2020年4月15日水曜日

コロナ禍 米国の悲劇 日本の悲劇

 ロイター電によると、 米疾病対策センター(CDC)は13日12時時点の米国内の新型コロナウイルス感染者数は554849人、感染による死者数は2万1942人発表しました。いずれも世界一のレベルです。
 一方 日本国内の新型コロナウイルス感染者は、NNNのまとめによと、14日一日で新たに474(内 東京都では161人)に上り、クルーズ船などを除き累計で8151人になりました。また14者数これまで最多の19NHKは15人)に上りました東京都161人(6歳未満90代)のおよそ65%に当たる105人は感染経路が不明だということです15日0:00)日毎の数字は増加の一途をたどっています。

 米国CDCは、国内の感染数がまだ一桁の時点で大流行の惧れがあると発表し、その余りにも早期の警告にむしろ違和感を覚えたくらいでしたが、それにもかかわらず世界一の感染国になったのは何故なのでしょうか。
 東京新聞は、トランプが大統領選を有利に進めようと経済を第一にし、初期の警告を無視したためにコロナが大拡大したとする見方を、具体的に彼の発言を追う形で紹介しました。
 トランプは、日本と同様に初期にはPCR検査を抑えていました。現在彼が1万人規模の抗体検査を行おうとしているのも、経済活動再開に向けてのものということです。

 日本はどうだったのでしょうか。安倍首相(と小池都知事)は3月下旬に東京五輪延期が正式に決定されるまで、ひたすら新型コロナウイルス感染の拡大を隠蔽し、専門家会議のメンバーと一緒になってPCR検査拡大の有害性を説き検査を抑制して来ました。東京五輪の実施が政権の浮揚と自己の政治生命の延長に有利に働くという見方からです。
 1月に最初の感染者が確認されてから2ヶ月を超えているにもかかわらず、軽症者隔離用施設の設置、医療設備の増強、医療スタッフの増強、ドイツなどが行っているコロナ患者収容ベッドを確保している医療施設への経済的支援などの施策を何一つ行わないまま現在に至りました。今になって各自治体が大わらわで隔離施設の確保に向けて奮闘しているというのが実態です。

 不思議なことにいまだにPCR検査を保健所などが独占しているため、関係者の疲労は極限に達しているということです。なぜ数十倍の検査能力を有している民間組織を活用しないのでしょうか。コロナの院内感染が多発しているのも、未確認の感染者が市中に放置されている結果です。専門家会議が検査を拡大すれば医療崩壊を招くとして抑制的であったのも明らかな誤りでした。なぜ台湾、韓国、それにドイツなどが行っている「知恵」を指導的に発揮しなかったのでしょうか。彼らにすればそれは政治の役目という思いがあったのでしょうが、安倍官邸や厚労省にはそもそもそんな能力はないし意思もありません(彼らがやっていることはひたすら「自粛」「自粛」と叫ぶことだけです)。「今だけ、金だけ、自分だけ」はここでも健在です

 東京新聞の記事と植草一秀氏のブログを紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<新型コロナ>トランプ氏 なお経済固執 初期の警告軽視 コロナ拡大
東京新聞 2020年4月14日
写真
【ワシントン=金杉貴雄】トランプ米大統領が新型コロナウイルス感染拡大を受け国家非常事態を宣言してから十三日で一カ月。感染は爆発的に拡大し、宣言時四十人ほどだった国内死者は二万二千人を超え世界最多となった。政権内で初期に出されていた警告に応じず被害拡大を招いたと批判されるトランプ氏。大統領選をにらんで早期の経済再開に固執する姿に懸念の声が上がっている。
 死者数の半分近くを占めるニューヨーク州の状況は深刻で、感染者や死者数は右肩上がりではなくなったが高止まりのまま。全米で国民の97%が各州の外出禁止令の対象となり、経済は停滞している。失業率は、一九三〇年代の世界恐慌と同程度まで悪化するとの見方が出ている。
 政権では一~二月の段階でトランプ氏が警告を放置していたとの指摘が相次いでいる。ニューヨーク・タイムズ紙によると、アザール保健福祉長官は一月以降、何度も直接伝え、ナバロ大統領補佐官も一月末にメモで伝達していたという
 だが、トランプ氏は三月上旬まで新型ウイルスが「奇跡のように消滅する」などと軽視し、活動自粛に否定的だった。「前からパンデミックだと思っていた」と強弁したのは、国家非常事態を宣言した後だった。
 米政権の新型ウイルス対策チームのファウチ米国立アレルギー感染症研究所長ら専門家は外出自粛などの措置を二月半ばまでに提言したものの、トランプ氏が受け入れず数週間遅れたという。ファウチ氏は十二日、報道内容を認め「もっと早く始めていれば、救えた命があった」と率直に語った。
 これに対し、トランプ氏は十二日、ツイッターで「記事はフェイクニュースだ」と反発し「ファウチ氏を解任する時だ」との共和党関係者の投稿をリツイートした。
 一方で、積極的なのは経済活動の再開。十万~二十四万人との死者数の予測を六万人に修正。免疫を持っているか調べる抗体検査を全米で行いたいとの意向も示し、早ければ五月一日の経済再開を模索しているもようだ。


コロナで目から鱗 安倍暴政に気付いた
植草一秀の「知られざる真実」 2020年4月14日
興業・芸能・スポーツは為政者が民衆の関心を逸らすための必須のアイテムだ。
米国=CIAは対日占領政策に3S政策を活用してきたとされる。スポーツ、スクリーン、セックスである。民衆の関心を政治に向けさせないための方策だ。
コロナがこの戦術を妨害している。興業・芸能・スポーツが遮断され、これまで政治に関心を払わなかった人々も政治の失態に目を向け始めている。
諸外国がコロナ対応で民衆に対する手厚い対応を示すなか、安倍内閣はドケチ政策を貫いている。
一世帯にマスク2枚を配布するのに466億円の巨大な国費を投入するという。マスクの供給者、梱包作業を請け負う事業者には特需が提供される。
具体的にどの事業者がどのような選定プロセスで選定されるのかを精査する必要がある。

安倍晋三氏と小池百合子氏は3月24日に東京五輪延期が正式に決定されるまで五輪の7月開催強行を主張していた。現在の状況が安倍氏と小池氏の判断力欠落を証明している。
コロナウイルスの感染拡大が大問題になったのは1月下旬。日本は中国からの人の移動をまったく制限しなかった。安倍内閣が警戒態勢を明確にしたのは3月24日からだ。

2月24日に「瀬戸際の1、2週間」との表現が用いられた。この表現は五輪7月開催強行を踏まえたものだ。この時点から上昌弘氏は「長期戦になる」と現実を看破していた。
しかし、五輪を7月に開催するには「長期戦」では都合が悪い。だから「1、2週間」という時間が提示されたのだ。
安倍内閣は3月19日の専門家会議提言を受けて全国の小中高学校再開を宣言した。事態改善を演出した。連動して3月20-22日の3連休の人出が激増した。
ところが、3月24日に五輪延期が正式に決まった。これを契機に感染拡大が深刻であるとの方向にスタンスが急転回した。小池百合子氏もまったく同じだ。
コロナウイルスに正面から向き合ってきたのではなく、すべてが五輪を軸に展開されていたのだ。
安倍内閣のコロナ対策の基本は 五輪優先・検査妨害・ドケチ財政 である。
五輪を優先したためにコロナ対応の基本が完全に歪められた。
3月1日の東京マラソン、3月8日のびわ湖毎日マラソン、名古屋ウイメンズマラソン強行がこの事実を象徴している。東京マラソンでは7万人の濃厚接触が創出された

安倍内閣の最大の誤りはPCR検査を妨害し続けていること。首謀者は加藤勝信厚労相。
主権者は私たち国民だ。安倍自公に政権を委ねてしまっているが、主権者が私たち国民であることは厳然とした事実だ。
私たちが声を上げて検査拡大を強制させる必要がある。野党は国会審議を通じて、検査拡大を安倍内閣に受け入れさせるべきだ。
しかし、加藤勝信氏は検査妨害を貫いている。こんな暴政を放置してはならない。
すべての国民はこの点について大きな声を上げよう。
テレビメディアでは権力に媚びを売る御用芸人が「政府は一生懸命がんばっているのだから批判するのはやめよう」と叫ぶが、この手の御用発言者が暴政を助長している
安倍内閣は108兆円の事業規模の緊急経済対策を提示したが、私たちに手を差し伸べる政策をまったく示さない。一般会計補正予算規模は16.7兆円にすぎない。その予算の大半は利権官庁と利権政治屋が間に入る利権財政支出だ。国民にはドケチ財政を貫く。五輪を推進してきたのも利権が目標なのだ。

この機会にすべての民衆が政治にしっかりと目を向けよう。すべての主権者が政治に目を向ければ安倍自公暴政の現実をはっきりと認識できる。その認識を必ず次の衆院総選挙に反映させる。
この災厄を日本政治刷新の原動力として生かすしかない。
(以下は有料ブログのため非公開)