日本では事の始まりから専門家会議が「医療崩壊」の惧れを警告していましたが、中国、韓国を始めとする諸外国のように、収容ベッドの拡充などの方策は全くとらずにひたすらPCR検査を抑制するだけでした。PCR検査を減らせばなるほど見掛けの感染者数は低く抑えられますが、実際の感染者数が抑えられるわけではないので、実際に医療崩壊が起きています。
全国の警察が4月中旬までの約1カ月間に取り扱った変死体のうち、埼玉、東京、神奈川、三重、兵庫5都県の計11人が、新型コロナウイルス感染を確認されました。変死者に限らず、自宅や病院で亡くなった人の中にも、未確認のコロナ感染者は沢山含まれていることでしょう。
安倍首相は6日のコロナ感染症対策本部で、「もっとも重要な病床の確保については、現在2万8000の病床を5万床まで増加させます」と述ましたが、それは単に各病院で空いているベッド数を集計したものに過ぎず、東京新聞の調査によればコロナ感染者を収容できる空きベッドは1万6百に過ぎないということです。欺瞞で知られた政権ではあっても、この段階になってもなお虚偽の数字を出して上辺を取り繕おうとするとは信じられない話です。
LITERAが取り上げました。
またそのとき「PCR検査体制を1 日2万件に倍増させる」ともいいましたが、これまで1日に8000件を超えたのはたった1日で、直近6日間の平均件数は4000件を下回っています(東洋経済オンライン資料 https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)。
現在でも、新型コロナ感染者の家族ですら「検査の対象にならない」とPCR検査を拒否されているのが実情です。日本の検査数の異常な低さは下表に示すとおりです。
主な国と地域の人口1千人あたりの検査件数
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アイスランド
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105.9
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ニュージーランド
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13.3
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ノルウェー
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23.6
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米国
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8.9
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ドイツ
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16.0
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英国
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4.5
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イスラエル
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19.7
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台湾
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2.0
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イタリア
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18.2
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日本
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0.7
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韓国
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10.2
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(14日、Our World in Dataから。検査件数はドイツが5日、台湾が12日、
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イスラエル、ニュージーランド、米国が13日の数値)
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NHKによれば、検査を受けた人のうち陽性と判定された人の割合:陽性率は、1月15日から3月14日までが全国平均で6・2%だったのに対し、最近では、16日までの2週間の平均は12・9%と2倍程度に増えています。
東京都は3月14日までの平均が10%だったのに対し、4月16日までの2週間の平均は56・1%と異常な高さを示しました。重症者に近いと判断されなければ検査を受けられないという異常な実態がここに反映されています。
検体の分析体制も問題です。PCR検査は6時間ほどで結果が出るのですが、検体の滞貨があるために実際には4、5日掛かっているようです。なぜいまだに民間の検査機関を使わないのでしょうか。
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安倍首相がまた大嘘! 感染者用病床「2万5000床超を確保」と断言も、
実際は半分以下の1万床! 一般病床のベッドも入れ数を操作
LITERA 2020.04.20
先日も「休業補償をおこなっている国は世界に例がない」などと大嘘をついたばかりの安倍首相。しかしここにきて、また新たに安倍首相の嘘が明らかになった。
安倍首相が「確保している」と喧伝してきた病床数に対し、地方自治体から“実態とは違う”という声があがっているというのだ。
まず、2日の衆院本会議では、「ピーク時の患者想定数に対する病床数や医療機器の確保はどうなっているのか」という日本共産党・塩川鉄也衆院議員の質問に対し、安倍首相はこう答弁していた。
「ピーク時の入院患者数等は現在集計中ですが、治療のために必要な病床としては、現時点において感染症指定医療機関の病床を最大限動員し、2万5000床を超える病床を確保しております」
さらに、この答弁から4日後、緊急事態宣言を発出する前日の6日におこなわれた第26回新型コロナウイルス感染症対策本部でも、安倍首相は「もっとも重要な病床の確保については、現在2万8000の病床を5万床まで増加させます」と述べていた。
しかし、17日付の東京新聞の報道によると、現状は「確保している」と安倍首相が豪語する2万8000床にまったく満たないというのだ。
記事によれば、そもそも陰圧制御などの設備が備わった感染症指定医療機関の感染症病床の数は、2019年4月1日時点で全国に1871床しかない。そこで厚労省は都道府県に対して指定機関以外の一般病床で対応できるところを探すよう求めてきたとし、各都道府県も新型コロナに対しどれだけ確保できたかを公表。そうした公表されている数や取材でわかった全国の病床を東京新聞が合算したところ、なんとその数は計1万607床だったという。
ようするに、実際に確保できている病床数は、安倍首相が言っている2万8000床の半分以下でしかないのだ。
どうしてこんなことになっているのか──。その取材から浮き彫りになったのは、あまりに杜撰な安倍政権の対応だ。
〈厚労省の担当者は、これまで説明してきた病床数の根拠について「指定医療機関にある一般病床も含めた空きベッドの数を都道府県に報告してもらい、足し合わせた」と説明する。 だが都道府県の担当者は、国に報告した空きベッド数がそのまま「コロナ対応の病床」として計上されていることを知らなかった。〉
つまり、厚労省は新型コロナ患者に対応できるベッド数ではなく、たんに空きベッド数を挙げさせ、それを足したにすぎなかった、というのである。
しかも、東京新聞の取材に対し、厚労省結核感染症課の梅田浩史・感染症情報管理室長は、こう開き直っている。
「感染症指定医療機関にはもともと専門的に対応できる医師・看護師がいるので、同じ病院の空いている一般病床もコロナ対応に数えるのは妥当だ」
言わずもがな、空きベッドがあっても隔離のできる環境や設備などがなければ感染者用には使えない。にもかかわらず、厚労省はそういった感染者用病床に転用できないものも含めた空きベッドの数を無理やり足して、数合わせしているだけなのだ。実際、青森県の担当者は「報告した空きベッドの数字はコロナ対応病床の調査とは違う」と語り、香川県も「空いているからコロナに使えるとは言えない。感染防護の措置など受け入れ側の対応もあり、個別に県が病院に当たって確約を取る必要がある」と話している。
だが、こんな基本的なことは厚労省だってわかっていたはずだ。にもかかわらず、どうして都道府県に「新型コロナ患者に対応できるベッド数」ではなく、単純に「空きベッド数」を報告させたのか。安倍首相の「やってる感」を演出するために、最大限の数をはじき出すべく恣意的にやったとしか考えられないだろう。
「最低7割減で2週間後にピークアウト」「PCR検査体制を1 日2万件」も嘘だった
医療崩壊の悲鳴が現場から上がるなか、この期に及んでも実態を覆い隠そうとする安倍政権の嘘──。だが、安倍首相はこれ以外でも国民を欺きつづけていることがある。
緊急事態宣言の発出を受けて7日に開いた会見で安倍首相は、「専門家の試算では、私たちが人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減すれば、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができる」と述べ、17日の会見でも「最低7割、極力8割の接触削減を実現できない限り、1日当たりの新規の感染者数を大きく減少に転じさせることは困難」と繰り返した。
だが、この「最低7割減で2週間後にピークアウト」という説明はまったくのデタラメだ。実際、政府が「8割」の根拠としているのは、厚労省クラスター対策班メンバーである西浦博・北海道大学教授が打ち出した「接触を8割減らせば2週間程度で感染拡大が減少に転じる」というシミュレーションが元になっているのだが、西浦教授は「最低7割」などとは言っていない。事実、西浦教授は9日に出演した東京都のYouTube番組でも「(削減幅が)8割だとだいたい1カ月で物事が終わるのに対して、7割だと2カ月程度かかってしまう」と述べている。
ようするに、安倍首相が7日に国民に説明した「専門家の試算では、私たちが人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減すれば、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができる」というものは、真っ赤な嘘なのだ。
しかも、「最低7割」という安倍首相の説明に対し、西浦教授は10日にこうツイートしている。
〈この7割は政治側が勝手に言っていることで、私は一切言及したことがありません。〉
政治側が勝手に言っていること──。これはつまり、医療現場から「このままでは助けられる命も助けられなくなる」という声があがっても、安倍首相は専門家の試算を捻じ曲げ、人命より経済活動を優先させようとしている、ということだ。
そもそも、この「人命より経済」という考え方は、経済対策としても根本的に間違っている。たとえばイギリスは休業支援を打ち出し、徹底して外出を自粛させるという「経済より人命」を優先させているが、そのイギリスのスナク財務相が「いま健全な経済のために私たちができるもっとも重要なことは、国民の健康を守ること」と述べているように、国民の健康を守り、感染拡大を抑え込むことによって、早く経済を回すことが可能になるのだ。
だが、安倍首相は「休業補償をおこなっている国は世界に例がない」と嘘をついて休業補償の実施を拒絶し、専門家が言ってもいない「最低7割減で2週間後にピークアウト」などという科学的根拠に基づかない方針を堂々と打ち出す始末なのである。
このほかにも、「PCR検査体制を1 日2万件に倍増させる」(6日の対策本部)などと言いながら、いまだに検査数は8000件あまりで推移するなど、国民の命にかかわる問題で安倍首相が嘘をついたケースは枚挙にいとまがない。
世界的な危機の最中であろうとおかまいなし、データを捻じ曲げ嘘をつくという平時からつづいてきた安倍政権のやり口で乗り切ろうとしていることに、もっと国民は危機感を持たなければならないだろう。(編集部)
変死の11人がコロナ感染 3~4月に5都県、警察庁まとめ
共同通信 2020/4/20
全国の警察が4月中旬までの約1カ月間に取り扱った変死体のうち、埼玉、東京、神奈川、三重、兵庫5都県の計11人が、新型コロナウイルス感染を確認されていたことが20日、警察庁への取材で分かった。
警察庁によると、警視庁が最多の6人で、兵庫県警が2人、埼玉、神奈川、三重の各県警が1人。警察庁は年齢や性別など詳細は公表していない。
捜査関係者によると、11人は自宅で死亡した人や、路上で倒れていた人など。(後 略)
「感染者の家族ですら検査を受けられない」入院先から訴え
NHK NEWS WEB 2020年4月17日
(前 略)NHKの電話取材に応じたのは、兵庫県内に住む60代の男性です。
男性は同居する父親が利用していた介護施設で先月、新型コロナウイルスの集団感染が起き、父親は検査で陰性だったものの不安があったため、マスクの着用や手洗いなどの感染予防を徹底していました。
しかし今月6日、38度台の熱があり、検査した結果、感染が確認されました。(中 略)
判明後、男性は同居する90代の両親など家族も同様に感染しているおそれがあるとして保健所に検査を求めましたが、「検査の対象にならない」と断られたといいます。
このときのやり取りについて男性は、「母は昨年末、肺の病気で入退院を繰り返していました。90歳を超えていてコロナに感染したら命が危ない。『死んでしまったら保健所は責任をとれるのか』と訴えた」と振り返りました。
保健所に強く求めた結果、家族も検査を受けることになり15日、母親も陽性と確認されたということです。(後 略)
新型コロナウイルス PCR検査の「陽性率」 全国的に上昇か
NHK NEWS WEB 2020年4月18日 19時55分
(前 略)NHKでは、厚生労働省が公表している都道府県などから報告のあったPCR検査を実施した人数のうち、陽性となった人の割合、「陽性率」を調べました。(中 略)
全国の陽性率は、国内で初めて感染者が確認された1月15日から先月14日までが平均で6・2%だったのに対し、最近では、16日までの2週間の平均は12・9%と2倍程度に増えています。
また、患者の数が増えている地域を都道府県ごとに見てみますと、
▽東京都が先月14日までの平均が10%だったのに対し、4月16日までの2週間の平均は56・1%で全国で最も高くなっています。
▽埼玉県は先月14日までは6.5%でしたが、16日までの2週間は17.8%。
▽石川県は先月14日までは4.7%で、16日までの2週間は19.8%。
▽福岡県は先月14日までは0.5%で、16日までの2週間は8%となっています。
このほか過去のデータが一部、公表されていない自治体については、
▽大阪府が16日までの2週間の平均で25・7%、
▽神奈川県が19%、
▽千葉県が15.6%となっています。(後 略)