2020年4月5日日曜日

与野党の医師議員が“アベノマスクの乱” 政権の愚策に決起

 安倍首相が打ち出した「全世帯に布マスク2枚配布」は冷笑の的にしかならないものです。どうすれば国民の人気が得られるかというのが判断の基準のようですが、あまりにも的外れで幼稚に過ぎます。
 「医療崩壊」という言葉はもう聞き古しましたが、だから「出来るだけ医者に掛かる」なというのは全くの間違いです。医療崩壊を防ぐためには、まず医療関係者用の防護用品を十分に供給すること、軽症者用の隔離施設を拡充することで感染拡大を防ぐこと、そのためには、何よりもPCR検査や血清抗体検査を積極的に行うことで感染者を見つけ出し、徹底的に隔離するしかありません(自宅に留まる様にというのが大間違いであるのは言うまでもありません)。
 現在も「帰国者・接触者相談センター」(保健所が運営)は何が何でもPCR検査を断るという姿勢を貫いています。ある人はいくら症状を訴えても断られたためにやむを得ず知人のいた大学病院で検査してもらったところ陽性であった例や、お笑いトリオ「森三中」の黒沢かずこ氏が、発熱し嗅覚や味覚がなくなったため病院に行ったものの、なかなか検査をしてくれないので粘りに粘って検査を受けた結果陽性であった例など、枚挙に暇がありません(なぜかなり陽性と思われる人まで検査を受けさせないようにしているのか実に不思議です。普通の人は黒沢氏のような粘り強さを持っていません)。

 そうした「相談センター」という極めて高い防波堤に安住して、この3ヶ月近く何の対策もしないで来たのが安倍政権でした。
 中国が問題の発生と同時にまず隔離病棟を建設した事例や、新興宗教団体において直接分で延べ4000人に及ぶ感染爆発を起こしながらも、徹底した検査と隔離で克服しつつある韓国の事例、あるいは韓国をはじめマレーシアやシンガポールなどがいち早く特別予算を組んで国民の経済負担を緩和する政策を決めた事例など、先進的な事例はいくつもあったにもかかわらずにです。
 事ここに至っては「医療崩壊」につながる可能性が大きくなりました。
 このまま安倍政権に任せていては「日本自体が崩壊」しかねません。

 医師免許を持つ衆参両院議員による超党派議連「医師国会議員の会」が3日、国会内で会合を開催し、会合では日医の横倉義武会長が挨拶に立ち、日医の下記の要望が共有されたということです。
▼新型コロナ相談外来の公設      ▼医療従事者の安全を守る防護品の確保
▼PCR検査の拡充          ▼採血で行う抗体検査の実施
▼重症患者増大に備えた人口呼吸器の確保

 医療の専門家の立場から実効性のある具体的な要求を政権に突きつけて欲しいものです。
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与野党の医師議員が“アベノマスクの乱” 政権の愚策に決起
 日刊ゲンダイ 2020/04/04
 国内で新型コロナウイルスの感染1例目が判明してから約3カ月。いまだに極度の品薄が続くマスクをめぐり、安倍首相が打ち出した「全世帯に布マスク2枚配布」に世論が怒り狂っているのは言うまでもない。海外メディアにも冷笑交じりで報じられる愚策に業を煮やし、永田町でも医師免許を持つ国会議員が決起。日本医師会をバックに超党派議連を立ち上げた。アベノマスクの乱の様相だ。

日本医師会もバックアップ
 医師免許を持つ衆参両院議員による超党派議連「医師国会議員の会」が3日、国会内で会合を開催。幅広いメンツが集まった。自民党からは代表世話人の鴨下一郎元環境相をはじめとする11人。公明党が2人。立憲民主党は阿部知子衆院議員ら2人、国民民主党は2人、日本維新の会とNHKから国民を守る党はそれぞれ1人。共産党の小池晃参院議員や無所属の桜井充参院議員もメンバー入りしている。
「この1カ月、政府の後手後手対応には本当にイライラしてきた。マスク2枚配布はいわばトドメ。こんな政府には任せていられないと、党派を超えて、1、2日で話がまとまった」(中堅議員)
 日本医師会もこの動きをバックアップ。会合では横倉義武会長が挨拶に立ち、日医の要望が共有された。
▼新型コロナ相談外来の公設
▼医療従事者の安全を守る防護品の確保
▼PCR検査の拡充
▼採血で行う抗体検査の実施
▼重症患者増大に備えた人口呼吸器の確保
――などで、政府のモタモタで医療現場が抱える課題がズラリ並んだ。

 議連に加わった無所属の中島克仁衆院議員はこう言う。
「新型コロナの感染拡大を受け、党派関係なく医師同士で話す機会が増える中、医療現場を知る人間が国会にもいるのですから、政府に対して強い提言をすべきだとまとまった結果です。週末に地元(山梨1区)で外来診療をしている立場からすれば、自分が感染源になる恐怖を当初から感じ、危機感を抱いていた。政府の専門家会議が〈オーバーシュートが起こる前に医療崩壊が起こる〉と提言したのは最大限の警告。それなのに政府の動きは鈍い。布マスク2枚配布はトンチンカンで的外れとしか言いようがありません。世間の空気を読み違えすぎている。与野党の医師が結束し、動かざるを得ない状況なのです」

 この政権に「日本が戦後経験したことのない国難」の対処は無理。衆目の一致するところなのだから、一刻も早く引きずり降ろすしかない。