9日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)で、政府が休業要請を2週間先延ばすよう自治体に要請した理由について、政府側コメンテーターの田崎史郎氏はクラスター対策班メンバーの西浦博・北海道大学教授が「2週間自粛すれば効果が出る可能性がある」と述べたからだと説明しました。
それに対して当の西浦教授は同日の午後、「休業を2週待つというニュース、耳を疑いました。都知事のようにガンガン閉めて伝播が止まるのです。休業は補償つきで今すぐやらないといけません。自分が2週間の様子見をすると提案したことのようにされているとの連絡受けました。放置すると一人の専門家のせいにされるという危険な構造」(要旨)とツイートし、田崎氏の発言を否定しました。
西浦教授は、その後も怒りの連続ツイートをしましたが、官邸の圧力があったのかどうか、その後削除しました。
政府は休業補償を出したくないために、西浦教授の発言の趣旨とは異なる内容を作り上げて、同教授がそう言っているからと捏造したのでした。安倍政権とその応援団ならやりかねないことです。結果としてコロナの蔓延・感染拡大が防げなくなれば、「自粛」はズルズルとが延長されることになり、その被害は計り知れません。
LITERAが取り上げました。
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「2週間の休業要請見送り」で田崎史郎と西村大臣がデマ!
根拠にされた西浦教授が「田崎=西村ラインの嘘話」「休業はすぐに」
LITERA 2020.04.10
この政権が大事なのはやっぱり自分たちの金だけ、国民を守る気なんてさらさらないらしい。7日、遅まきながら緊急事態宣言を出した安倍首相だが、その裏で、西村康稔コロナ担当相が対象の7都府県知事に休業要請を2週間程度見送るよう要求していたことが明らかになったのだ。
東京都だけはこれに反発し、独自に休業要請を打ち出す予定だが、それも国に押される形でどんどんなし崩しに範囲が縮小されている。こんなことで本当に感染を抑えこめるのか。感染拡大を止めることに効果があると考えたからこそ、私権を制限する緊急事態宣言を出すのを許容したのに、肝心の店舗や企業に休業を要請しないなら、ほとんど意味がなくなってしまう。いや、それどころか感染拡大を放置するようなものだろう。
安倍政権はなぜ、こんな支離滅裂なことをしているのか。理由はもちろん、補償の問題が出てくるからだ。各自治体は休業要請と同時に自粛事業者に営業損失補償することを国に強く求めており、全国知事会も国に要望を出すことを決めている。しかし、安倍首相が緊急事態宣言の際の記者会見で明らかにしたように、政府は補償は絶対にしない方針だ。
「そもそも、安倍政権がなかなか緊急事態宣言を出そうとしなかったのも、経済への影響とこの休業要請にともなう補償を嫌がったからです。しかし、自治体やメディア、国民からプレッシャーをかけられ、緊急事態宣言は出さざるをえなくなった。そこで、あらかじめ2週間の休業要請先延ばしをセットにして、政府が補償しろという流れになるのを止めたというわけです」(全国紙政治部記者)
信じがたい国民切り捨てだが、安倍首相が緊急事態宣言の発出の際に「8割の接触を避ければ、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができる」と述べたのも、まさにこの布石だった。
「そのときに気が付いた人は少なかったですが、この安倍首相の発言も、2週間、外出自粛を続ければ、感染はピークアウトするから、すぐに休業要請する必要がないという意味だった。そして、この安倍首相の発言を受けて、西村大臣が2週間、様子を見ることを自治体に求めたというわけです。シナリオを書いたのは今回も今井尚哉首相補佐官のようですね」(全国紙政治部記者)
しかし、安倍首相が口にした「2週間後のピークアウト」も、西村大臣が求めた「2週間の様子見」も、ここにきてなんの科学的根拠もなかったことがバレてしまった。なんと安倍政権の御用ジャーナリスト・田崎史郎氏がこの「2週間の様子見」を“専門家の意見に従っただけ”として全面擁護、専門家の名前も口にしたのだが、逆に当の専門家に完全否定されてしまったのだ。
それは昨日、9日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)でのこと。政府が休業要請の2週間先延ばしを自治体に要請したことを扱ったなかで、玉川徹氏や岡田晴恵・白鴎大学教授がこの措置を批判、田崎氏が擁護するという展開になった。そのなかで、田崎氏はこう語ったのだ。
「一部で西村康稔担当大臣が『2週間待ってほしい、見てみよう』と言ったと伝えられているんですけども、先程、西村康稔さんに電話して、『一体どういうことを言われたんですか?』というふうに確認しましたら、これ、ご本人が話していいって言うんで話しますと、ひとつは『専門家の意見として2週間やめたら効果が出る可能性があります』、専門家の意見として伝えたと」
田崎氏は西村担当相から直接、電話で聞いたとして、「西村大臣は専門家の意見を伝えただけだ」と証言したのだ。
司会の羽鳥から「それは政治判断じゃないということですね」と確認を受けたが、田崎氏は「そうそう。(西村大臣は)『専門家の意見としてそう言いました』と」と断言した。
そこで、羽鳥が「専門家のほうから『2週間やめたら効果が出る可能性がある』という答えが出たという」と岡田教授に話をふったのだが、岡田教授は「その専門家の方のお名前を私、わかりませんけども……」と困惑。すると、田崎氏が話に割り込んできて「それ、西浦さんがおっしゃっていますよね」と、自らその専門家の名前を出したのだ。
驚いた岡田教授が「西浦さんですか? 北大のですか」と聞き返すと、田崎氏は「データ、先週の金曜日に出しましたでしょ? 彼の予測で」と自信満々に返した。
西浦教授が“そんな提案はしていない”と反論 「田崎さんのソースは官◯ですね」とも
つまり、田崎氏の言う専門家というのは、厚生労働省のクラスター対策班メンバーの西浦博・北海道大学教授のことで、「2週間の様子見」は、その西浦教授の意見を、西村大臣が自治体に伝えたものと明言したのだ。
ところが、それから数時間後、当の北大・西浦教授がこんなツイートをして、田崎氏の発言を真っ向から否定した。
〈Explicit《=明示的》に言わないほうですが休業補償2週待つっていうニュース、耳を疑いました。都知事のようにガンガン閉めて伝播が止まるのですが。。それで自分がSuggest《=提案》したことのようにされている旨を連絡受けました。(後略)〉(9日15時43分)
さらに、その少し後には、田崎氏を名指しするかたちで、こうつぶやいたのである。
〈良かった。否定ニュースが上がっていた。ということは田崎さんのソースは官◯ですね。ぷんぷん。休業は補償つきで今すぐやらないといけません。東京は重症患者が増えていて。。〉
西浦教授は、そのあともこう連続ツイートしていた。
〈少し怒りつつミーティングしましたが知事会での勘違いと説明受けました。放置すると単体専門家が言ったことになる危険な構造ですね。朝の某ニュースの方々は面識ございません。困るなあ〉
〈一切待たずに閉めるべきを閉めていただけるように伝達してきました。うーん。〉
つまり、西浦教授は「2週間の様子見」を自分のSuggest(提案)だとした田崎氏の解説を完全否定しただけでなく、「休業要請を2週待つ」という方針を真っ向から批判。逆に小池知事の即刻休業要請という方針を評価し、休業要請は補償つきでいますぐやらないといけないと断言したのだ。
実際、西浦教授は感染拡大の予測シミュレーションを発表し、NHKの取材などでも「接触を8割減らすことで、対策が長引くことを避け、社会や経済へのダメージを最小限に抑えることができると考えてほしい」(NHKニュース8日付)と呼びかけていたが、外出自粛だけで2週間で効果が出る、休業要請をしなくていい、などと一言も言っていない。
むしろ、「夜の接待飲食の店や飲み会で使う居酒屋、ライブハウスやスポーツジムなどでの接触は、100%に近い形で減らしてもらいたい」という説明をしている。
効果が出てくる期間についても、〈接触を8割減らすことができれば、2週間ほどで1日の感染者数の数が落ち着きはじめ、さらに2週間たった1か月後には効果が出てくることが期待できる〉、つまり1カ月後に効果が出てくる可能性があると説明しているだけだった。にもかかわらず「2週間の様子見を西村担当大臣が自治体に西浦教授の意見として伝えた」などと言い張るとは。完全にデマではないか。
安倍政権のためにデマを振りまき続ける田崎史郎 「肺炎での死亡者全員にCT検査」も
実は、田崎氏はこの間、安倍首相や政権の迷走するコロナ対策を擁護するために、デマを振りまき続けている。
たとえば、PCR検査を抑えてきたことで感染の実態が把握できていない問題でも、安倍首相の「PCR検査の数は少ないが死者の数は多くない」という主張を補強するため、6日の『モーニングショー』で「肺炎での死亡者全員にCT検査をおこなっている」と言い張り、「ありえない」と集中砲火を浴びたばかりだ(しかも、翌日の『モーニングショー』では、肺炎の死亡患者へのPCR検査を実施できていない実態が取材で明らかになった)。
「2週間様子見」についても、前日8日の『モーニングショー』ではまったく違うことを言っていた。
岡田教授から「田崎先生、『8割がたをまず抑えましょう』と、『じゃあ2週間様子を見て、その行動制限、変容を見て、その数値を見て、じゃあ次にしましょう』というのは、専門家会議からのアドバイスなんですか?」と質問されると、田崎氏は「8割がたというのは専門家会議の見解ですよね。いや、専門家会議の、正確に言うと北海道大学の西浦先生……」と答えたのだが、そのあと、岡田教授からさらに「『様子を見ていい』『様子を見ましょう』っていうのは、どこから出てきたんですか?」とつっこまれると、こう答えたのだ。
「それはおそらくね、西村担当大臣と尾身先生の話し合いのなかで出てきたことだと思います」
そう、このときは、専門家会議の副座長で諮問委員会の会長である尾身茂氏との話し合いで決まっていたと言っていたのである。それが、翌日には、西浦教授の意見ということになっていたのだ。
しかし、今回の「“2週間の様子見”は西浦教授の意見を伝えただけ」という嘘は、田崎氏一人の問題ではない。前述したように、これは田崎氏が「西村康稔大臣に電話して、『一体どういうことを言われたんですか?』というふうに確認しましたら、これ、ご本人が話していいって言うんで話します」と明言したうえで語ったことであり、西村担当相が発信源なのだ。
実際、被害者の西浦教授も先に紹介したツイッターで「田崎さんのソースは官◯ですね」と、官邸の手で責任を押し付けられたことを示唆していた。
「“2週間の休業要請見送り”は完全に官邸の政治判断で、専門家会議の意見なんて聞いている形跡はまったくない。ところが、田崎氏が前日、西村大臣と専門家会議の尾身副座長が話し合って決めたと適当なことを言ったため、西村大臣が慌てて訂正、すべてを北大の西浦教授のシミュレーションのせいにしたんじゃないか。たしかに、西村大臣は休業要請延期を求めた際に、知事会には西浦教授の分析を伝えていたようだが、完全に趣旨を歪曲していた。ようするに、最初から最後まで、西浦教授の分析を悪用したんですよ」(政治評論家)
安倍首相の「2週間後にピークアウト」発言も西浦教授の分析を歪曲・悪用したデマだった
いや、西浦教授の分析の悪用は、安倍首相も同じだ。前述したように、2週間の様子見の発端になったのは、緊急事態宣言の記者会見で安倍首相が「8割の接触を避ければ、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができる」という発言だった。
この発言はやはり、西浦教授の分析をベースにしているが、しかし、前述したように西浦教授は「2週間後にピークアウトさせられる」などとは言っておらず、1カ月後に効果が出てくる可能性があると説明しているだけだ。それを安倍首相は微妙にごまかして、休業要請見送りの口実に使ったのである。
自分たちが補償を払いたくないがために、独断で“2週間の様子見”を決めたばかりか、まったく逆の主張をしている専門家の意見を歪曲して、悪用する。これはほとんど犯罪行為だろう。
しかも、安倍政権はこの「専門家の意見を悪用した嘘」をまったくなかったことにするつもりらしい。西浦教授が、休業要請の2週間延期は自分の提案ではないと否定し、すぐに休業要請すべきだと主張した一連のツイートを、すべて削除してしまったのだ。そして、田崎氏も西村大臣も安倍首相も、自分たちがついた嘘を未だ訂正していない。
ただ、西浦教授はよほど腹に据えかねているのか、きょうも再びこんなツイートをした。
〈仕事なので前を向きますが。昨日の「西浦が2週様子を見てから休業補償」と言ったという田崎=西村ラインの嘘話(さて誰が本当の謀略者でしょう)、本日の「厳密には6割だけど」という決した(決して)自分が発していないタイトル、など罠だらけの中で僕たちは生きています。(後略)〉(原文ママ)
安倍政権のインチキは重々承知しているつもりだったが、国民の命が危機にさらされている状況でまだこんな手法を使うとは……。改めて未曾有のウイルス感染がとんでもない政権のときに起きたことを呪わずにはいられない。(編集部)