2020年4月11日土曜日

アメリカの黒人地域でコロナ感染が深刻

 米国の新型コロナ感染者は約465万人と世界一、死亡者は約16,400人でイタリアの約17,700人に次いで2位です。世界一の金持ちで医療のレベルも最高である筈の米国でなぜこんな悲惨な事態になったのでしょうか。それはPCR検査抑制が原因とされ、米国(と英国)はコロナ禍は「集団免疫」で終息させるしかないという考え方で、検査を徹底し隔離するという原則に忠実でなかったためといわれます。
 それに対して韓国やドイツは「徹底的に検査して隔離する」ことに務め、それが感染拡大を防止する最適の方法であることを証明しました。
 米国はいまは韓国流に検査の徹底に切り替えて、精力的に検査をするようになりました。その点の明朗さは大いに評価できるところです。それに対してなぜか日本はいまもPCR検査に熱心ではありません。米国の対応は遅きに失しましたが、ここにきて感染拡大のスピードが鈍化する兆しが見えているという評価もあります。

 米国BBCニュースが、新型コロナの感染が黒人地域で深刻で死亡率も突出していることを報じました。黒人コミュニティーでは糖尿病や心臓疾患、呼吸器疾患が広くみられることが影響しているのかも知れませんが、そのことも含め黒人と白人の社会の断層がコロナ禍を通じて浮き彫りになっています、
 米港は毎年80兆円とも100兆円ともいわれる予算を軍事費に投じている超軍事大国ですが、コロナ禍は米国の思わざる側面をえぐり出しました。超大国の面目に掛けて克服して欲しいものです。
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新型ウイルス、アメリカの黒人地域で感染が深刻 米統計で判明
BBC 2020年4月10日
新型コロナウイルスの健康への影響が、アメリカでは特に黒人に偏って多いことが統計から明らかになった。ウイルスのパンデミック(世界的流行)によって、人種間の経済格差が浮き彫りになっているという指摘が相次いでいる。
米中西部イリノイ州シカゴでは、人口に占める黒人の割合は約30%だが、新型ウイルスによる死者では70%超にもなっている。
黒人住民の比率が高いデトロイトやミルウォーキー、ニューオーリンズ、ニューヨークなどの他州の主要都市でも、新型ウイルスの急激な感染拡大が発生している。

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米ジョンズ・ホプキンス大学の集計(日本時間10日午前10時現在)では、アメリカの感染者は46万5000人を超えて世界最多。死者は1万6000人以上に達している。
全世界の感染者は160万人を超え、9万5000人以上が亡くなっている。一方で、回復者は35万5000人を超えた。

死者の72%が黒人
シカゴ当局によると、同市の4月5日時点のCOVID-19(新型ウイルスの感染症)患者は4680人で、うち1824人が黒人だった。
一方、白人は847人、ヒスパニックは478人、アジア系は126人だった。
同日までの死者は98人で、その72%が黒人だった。
こうした不均衡はイリノイ州全域でみられる。同州の黒人の比率は14%だが、COVID-19の死者では41%を占めている。
シカゴ市の公衆衛生局長アリソン・アーワディ博士は記者団に、同市の黒人住民の平均寿命は以前から、白人住民より8.8歳ほど短いと説明した。
また、仮に全市民が医師にかかれたとしても、「食品砂漠(生鮮食品の購入が困難な状況)や歩きやすい道路の少なさから、健康面の大きい格差はまだ残るはずだ」と述べた。
ローリ・ライトフット市長は、黒人コミュニティーでは糖尿病や心臓疾患、呼吸器疾患が「とても広くみられる」と指摘。
新型ウイルスが「黒人の街シカゴを壊滅させている」とし、市当局が商店などを見回り、社会的距離が保たれているかをチェックすると述べた。

他の地域でも偏り
新型ウイルスは「平等に」感染が拡大すると指摘されているが、統計からは、住む場所によって感染する確率に違いがあることがうかがえる。
黒人の人口比が14%のミシガン州では、6日時点で、新型ウイルスの感染者の33%、死者の41%が黒人となっている。
これに対し、白人は感染者の23%、死者の28%と、黒人より低い。
住民の約80%が黒人の同州デトロイトと近郊には、州内の感染者の約80%が集中している。

同様の偏りは、ウィスコンシン州ミルウォーキーでもみられる。
非営利の調査報道団体プロパブリカによると、ミルウォーキー郡では黒人の人口比は26%だが、3日時点で約1000人に上っていた感染者のほぼ半数が黒人だった。また、死者27人の81%が黒人だった。
新型ウイルスの影響が深刻なルイジアナ州では、COVID-19による死者の黒人の割合は70%を超えている。同州のアフリカ系アメリカ人の人口比は32%だ。
同州内の死者の約40%は、住民の多数を黒人が占めるニューオーリンズ地域で確認されている。
ニューオーリンズ市当局は、肥満、糖尿病、高血圧の住民の割合が全国平均より高いことが、COVID-19に対する同市のぜい弱さにつながっているとしている。

新型ウイルスで断層がくっきり
ヴァージニア州から連邦下院に立候補しているアフリカ系アメリカ人医師のキャメロン・ウェブ博士は、新型ウイルスの世界的流行(パンデミック)によって、人種間の経済格差が強調されているとBBCニュースに話した。
「本当に社会の断層が浮き彫りになっている
シカゴ市議会の黒人議員団トップ、ジェイソン・アーヴィン氏は、「市内の一部で外出禁止命令に従わない人の割合が高い」ことも、比率の違いの一員となっている可能性があると、地元紙シカゴ・トリビューンに述べた。

新型コロナウイルス特集
        (後 略)