安倍首相はこの期に及んでもアベノミクスは上手くいっているとして、10日に行われた石破氏との総裁候補の公開討論でも「私の任期中に12%も経済成長した」と述べたということです。しかしそれは内閣府の名目GDP予測値をベースにしたもので、16年末にGDP計算におけるリストアップ項目を変更したことでGDPが3%も上積みされたことを隠蔽し、18年の名目GDP予測値を異常に高く設定した結果です(17年度の名目GDP上昇率は10・4%で18年度実質GDP予測値の上昇率は7・8%)。
言いっぱなしの演説会などで根拠のない数字を挙げるのは、安倍首相の得意とするところで、自分を飾る印象操作にはなかなか長けています。
有効求人倍率が上昇したのも勿論景気が良くなったからではなく、多くの人たちが指摘するように、人口が減少傾向に向かう中で団塊世代が退職したことで労働人口が減少した現れに過ぎません。
アベノミクスによって確かに大企業やその株主は潤い、富裕層は(株で大儲けして)極端に増加しましたが、国民のほとんどはより貧しくなり、エンゲル係数は増加の一途を辿っています。
いくら面子があるからと言っても、全く景気回復をさせないアベノミクスを「効果があった」と言い繕うのは安倍首相ならではの大嘘です。
日刊ゲンダイが「忍び寄る最後の“平成不況”~ 」とする記事を出しました。
8月の倒産件数は、前年同月比で8・6%増、小売業の倒産は同じく17・9%増、居酒屋やビアホールなどの酒場は同63・6%増でした。
中小企業(約400万社)の4割が減収減益に直面していて、来年5月の改元を前に、倒産が激増し、最後の“平成不況”がやってくるかもしれないということです。
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忍び寄る最後の“平成不況”…8月の倒産件数は5カ月ぶり増加
日刊ゲンダイ 2018年9月12日
風向きはガラリと変わった。10日、東京商工リサーチが発表した8月の倒産件数は5カ月ぶりに増加した。しかも前年同月比8.6%増と、かなりの勢いで倒産は増えている。
人手不足倒産が過去最多の45件を記録。これが全体の数値を押し上げたのは間違いないが、人手不足は何も今に始まったことではない。“5カ月ぶり”には別な理由が潜んでいる。
「消費者に近いところの倒産が増えています。小売業や外食、卸売業などです。消費の低迷によって、体力の弱った企業が倒れているといえるでしょう」(東京商工リサーチ情報本部長の友田信男氏)
小売業の倒産は2カ月連続で増加し、8月は前年同月比17.9%増だった。居酒屋やビアホールなどの酒場は同63.6%増を記録した。
「小売業はニッパチといって、2月と8月に売り上げが落ちる傾向があります。今夏は百貨店のバーゲンセールも不発だったというし、深刻な消費不況に襲われたのかもしれません」(株式評論家の倉多慎之助氏)
記録的な猛暑のマイナス効果を指摘する声もある。あまりの暑さに外出を控える人が続出し、デパートや専門店の売り上げはガタ落ちしたというのだ。
「猛暑による間接的な倒産は無視できないでしょう。外出回数を控えるため、食料品は週に1回、大手スーパーですませるという主婦は多かったと思います。そうなると、小さな商店はモノがパタリと売れなくなります」(流通関係者)
だとすれば、猛暑が一段落する秋以降、倒産件数は落ち着くのか。
「この先、倒産は増加するのではないかと思っています。理由のひとつは、来年10月の消費税率の引き上げです。税率アップは、中小企業の経営を直撃する恐れが高いといえます」(友田信男氏)
中小企業が増税分を価格に上乗せできても、最終的な小売価格は値上がりするから、売上高は減少しかねない。
友田氏によると、中小企業(約400万社)の4割が減収減益に直面しているという。来年5月の改元を前に、倒産激増、最後の“平成不況”がやってくるかもしれない。