2020年4月14日火曜日

14- アメリカが不況に向かって進んでいる10の兆候(マスコミに載らない海外記事)

 今度のコロナ禍では米国は世界最大の感染者と死者を出しています。全く予想できないことでした。
 一体いつ終息するのか見通しが立たない中で、米国はいま極めて深刻な不況に向かっているということです。失業保険申請1000万件(4月2日時点)に達しました。
「マスコミに載らない海外記事」が取り上げました。アメリカの社会構造や経済に関する知識がないと正確には読み取れませんが、極めて深刻な事態に向かっていることだけは読み取れます。
 日本も同様です。ゴールドマン・サックス証券のエコノミストによれば、日本の46月期の実質国内総生産(GDP)成長率が前期比年率マイナス25%と、データをさかのぼれる1955年以降で最大の落ち込みとなるとのことです。消費はマイナス25%、設備投資はマイナス40%を予想し、輸出はマイナス60%になるということです。まことに惨憺たるもので、米国に追従するだけの安倍政権ではこのさき何の希望も持てません。
「マスコミに載らない海外記事」を紹介します。
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アメリカが不況に向かって進んでいる10の兆候
マスコミに載らない海外記事 2020年4月13日
マイク・ホィットニー The Unz Review 2020年4月2日
1 失業は度を超えている
 木曜日の失業手当請求から、アメリカがもう一つの深刻な不況に落ち込んでいることは疑いようがない。先週、660万人以上のアメリカ人が失業保険申請をした。この数値は40人以上のエコノミストの最も憂うつな予測を超え、二週間の合計は、涙が出るような1000万件の請求だ。
 CNBCによれば:
「コロナウイルスを封じ込める取り組みが、どう機能するか、もっと良くわかるようになるまで、企業は即座にスタッフを削減したり、最善でも、いかなる新規採用も凍結したりする中、賃金の低い人々は特に強い打撃を受ける。
「我々は不況も、9/11事件も生き抜いた。我々が今回の凋落で見ているものは、これら出来事の両方より実際もっと悪い、とオンライン雇用市場のキャリアビルダー社CEOのイリーナ・ノヴォセルスキーが述べた」。 (CNBC)
 ニューヨーク誌によれば:
「月曜日、セントルイス連邦準備銀行のエコノミストが、コロナウイルスの落ち込みによる失業は4700万に達し、アメリカの失業率を、大恐慌時代のピークより、7ポイント以上高い、32.1パーセントに押し上げると予想した。

2 サービス業は、ウイルスに打ちのめされている
サービス業はアメリカ経済の70%を占めるが、現在この部門はメルトダウンしている。ウルフ・ストリートのアナリストによれば:「雇用は急激に縮小し、雇用されている人々の労働時間も減少した。「雇用指数は、+6.1から-23.8まで下落し、史上最低レベル
小売業は大打撃を受けた。テキサス小売り見込み調査の小売り販売指標は、二月の 既にたたきのめされた-2.5というレベルから、三月の-82.6という、とんでもない史上最低に崩壊し、一般事業活動指標は -5.0というボロボロ・レベルから、-84.2という歴史的史上最低値に崩壊した.
小売り経営者の意見は深刻だ。「我々の商売の大部分が、病院や軍事基地や刑務所のような重要な場所以外ゼロになった。我々は現時点で、大半の従業員を家に帰し、オーナーは、事態が改善するか、悪化するかどうか見ながら、減らした給料を支払い、短期的に福利を負担する余裕があるかどうか決めよう考えている」(ウルフ・ストリート)

3 経済的大虐殺は、あらゆる部門に広がっている
ビジネス・インサイダー:「コロナウイルスが世界中に蔓延する中、不況のリスクは増大している。この危機は、航空会社、船舶、ホテルやレストランに激しい打撃を与える
「貿易や人々の自由な移動に依存する部門は最も影響を受けている」とムーディーズ副社長で、レポートの共著者ベンジャミン・ネルソンが言った。
自動車メーカー、ゲームや小売業界が、サプライチェーン崩壊によって大きな打撃を受けるだろうとアナリストたちは語っている
流行の長期化が経済活動に長く影響を与え、景気後退の動きを高め、より深刻な需要ショックを招くだろう」とムーディーズが述べた。「消費の後退継続が企業収益にダメージを与え、レイオフを引き起こし、消費者感情に影響するだろう。」(ビジネス・インサイダー
 自動車販売も、これまでの二週間に劇的に下がった。水曜日、現代自動車が、2019年の同期と比較して、三月販売が、43パーセント凋落したと報告した。同社では、2019年3月の61,177台の車から、2020年の同月、わずか35,118台に下落した。他の全ての自動車メーカーが同様な需要の弱さを経験している。

4 ウォール街の大量殺人は続く
 水曜日、アメリカ株が、四日間で三度目に再び売られ、先週の弱気市場の持ちなおしを吹き飛ばした。S&P 500は114ポイント下がり、ダウ・ジョーンズは取り引きの終わりまでに、ほぼ973ポイント下落した。先週20%の急騰は、トランプの一兆ドル財政計画に対する一時的反応だったとアナリストは考えている。今投資家は、九対一の率で、株がさらに下がることに賭けている。
「現在、株主の悲観は、これまでになくひどい」とEvercore ISIのデニス・ディバッシャーが述べた。「これがいつ終わるかという予想は排除されつつある」
 ウイルス蔓延前、トレーダーは、低金利や流動性の注入や金融緩和が、株を永久に上げると信じていた。だが暴落する経済と相待った悪いニュースの毎日の大洪水は、株を急速に落ち込ませ、中央銀行に対する信頼に悪影響を及ぼした。水曜、ダウは2009年3月9日の最低6,547より三倍高い、20,943の終値で閉じた。株がまだ更に下がるはずだ。

5 苦闘する消費者は、もはやアメリカ経済を維持できない
 The Mediumの記事が、2008年の金融危機以来、労働力構成がどのように変化したか説明している。インターネットで募集する単発業務を受注して収入を得るギグ労働者は労働力のかなりの部分を占めるが、彼らには、大半の賃金労働者の保護や恩恵がない。これらの独立請負業者は、経済の突然の下方転換で最も影響を受けている。彼らの消費能力は、危機後の回復を弱め、より遅い成長を招くだろう。消費者支出の壊滅的崩壊がやってくるという記事からの短い抜粋をお読み願いたい。
「レストラン労働者や、仕出屋や、ウーバー運転手や、事務、ホテル掃除スタッフから、イベント会場スタッフや、所得をAirbnb収入で補完している人々に至るまで、国中で、時間給労働者やギグ労働者は収入が急落している。大部分、いざというときの蓄えは、ごく僅かか、皆無だ。
現在、アメリカ労働者の36パーセントがギグ・エコノミーで働いている。大半のギグ労働者や時間給労働者は財政的に綱渡りをしている。彼らは収入の短期的な打撃にさえ耐えられまい。それは自動車ローンとクレジットカード破産の、それ以上の急増を意味するだろう。それは医療によって引き起こされる破産の急増を意味するだろう。それは家賃滞納を意味するだろう。それは消費者支出の急落を意味するだろう。ギグ労働者や時間給労働者の収入に対する突然の衝撃は、アメリカの経済的、政治的将来に対して極めて大きな影響を与えるだろう。
1550万人以上のアメリカ人がレストランで働いている。彼らのうち約300万人が貧困で暮らしている。賃貸料延滞は、最終的に、家主の債務不履行を招く。消費者支出は、今アメリカ経済の約70%を占めている。報道によれば、政府の刺激は、四月末まで消費者に届かないかもしれない。ギグ労働者や時間給労働者は今支援が必要なのだ。」(「消費者支出の壊滅的崩壊がやってくる」The Medium
 これらのギグ労働者の一体何人が放置され、アパートや賃貸住宅を失い、路上で暮らし、ホームレスとなって、貧窮するのだろう?

6 アメリカ人は食糧を備蓄し続けている
ウォールストリート・ジャーナルによれば:「これまでの二週間で、レストランが食堂を閉じ、更に多くの人々が仕事や学校に行かず家に留まるよう言われるにつれ、アメリカ人は食物を貯蔵している。チェリオス・シリアルや、ヨープレイト・ヨーグルトや、プログレッソ・スープを製造しているゼネラル・ミルズは、水曜日、北アメリカとヨーロッパの小売業者が更に多くの同社製品を購入しており、需要に応じるため、同社工場は、ほぼ全力で稼働していると述べた。(WSJ)
世界中の消費者が食料貯蔵室に詰め込んでおり、ウイルスによる経済的副作用は、まさに始まろうとしている。戦時の配給や価格統制や家庭備蓄を目にしかねません」と独立コンサルタントでベテラン農業トレーダのアン・バーグが述べた。」(ブルームバーグ)
 CNBC:「当局が大衆に、そうする必要はないと保証している時でさえ、なぜ我々の脳は慌てて買いだめするよう駆り立てるのかについて心理学者たちが意見を述べている。ロンドン芸術大学の消費者心理学者ポール・マースデンによれば
 「それは制御不能だと感じている世界で、人々が「実権を取り戻そう」としているのです。人は自分の理性が妨げられて、ストレスを感じている時、他の人々がしていることを見るのです。他の人々が備蓄をすれば、人も同じ行動をするようになるのです。人々が空の棚の写真を見ると、合理的かどうかにかかわらず、彼らには、それがすべきことだという信号になるのです。」 (CNBC)

大半のアメリカ人には貯金がない
 Yahoo!ファイナンスから:
貯蓄は、アメリカ人にとっての難題であり続けている。
2015年以来、GOBankingRatesはアメリカ人にいくら貯金を持っているか質問している。毎年調査結果は大多数の成人が預貯金口座に、1,000ドルさえないことを示している
今年、GOBankingRatesは5,000人以上の成人に「あなたは、預貯金口座にどれだけ蓄えがあるか?」尋ねた。回答者は、七つの選択の一つを選ぶことができる。
調査で、回答者の58パーセントが1,000ドル以下しか蓄えがないことが分かった。
「国民の大部分が、その日暮らしをしているように思える場合、予期せぬ個人的、財政的困難が起きた際は、適切な貯蓄なしで回復するのは困難ですから、常に気掛かりです」とTD銀行の消費者預金・支払い部長のジェイソン・サッカーが述べた。」 (「アメリカ人の58%が貯蓄が1,000ドル以下しかないことが調査で判明」Yahoo!ファイナンス)

8 世帯債務は史上最高
CNBCから:ニューヨーク連邦準備銀行によれば「世帯債務は2019年に急上昇し、金融危機直前以来、最大の年間増加を記録した。
連邦準備制度銀行支店の新しい報告によれば、去年、世帯債務残高合計が、初めて14兆ドルを超え、6010億ドルにのぼった。増大がそれほど大きいのは、世帯債務が、兆ドルよりわずかに増えた2007年が最後だった
「データは、クレジットカード借り手の滞納への移行は、特に若い借り手の間で、2016年以来、着実に増大していることを示している」とニューヨーク連邦準備制度銀行の上級副社長ウィルバート・ヴァン・デア・クラウが声明で述べた。」(「世帯債務は、12年で最もはね上がったと連邦準備銀行報告書」CNBC)

9 多くの企業は刺激策を受け取るまで存続できないかもしれない
三月中旬、非常事態宣言が全国的に広がり始めるにつれ、顧客や州や地方政府による注文の欠如のため、多くの企業が事業を閉じた。それは経済刺激策で、企業融資や、より大きい失業手当や個人への直接支払いの何週間も前のことだ。
中小企業が、アメリカ個人雇用のほぼ半分を占める。それら企業の一部の完全な破たんが企業家の夢を打ち砕き、多くの人々の暮らしを脅かすだけでなく、財政難が家主や売り手や貸付企業に波及するにつれ、最終的な景気回復の力を次第に弱らせる。
ブルームバーグが編集したデータによれば、この一週間で、全国的に、既に50,000の小売店が閉店し、600,000人以上の労働者を休ませている
全米独立企業連盟は、月曜に主催した刺激策と財源に関するウェビナーに、13,000人の人々が登録する結果になった。ウェビナー終了後、経営者が「私には何か残るのだろうか? 私は立ち退かされるのだろうか? 私は破産申請をしなければならないのだろうか? 私は再開が可能だろうか?」と尋ねる900以上の電子メールが殺到したと彼女が言った:
「電子メールはほとんど私を泣かせるものでした」とミリトは付け加えた。「私がメンバーから聞いているのは、恐れや不確実性や悲嘆です。」(「既に疲弊しているアメリカ企業にとって、刺激策は遅すぎるかもしれない」ブルームバーグ)

10 フード・バンクの需要が突然急激に上昇している
 以下はニューズデーから:
より多くのロングアイランド住民が仕事を失うか、休暇にさせられるか、労働時間や賃金が削減されることが予想されるので、緊急フードプログラムは、今後数週間で、新しい受取人の波に備えている。同時に、ウイルスに感染する危険が高いボランティアは、自身と、困窮している人々を守るため、家に留まっている。
問題を増大させているのは何週間も食物配送が遅延している機能不全な全国サプライチェーンだ。
「それはお互いにとって最悪の事態です」とイントラフェイス・ニュートリション・ネットワークのヘンプステッド無料食堂専務ジーン・ケリーが述べた。「まずくなり得ることは、全てまずくなりつつあります。」
多くの共同体の無料食堂や食料庫が、ボランティアを保護するため、あるいは、礼拝所や非営利団体のような支援機関も閉鎖したため、ここ数週間で一時的に閉鎖した
「彼らが閉まっている理由は、そこで働く人々用のインフラがないためです。食料庫の大多数が、ボランティアに運営されています。平均年齢は70代です。彼らはコロナウイルスに感染するのを恐れています。」 (「ボランティアと食糧供給が減る中、ロングアイランド無料食料庫では需要が上昇」ニューズデー)
 最後に「アメリカ人はコロナウイルスについて心配している。彼らは経済について更に心配している」という題名の記事から
「実際、アメリカ人の圧倒的多数が経済について懸念している。3月20日から3月22日の間に行われたモーニング・コンサルト世論調査で、アメリカ人の90パーセントが、コロナウイルスが経済に影響を与えるのを「非常に」あるいは「多少」懸念しているのが分かったが、アメリカ人は雇用保障も懸念している。3月22日と3月24日の間に行われたエコノミスト/YouGov調査によれば、49パーセントが仕事を失うのを心配していると言った」。(FiveThirtyEight)
 一部の世論調査が「より多くのアメリカ人が、自身の健康より、経済に対するコロナウイルスの影響を心配している」ことを示しているのは驚くことではない。私自身も、そのグループに入るので、トランプ大統領が、この大惨事になりかねない未曾有の問題で、舵取りするのを手伝える、より経験豊かな一流経済学者を加えて、彼の経済チームを拡大するよう希望する理由だ。国全体に影響を与える決定で、Bチーム(クドロー、ムニューシン)は出番ではない。

 マイクはワシントン州在住。彼はfergiewhitney@msn.comで連絡できる。