば、イギリスでは業種を問わず、外出禁止によって休業に追い込まれた労働者、自営業者の所得の8割、上限約33万円を当面3カ月補償しているし、フランスは商店や零細企業で「一時帰休」となった従業員に対し、給与を手取り分で84%補償しています。
それに対して安倍政権は「1世帯30万円」という見掛け倒しの給付金を謳っていますが、それは最大限で2割の世帯が対象と見られているものの、実際には様々な制約がついていて給付の実績は申込数のごくごく僅かに過ぎません。
中小企業への休業手当は全358万社中、約130万社(36%)の利用を想定しているものの十重二十重の制約が付いていて、企業主に申請する意図があっても煩雑に過ぎて申請すること自体が容易ではありません。
その点、ドイツではネット上の10分程度の入力作業だけで申請手続きは完了し、早い人の場合は翌日には約60万円が振り込まれるほどだということです(LITERA)。
30万円とか100万円とかと数字だけを踊らせる政府のやり口は、文字通り見掛け倒しそのもので、最大限国民を支援しようという意図は感じられません。
そもそも端から申請出来ない人たち、申請しても拒否された国民や中小企業主はどうしろと言うのでしょうか。
政府は軍事費や海外向けのばら撒きには湯水の如く金を使うのに、何故国民の救済にはこんなにも冷酷なのでしょうか。「補償なしの休業要請」が如何に残酷なものであるのかの認識がないのであれば政治は任せられません。
本来国民の生命を守らなければならない政府が、殆ど中身のない見掛け倒しのスローガンに徹している中で、各自治体の首長が住民の救済に向けて最大限の努力を払っているのはせめてもの救いです。
LITERAの記事を紹介します。
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安倍首相が「休業補償は世界に例がない」「わが国の支援は世界で最も手厚い」
と強弁! その嘘を改めて徹底検証
LITERA 2020.04.14
「休業要請と補償はセットで」という国民の声を無視し続けている上、星野源の「うちで踊ろう」を使って自宅で優雅に過ごす動画を投稿し、「何様のつもり」「貴族か!」「ルイ16世か!」と大顰蹙を買ったばかりの安倍首相。SNSには安倍首相に対する怒りだけではなく、補償を求める切実な声も多く寄せられたが、しかし、安倍首相はそうした声に耳を傾けるどころか、驚くようなことを口にしはじめた。
NHKニュースの報道によると、13日におこなわれた自民党の役員会で、安倍首相はこう述べたという。
「さまざまな支援を用意したが、補正予算案の成立を急ぐことで準備を加速させたい。休業に対して補償を行っている国は世界に例がなく、わが国の支援は世界で最も手厚い」
休業補償をおこなっている国は世界に例がない……? おいおい、ちょっと待て。イギリスでは業種を問わず、外出禁止によって休業に追い込まれた労働者、自営業者の所得の8割、上限約33万円を当面3カ月補償しているし、フランスは〈商店や零細企業で「一時帰休」となった従業員に対し、給与を手取り分で84%補償〉(東京新聞12日付)しているという。これにかぎらず、欧米ではさまざまな休業補償策が打ち出されていることは多くのメディアが伝えていることだ。しかし、安倍首相は「休業補償している国は世界に例がない」などと言い張っているのである。
だが、こういうことを主張しているのは、安倍首相だけではない。西村康稔コロナ担当相も、12日に出演したNHK『日曜討論』で「事業者に対する損失補填とか休業補償の枠組みは、諸外国、我々もすべて当たりましたけども、そういう仕組みを取っているところは見当たりません」と発言。翌13日におこなわれた参院決算委員会でも、「諸外国の例を見ても事業者に対する休業補償をやっている例は見当たらない」と答弁している。
さらに、本日14日放送の『ひるおび!』(TBS)では、“安倍官邸の代弁者”である田崎史郎氏が「休業補償をやっていくと際限がなくなる。それがわかっているから世界各国どこも休業補償っていうのはやっていない」と発言。……ようするに、どうやら安倍官邸は「休業補償はどこの国もやっていない。だから日本もしない」ということを主張していく作戦をとりはじめたようなのだ。
しかも、姑息なのは、西村コロナ担当相は安倍首相とは微妙に違い、「事業者に対する」休業補償を実施している例は諸外国にも見当たらない、と主張している点だ。
だが、これもとんだデタラメだ。ドイツでは5人以下の事業所および個人事業主やフリーランスの人たちに約108万円、10人までの事業所で約180万円を一括支給。前述したイギリスの給与補償には個人事業主も含まれ、所得の8割を国が補償している。つまり、「事業者に対する休業補償は諸外国にも例がない」というのは虚偽答弁ではないか。
言うまでもなく、いまは感染拡大によって国民の命が脅かされるという本当の「国難」が到来している。ほんとうに国民の命を守る気があるなら「やれることはすべてやる」というリーダーシップを発揮するときだが、この国の総理大臣はこの期に及んでも「休業補償している国は世界に例がない」などとデタラメな言い訳を並べ立てているのである。
いや、このデタラメな言い訳も醜いものだが、もっと酷いのは、「わが国の支援は世界で最も手厚い」という台詞のほうだ。
この国の支援策は、そのほとんどが融資だの貸付だの猶予であって、「金は貸してやる」「税金の支払いは待ってやる」というもの。いったいこれのどこが手厚いのか。
30万円給付と雇用調整助成金の酷い実態…それでも40%が安倍首相を支持する異常
さらに、何度も本サイトで言及してきたように「1世帯30万円の現金給付」(生活支援臨時給付金)は支給要件が厳しく、対象となるのはほんの一握りの人たちだけ。しかも、「世帯単位で支給」「世帯主の減収が前提」ということ自体が「個人より家族」という時代錯誤も甚だしいもので、こんなときまで安倍政権は「伝統的家族観」を押し付けてきたのである。14日になってやっと世帯主以外の減収も支給する方向で検討すると発表されたが、それでも世帯単位の支給を改めようとはしていない。
個人事業主に最大100万円、資本金10億円以下の中小企業に最大200万円の現金を給付する「持続化給付金」も同様だ。こちらも対象となるのは、新型コロナの影響で売り上げが前年同月比で50%以上減少している場合で、前提から休業要請にともなう補償という考え方に立っていない。
さらに、いま安倍政権や安倍応援団が必死になって「手厚い支援策」として喧伝している「雇用調整助成金」も、既報に詳しいが(https://lite-ra.com/2020/04/post-5368.html)、事業主が申告してはじめて企業に支給されるものであって、事業主が申請しなければ労働者は受けとることができない上、そもそも事業主が雇用保険の適用事業主でなければ対象外だ。また、「中小企業で国の助成率は最大90%」というが、これにも要件があり、さらには事業者側の負担が生じる。実際、「雇用調整助成金を申請して休業手当を払ってほしい」と労働者が要求しても会社が拒否する事例が発生しており、労働者の誰もが受け取れる仕組みになっていないのだ。
そして、最大の問題は、これらの助成・支援策はいずれも煩雑な申請手続きが必要であり、いますぐ受け取れるようなものになっていない、ということだ。他方、世界に目を向ければ、ドイツではネット上の10分程度の入力作業だけで申請手続きは完了し、早い人の場合は翌日には約60万円が振り込まれていたという。一刻も早い生活支援──これこそが安倍首相もよく口にする「スピード感」というものではないのか。
10〜13日におこなわれた共同通信社の世論調査では、緊急事態宣言を受けて休業要請に応じた企業や店舗の損失を国が「補償すべきだ」とした回答は82%にものぼっている。さらに、布マスクの1住所2枚配布の取り組みに対しては、76.2%が「評価しない」と回答している。なのに、こうした国民の声に向き合うことなく、「わが国の支援は世界で最も手厚い」などと自画自賛する……。ようするに、安倍首相は完全に国民をバカにしきっているのだ。
だが、国民にも責任はある。というのも、この世論調査で内閣支持率は3月26〜28日実施の前回より5.1ポイント減の40.4%。不支持率が43%で支持率を上回ったが、いまだに40%も、この国民を舐めきった内閣を支持するというのである。「バカにつける薬はない」というが、いまこそこのバカ総理に支持率というかたちで薬を突きつけなければ、この国はほんとうに取り返しのつかないところまで行き着いてしまう。感染拡大の重大局面のいま、国民はその危機感をもっと強くもつべきだ。(編集部)