五十嵐仁氏は、13日のブログ「得意とされる外交で破綻してしまった安倍首相を続投させても良いのか」に引き続き、14日には「看板のアベノミクスでも破たん寸前の安倍首相を続投させて良いのか」と題するブログを発表しました。「安倍首相を続投させて良いのか」二部作ということです。
「外交の安倍」という虚妄の看板の蔭で、莫大な国費をバラ撒き続けるのに留まらずに、稚拙な外交で国益を損なう愚を今後も続けることだけは絶対に避けなければなりませんが、彼の経済政策の「アベノミクス」も、続ければ続けるほど日本の破綻の度合いは深刻になります。
アベノミクスの成果を強調したい安倍首相は、集計方法を変更してまでGDPを見掛け上アップさせただけでなく、国民所得を上昇させるために、所得の集計対象の組み換えを行いました。いずれも「禁じ手」ですが、そうまでしないと「成果」らしいものを挙げることができかったということです。
アベノミクスの最大の問題は、結局は国民に負わされることになる最終的な勘定=巨額な損失という悲劇が、その場になるまで国民が実感できないという点です。
アベノミクスを続ければ続けるほどその傷は深くなっていくわけで、五十嵐氏は、外交政策と同様に経済政策も破たんして漂流を始めた安倍政権を続投させれば、日本の未来はなく、安倍政権の打倒こそが、日本の経済を救う唯一の道だと述べています。
文中で、毎日新聞の13日付社説「安倍政治を問う アベノミクス 勘定を回されるのは誰だ」と東京新聞の12日付の記事「アベノミクス成果大げさ? 計算方法変更 GDP急伸」が紹介されています。そのうち東京新聞の記事を併せて紹介します。
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看板のアベノミクスでも破たん寸前の安倍首相を続投させて良いのか
五十嵐仁の転成仁語 2018年9月14日
安倍首相の政策が破たん寸前なのは外交だけではありません。得意だとされ安倍首相が看板としてきたアベノミクスですが、この経済政策も破たんに瀕していると言って良いのではないでしょうか。
昨日の『毎日新聞』9月13日付に社説「安倍政治を問う アベノミクス 勘定を回されるのは誰だ」が掲載されています。記事は「安倍政治の継続か否かを問うのが今回の自民党総裁選だ。まずなされるべきは、アベノミクスの総点検である。安倍氏に挑戦する石破茂氏には、将来に回ったツケも含め、『最終的な勘定』の論争を挑んでもらいたい」として、多くの問題点を指摘していました。
例えば、「『2年程度で』達成される約束だった物価上昇率2%が、なぜ今も視野に入らないのか」「リーマン・ショックの震源地、米国では、金融政策の正常化が進み、15年末以来、7回も利上げを実施した。日本はいまだマイナス金利だ。この現実をどう説明するのか」「問題は、アベノミクスのコスト、そして最終的な勘定が、現時点の我々にはわからないことだ」「アベノミクス第一の矢を担う日銀は、過去に例のない勢いで国債(国の借金)を買ってきた。その結果、国債価格は大幅に上昇し(長期金利は大幅に低下し)、今では国が借金するほどもうかるという異常さが常態化している」「急増する利払いに国が対応する力を投資家に疑われた時、国債は暴落するだろう。待ち受けるのはギリシャであったような経済の大混乱だ」「政策の長期化により、リスクは膨らむ一方である」などです。
一昨日の『東京新聞』2018年9月12日付も、「アベノミクス成果大げさ? 計算方法変更 GDP急伸」という記事で、アベノミクスの成果を問うています。この記事は「経済指標が改善したのは、データのとり方を変えた影響が大きく、十分な説明をせず、成果を『誇張』しているとの指摘もある」として、次のように書いています。
首相は「名目GDPについて『12・2%、六十兆円伸びている。六百兆円を実現したい』と強調しているが、「急成長には『からくり』がある。政府は一六年十二月、GDPの計算方法を変更したのだ。『国際基準に合わせる』との理由で、それまで採用していなかった『研究開発投資』の項目を追加。このほか建設投資の金額を推計するために使っていたデータを入れ替えるなどの見直しを行った。この結果、一五年度の名目GDPは三十二兆円近く増えて五百三十二兆二千億円に跳ね上がり、一気に六百兆円に近づいた。」
安倍首相、お得意のデータ改ざんで、さすが「偽造、捏造、安倍晋三」と言われるだけのことはあります。GDPが急伸したのは計算方法の変更のせいで、アベノミクスの成果は大げさだというのが、この記事の主張なのです。
9月3日に財務省が発表した4~6月期の「法人企業統計」によれば、企業の経常利益は前年比17・9%増だったのに対し、人件費は前年比3・8%増にとどまりました。企業利益の増加より人件費の増加の方が14・1ポイントも低いのです。
安倍政権初期の2013年4~6月期と比べれば、企業の経常利益が69%も増えたのに、人件費は8・5%増にすぎません。人件費の増加率は60・5ポイントも低くなっています。
企業の内部留保が446兆円になるほど過去最高の利益を積み上げているのに、労働分配率は低下して人件費は低いままに抑えられているのです。個人消費は低迷が続き、マイナス金利などで金利収入はほぼ消滅し、世帯主が50代の世帯で無貯蓄が3割あるといいます。
貯蓄もなく年金はじり貧で社会保険料や医療費の負担が高まる一方ですから、消費拡大に期待するほうが無理というものでしょう。大企業や富裕層が富めばその富が低所得層に「滴り落ち」て国民全体に利益が及ぶとする「トリクルダウン理論」も、市場にマネーを供給して緩やかなインフレにすれば企業や家計のマインドが改善して設備投資や消費が活発になるという「リフレ論」も完全に破たんした姿が、ここにあります。
自民党の総裁選挙では、安倍首相の3選支持の大きな理由の一つは外交と共に経済政策にもあるそうです。安倍首相自身もアベノミクスと称して経済政策を看板にし、それによって支持の拡大を図ってきた側面があります。
しかし、昨日取り上げた外交と同様に、それはテレビなどで報じられる外見にすぎません。安倍首相が行ってきたのは経済や景気の立て直しではなく、「やっているふり」「進んでいるポーズ」によって国民を欺くというやり方でした。
その「化けの皮」が、最近になって次第に剥がれつつあります。外交政策と同様に経済政策も破たんして漂流を始めた安倍政権を続投させれば、日本の未来はないでしょう。
アベノミクスの破たんによって無能ぶりが露わになった安倍首相を退陣させなければなりません。安倍政権の打倒こそが、日本の経済を救う唯一の道なのです。
アベノミクス成果大げさ? 計算方法変更 GDP急伸
東京新聞 2018年9月12日
五年八カ月余りの「安倍政治」で、常に論争の的になってきたのが経済政策のアベノミクスだ。本格論戦が始まった自民党総裁選でも、安倍晋三首相は国内総生産(GDP)の伸びなどを取り上げ、政策の妥当性を訴えている。もっとも経済指標が改善したのは、データのとり方を変えた影響が大きく、十分な説明をせず、成果を「誇張」しているとの指摘もある。 (渥美龍太)
首相は十日、自民党総裁選候補者による共同記者会見で、第二次安倍政権発足時と現在を比較した名目GDPについて「12・2%、六十兆円伸びている。六百兆円を実現したい」と強調。三選を果たした上で向こう三年の任期中、GDPを過去最高の六百兆円に乗せることへの意欲を示した。
無投票で党総裁に再選された二〇一五年九月、首相は二〇年ごろの六百兆円到達を目標に掲げた。物価変動を反映し、景気実感に近いとされる名目GDPは当時、五百兆円程度。目標の達成には百兆円の上積みが必要だったが、今月十日に公表された一八年四~六月期に年率で五百五十兆円を突破し「六百兆円」が視野に入った。
ただ急成長には「からくり」がある。政府は一六年十二月、GDPの計算方法を変更したのだ。「国際基準に合わせる」との理由で、それまで採用していなかった「研究開発投資」の項目を追加。このほか建設投資の金額を推計するために使っていたデータを入れ替えるなどの見直しを行った。この結果、一五年度の名目GDPは三十二兆円近く増えて五百三十二兆二千億円に跳ね上がり、一気に六百兆円に近づいた。
ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏は「明らかに統計の数字が良くなる特殊な要因がある場合、政府はできる限り丁寧に説明する必要がある」と指摘する。アベノミクスを分析した著書がある明石順平弁護士は「(建設投資の推計手法の変更など)国際基準とは関係ない部分の上げ幅が、安倍政権の時期だけ突出して大きく、都合よくデータを選んでいることが疑われる」との見方を示す。
安倍政権になって経済規模が拡大したのは確かだ。一方で物価も上がっているため、物価変動の影響を取り除いた実質GDPの伸びは8%、四十兆円にとどまり、名目GDPの伸びの六十兆円より二十兆円少ない。通常は実質の数字が重視されるが、見かけ上、数値が大きい名目GDPを引用し成果をアピールしているようにみえる。