2020年4月29日水曜日

コロナ軽症者はPCR「陰性」を確認せずに療養を解除してよいと

 新型コロナウイルス感染が陽性でも軽症ホテルなどで療養となった場合、「14日間の療養」が終わったら、PCR検査を受けずそのまま“療養解除外出OK”となるケースが相次いでいるということです。
 それは厚労省が4月2日付で以下のように「確認免除を通しているためです。
<宿泊療養中又は自宅療養中の軽症者等にPCR検査を実施する体制をとることにより、重症者に対する医療提供に支障が生じるおそれがある場合には、宿泊療養又は自宅療養を開始した日から14日間経過したときに、解除することができることとする>
 要するに重症患者のPCR検査を優先させ軽症者の検査はしなくていいというものです。

 それに対して山野美容芸術短大客員教授の中原英臣氏(感染症学)は次のように述べています。
PCR検査での確認は絶対にやるべきです。厚労省は重症者の検査を優先しているようですが、安倍首相は1日に2万件、検査できると断言しているのだから、軽症者も、十分検査は可能なはずです」
 政府はそれに対してキチンと回答できるのでしょうか。「疑似陰性者」が市中感染を拡大させているとしたら、経済活動を大幅に規制している国民各層の努力も水の泡です。そんなリスクを冒してまで、何故PCR検査を拡大しようとしないのか本当に不思議です。
 日刊ゲンダイが取り上げました。

 併せて日刊ゲンダイの記事「PCR検査費1日1500件のア然…“1日2万件”は予算案から消えた」を紹介します。
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コロナ軽症者はPCR「陰性」確認せず…療養解除の仰天事実
 日刊ゲンダイ 2020/04/28
「陰性」確認しないまま、感染者を外出させて大丈夫なのか――。新型コロナウイルスに感染し、入院した場合、感染者が「退院」できる条件は、PCR検査で2回連続「陰性」となった時に限られている。
 ところが、陽性でも軽症と判断され、ホテルや自宅での療養となった場合、「14日間の療養」が終わったら、PCR検査を受けず、そのまま“療養解除”“外出OK”となるケースが相次いでいることが分かった

「陰性」確認されないまま、感染者が“療養解除”されているのは、厚労省が各自治体に“確認免除”を通達しているからだ。4月2日付の通知には、こう書かれている。
<宿泊療養中又は自宅療養中の軽症者等にPCR検査を実施する体制をとることにより、重症者に対する医療提供に支障が生じるおそれがある場合には、宿泊療養又は自宅療養を開始した日から14日間経過したときに、解除することができることとする>
 要するに、重症患者のPCR検査を優先させ、軽症者の検査はしなくていい、ということだ。
 しかし、いくら軽症者で、14日間療養したとしても、ウイルスが残っている恐れもあるのではないか。実際、熊本県では、検査を16回受けたが、いずれも「陽性」だったため、無症状のまま2カ月間も入院したケースがあった。また、福井県の調査では、退院した患者の平均入院日数は「15.7日間」と長く、担当者は「陰性確認まで2週間程度、軽症の人でもなかなか陰性にならないことがデータからうかがえる」と説明している。

 新型コロナの怖さは、「無症状」でも感染させてしまうことだ。なのに、「陰性」確認せず、外出OKとは、乱暴なのではないか。山野美容芸術短大客員教授の中原英臣氏(感染症学)はこう言う。
「陰性確認せずに療養解除しているとは驚きです。PCR検査での確認は絶対にやるべきです。インフルエンザのように、データの揃っている感染症は、症状が収まってから何日たてば、他人に感染させないと判断できます。でも、新型コロナは未知のウイルスですよ。厚労省は重症者の検査を優先しているようですが、安倍首相は1日に2万件、検査できると断言しているのだから、軽症者も、十分検査は可能なはずです」
「疑似陰性者」が市中感染を拡大させているとしたら、恐ろしいことだ。


PCR検査費1日1500件のア然…“1日2万件”は予算案から消えた
 日刊ゲンダイ 2020/04/28
 新型コロナの緊急経済対策実施に向け、27日、今年度補正予算案の国会審議が始まった。いったん閣議決定した補正案を組み替える前代未聞の事態を招いた一律10万円給付に焦点が当たっているが、見過ごせないのはPCR検査費用だ。ア然とするほどの少なさなのである。

 コロナ対策の最前線に立つ厚労省の補正予算案は総額1兆6371億円。大まかな内訳は
▼感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発=6695億円
▼雇用の維持と事業の継続=9627億円
▼強靱な経済構造の構築=54億円
――だ。この中身について、NHK「日曜討論」(26日放送)で国民民主党の泉健太政調会長がこう発言していた。
「PCR関係には49億円の費用がついている。厚労省にどういう算定なんだと聞いたら、55万件分のPCR検査のお金だと。1日あたりに直すと1500件なんですよ」

 絶句である。この期に及んで検査体制の拡充を棚上げするつもりなのか。確かに、厚労省の補正予算案には〈検査体制の確保49億円〉とあり、〈PCR検査等に係る地方衛生研究所における検査費及び保険適用された検査の自己負担分、新型コロナウイルス感染症の発生動向調査等に要する経費を支援する〉と書かれている。過少検査を批判された安倍首相は6日、「PCR検査体制の1日2万件への倍増」を表明したものの、いまだ数千人しか検査せず、累計検査人数は15万692件(27日正午現在)にとどまる。厚労省に問い合わせると、泉への説明を認め、こう答えた。

「国民の健康と生命を守る」はやはり嘘
「49億円は実績ベースで算出したもので、国内で実施される全てのPCR検査費用に充当します。足りなくなった場合は、追加の補正予算や予備費の活用などでの対応を検討します。予備費も足りなくなれば、財務省と協議することになると思います」(結核感染症課)
 感染拡大にお手上げの安倍は、失点にしかならない実態把握にはヤル気ゼロ。必死こいて守っているのは「国民の健康と生命」ではなく、自分の政治生命なのだ。