政府は「一律休校」で休業した保護者に給料を支払った企業に最大で日額8330円を助成、フリーランスには日額4100円を支給すると発表していました。
しかし全国の企業からの申請件数は1000件(3月18日~4月5日)ありましたが、実際に助成された件数はわずか6件でした。他方 フリーランスについては、申請件数500件に対して交付件数はわずか6件でした。
交付率が0・6%とか1・2%とかはあり得ない数字です。これでは「看板に偽りあり」で、国民を救済しようという気持ちがあるのか疑問です(しんぶん赤旗)。
対照的に埼玉県川口市は9日、売り上げが減少した小規模事業者に対し一律10万円を支給することを発表しました。返済不要の給付型で、対象の事業者は最大1万6千件を想定しているということです。実に明快な対策です(しんぶん赤旗)。
また東京都は約4千人いるというネットカフェ難民を締め出すインターネットカフェの休業を決めました。そこを追い出されればホームレスになるしかない人たちが4千人いるのに、都の決めた施策は余りにも貧弱で冷酷なものでした。田中龍作ジャーナルが詳しく報じました。
3つの記事を紹介します。
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交付わずか6件 一律休校 企業への助成金 フリーランス支援金も6件
しんぶん赤旗 2020年4月11日
新型コロナウイルス感染症対策としての「一律休校」で休業した保護者に給料を支払った企業に最大で日額8330円を助成する制度(小学校休業等対応助成金)が3月18日に受け付けを開始して以降、4月5日までに全国で申請件数が1000件にとどまり、交付件数はわずか6件しかないことが明らかになりました。日本共産党の畑野君枝衆院議員の問い合わせに、厚生労働省が答えたものです。
業務委託を受けて働くフリーランスで一律休校に伴い仕事ができなくなった保護者に日額4100円(定額)を支給する制度(小学校休業等対応支援金)では、申請件数が全国で500件にとどまり、交付件数はわずか6件でした。
厚生労働省は件数が少ないことについて、「同助成金・支援金についは今後、申請および支給が本格化していくものと考えている」と説明しています。
両制度は、3月18日から受け付けを開始し、当初は対象となる休暇期間が3月末まででしたが、厚労省は3月31日に対象休暇期間を6月30日まで延長しています。
畑野氏は「深刻な事態だ。企業が助成金を申請してくれない場合、労働者が労働局に申告して、会社に利用を促すことになっている。制度の徹底と改善が必要だ。休校要請と一体の補償をすべきだ」と語っています。
小事業者に10万円 埼玉・川口 売上高減に給付
しんぶん赤旗 2020年4月11日
埼玉県川口市は9日、新型コロナウイルスの影響で売り上げが減少した小規模事業者に対し、一律10万円支給することを発表しました。返済不要の給付型で、対象の事業者は最大1万6千件を想定しています。
市は、財政調整基金を活用し、総額35億円超の独自の小規模事業者などへの支援をします。その中で「小規模事業者等事業継続緊急支援金」として、売り上げが減少した小規模事業者に一律10万円支給することを盛り込みました。市は、審査手続きが厳しくあきらめる業者が出ないよう幅広く募っていくとしています。
さらに、国の給付金制度の対象から漏れた事業者に対しても、事業継続を支援するために総額15億円を投じます。
市民の消費喚起策として、プレミアム付き商品券発行支援事業を実施します。いまは外出自粛を求めているため、実施時期は今後判断します。
東京都お役所仕事 救えるはずのネカフェ難民救えず
田中龍作ジャーナル 2020年4月11日
緊急事態宣言に伴う東京都の休業要請がきょう11日、午前零時をもって発動された。
インターネットカフェにも適用されることから約4千人のネカフェ難民が締め出されるのではないか、と世間は気を揉んだ。珍しくマスコミが注目した。
小池知事は行き場を失うネカフェ難民のためにホテルを借り上げ、空室の都営住宅を充てるなどして救済する、としていた。総事業費は12億円。
だが用意された部屋は400室とも500室とも伝えられた。しかも救済を受けるには都内在住6ヵ月以上という条件が付された。
生活保護申請に行くと、役所はあの手この手で撃退する。水際作戦である。それが今回も発動された。
ボランティア団体や市民団体による抗議の結果、部屋数は増え、都内在住6ヵ月未満のネカフェ難民でも救済申請ができるようになった…と言われる。
11日朝、新宿歌舞伎町のネカフェから締め出された男性(40代・写真)に話を聞いた。彼は都の救済策を知ってはいた。
「申請しようにもきょうは土日だから役所はやってない。しかも400室。どうせ空いてないでしょ。今晩は東京駅で寝ます」。今夜から寝場所を失う男性は、投げやりになっていた。
ところが、500mと離れていない場所で東京都は、行き場を失ったネカフェ難民などを対象にした相談窓口を開いていたのである。
「400~500室」「都内に6ヵ月以上」という、当初の厳しい条件だけが、知れ渡った。そしてネカフェ難民の頭に刷り込まれた。
部屋数が増え、6ヵ月の条件もなくなった・・・改善された後の救済策は周知されなかった。救えるはずのネカフェ難民を救えなかったのだ。
チグハグなお役所仕事がもたらした悲劇である。
~終わり~