2020年4月28日火曜日

日本と東京が陥る“高”陽性率の恐怖(日刊ゲンダイ)

 新型コロナウイルス感染症について、NHK等は東京都を含めて日本の新規感染者拡大数は4月の中旬をピークにして減少に転じたと報じています。しかしPCR検査数が現在でも諸外国に比べて格段に少ない現状では、氷山の一角をとらえて論じることにどんな意味があるのかということに変わりはありません。
 現状で明らかになっている数値として「陽性率」(感染者数/検査者数)がありますが、その実態は下表のおり日本の全体では11%、東京都では40%、大阪府では21%です。
 海外の実態から、陽性率7%を超えるとそれ以下の国に比べ致死率が5~10倍に上がる( ⇒ 陽性率7%未満の国はそれ以上の国に比べ、死者数を1~2割に抑えられている)とされているので実に異常な事態です。
 日刊ゲンダイが取り上げました。

注)なお同記事中の数値は下表と異なっていますが、山中伸弥教授のHP「山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信」https://www.covid19-yamanaka.com/cont3/16.html によると
「注目すべきは検査件数に対する陽性者の割合(陽性率)※ です。東京で約40%、大阪で約20%と高い陽性率となっています。これは危険領域です。非常に多くの陽性者を見逃している可能性が高いと推定されます。アメリカは日本よりはるかに多くの検査を行っていますが陽性率は20%程度で、専門家は、まだまだ陽性率が高すぎるので検査数を3倍は増やす必要があると訴えています。
                                               https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000625188.pdf 
とされていますので、下表の陽性率の値と一致しています。


PCR検査者数・感染者数等(累積ベース)


検査者数
感染者数
死者数
陽性率%
致死率%

日本国
124456
13232
351
10.6
2.65

東京都
9827
3908
100
39.8
2.55

大阪府
6937
1493
27
21.5
1.81

新潟県
2491
69
0
2.8
0
  ・検査者数等は「新型コロナウイルス国内感染の状況(東洋経済オンライン)」27日)
              https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/ 
  ・陽性率・致死率は当事務局が試算
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新規感染者数より刮目 日本と東京が陥る“高”陽性率の恐怖
 日刊ゲンダイ 2020/04/26
 新型コロナウイルスの新規感染者数の推移に疑問の声が上がっている。国内は11日の743人、累計感染者数が最大の東京都は17日の201人をピークに漸減傾向。感染拡大が抑制されているかのようだが、陽性率は高止まりしている。欧州が7%未満、韓国が3%ほどなのに対し、日本は約8・7%、東京は約12・3%。市中感染が広がり、無症状感染者が増加している可能性が高い。パンデミックとなった欧州では、陽性率が7%を超えると死者数が増えたとの分析があり、むしろ状況は危うい。

 都のデータをめぐり、京大iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授がホームページで〈注目すべきは検査件数に対する陽性者の割合(陽性率)〉と指摘。こう続けていた。
〈2月は3%、3月になって4%、7%と増加し、3月末には18%に急増、4月は中旬まで19%を維持しています。検査件数には、同じ人に複数検査した件数も含まれているという事ですので、実際の陽性率はさらに高いと考えられます。これは危険領域です。非常に多くの陽性者を見逃している可能性が高いと推定されます〉

 都の検査件数は16日の1498件をピークに減少傾向。日本全体では安倍首相が6日に「1日当たりの実施可能数を2万件に増やす」と胸を張ったものの、いまだ数千件水準にとどまっている。
 山野美容芸術短大客員教授の中原英臣氏(感染症学)はこう言う。
「日本は一貫してPCR検査件数が少なく、新型コロナの統計データは議論の叩き台としては不十分ですし、信用もできない。岡江久美子さんの急逝は気の毒でなりません。昨年末に初期の乳がんで手術し、今年1月末から2月半ばまで放射線治療を受けていたとなると、免疫力も体力も相当落ちている。そうした中で発熱し、医師の指示に従って自宅待機したところ、容体が急変して緊急入院し、ようやく受けたPCR検査で陽性と判明したといいます。明らかに感染を疑う事例なのに、しゃくし定規に待たせる日本のシステムは訳が分からない。医療事故と言っていいと思います。こうしたデタラメが感染を拡大し、実態を見えなくする要因になっている。都内の特定地域で無作為に1000人ずつ選び、PCR検査と免疫検査を速やかに実施し、実態把握に努めるべきです」

7%超で死者2割増
 千葉大大学院の樋坂章博教授(病態検査学)らの研究グループが初期の感染拡大の程度が近い欧米各国の検査状況と死者数の関係を比較したところ、陽性率7%未満の国はそれ以上の国に比べ、死者数を1~2割に抑えられていることが分かったという。早く手を打たなければ、救命の機会をみすみす逃すことになる。