2018年9月22日土曜日

天木直人氏が今後の政局を占う +

 天木直人氏が「総裁選後の政局を占う」というブログを発表しました。
 そこでは
『今回の結果に一番衝撃を受けたのは安倍首相本人であるが、今後の政治が良くなることはなくもっと悪くなるだろう。来年の参院選には負けるかも知れないが、負けても安倍首相は絶対に辞めない。辞めさせるには、まったく新しい顔ぶれの人物が、まったく新しい政治を作り出す、そういう動きが出て来る必要がある』
と述べています。
 レームダックになっても、自分を引き下ろそうとする人物が現れない限り最後まで粘る、という絶望的なストーリーです。
 でも、野党側が来る沖縄知事選でまず勝利し、参院選でも大勝利して、自民党内で引きずり下ろす騒動が勃発すれば、さすがの安倍首相も持たないのではないでしょうか。
 
 日刊ゲンダイの「崩れた圧勝皮算用 安倍3選という『終わりの始まり』」も併せて紹介します。こちらは上・中・下の3部構成です。阿修羅に中編の文字越こしが載りましたので23日に掲載します。
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総裁選後の政局を占う
天木直人のブログ 2018年9月21日
 総裁選は石破氏の善戦で終わった。
 この程度の善戦で大騒ぎになるのは、安倍1強に対するウンザリ感がひろく日本全体に広がっているからだ。
 そして、この程度の善戦で大騒ぎになるのは、安倍首相がなりふり構わず圧勝を目論んだにもかかわらず、取りこぼしたからだ。
 まさに安倍首相の1強に陰りが見え始めたことを見せつけた総裁選だった。
 もちろん、一番衝撃を受けたのは安倍首相本人に違いない。
 だからこそ記者会見を開いて、わざわざ勝利宣言したのだ。
 しかもその宣言は一方的な自画自賛に終始した。
 今後三年間、さらに安倍政治を続けるとみずからを鼓舞した。
 しかしその本心は、新内閣で石破氏をどう処遇するか聞かれた瞬間にバレタ。
 いきなり笑い出し、適材適所の一言でごまかした。
 この異常で気味悪い笑いこそ、安倍首相の動揺をあらわしたものなのだ。
 悔しくて仕方がないのだ。
 
 政局は流動的になる。そこまでは、誰もが容易に想像する事だ。
 そして、メディアは一斉に今後の動きについて書き始める。
 そこでいつものように、誰よりも先駆けてこれからの政局を予想してみる。
 結論から言えば、何も変わらないということだ。それどころかもっと悪くなるだろう。
 安倍首相はすぐに国連総会に出席するため外遊に逃げ込む。
 そこでさんざん安倍外交のパフォーマンスに明け暮れ、帰って来たら新内閣を発表する。
 その顔ぶれを見れば、安倍首相の正体がわかることになる。
 私の大胆な見立てでは、ますます安倍独裁が進む。
 安倍首相を支えて来た菅、麻生、二階の骨格は変わらず、そこに岸田が加わる。
 竹下派も加わるだろう。しかし石破派の姿はない。
 
 問題は小泉進次郎の処遇であり、この処遇こそが安倍3選後の政局を占うポイントであるが、私は安倍内閣に取り込まれると思っている。
 投票直前に石破氏に投じる事を表明した小泉進次郎だが、あれは安倍首相に反旗を翻したのではなく、ガス抜きだ。というよりも保身だ。
 自民党が国民政党を続けるためには,今のような言論封殺状態ではいけない。
 それを訴える役は、総裁選までは石破氏だったが、その後は小泉進次郎なのだ。
 小泉進次郎が安倍内閣の一員となり国民の声を代弁し、内閣の中から安倍一強を正していく。そういう役割を小泉進次郎が担い、それは安倍首相の了承事項なのだ。
 
 野党は、自民党総裁選の事なのに、まるで自分の手柄のように安倍批判を強めるだろう。
 しかし、自民党の政局報道の影に隠れ、まったく国民に相手にされないだろう。
 確かに3選挙後の安倍首相を待ち受けているものは難問ばかりだ。
 安倍批判に事欠かない。
 そして、安倍首相のウソパフォーマンスにもかかわらず、どんどん日本は追い込まれて行く。
 来年の参院選では、安倍政権は負けるかも知れない。しかし、参院選は政権交代選挙ではなく、たとえ負けても政権交代にはならない。
 安倍降ろしの声は出ても、安倍首相は絶対にみずから辞めない。
 そういう政局がだらだらと続くのだ。
 
 唯一、政局が面白くなるのは、安倍一強に対する反発が自民党内から起きて自民党の中から立ち上がる者が出て来る場合だ。
 しかし、それが国民の心を動かすようなものになるのは、小泉進次郎のような人物がその先頭に立つ場合しかない。だが、私の見立てでは、小泉進次郎は動かない。
 石破は動かないだろうし、たとえ動いてもどうにもならない。
 要するに、何も変わらず、ますます政治状況は閉塞感が進むということだ。
 こう書いていくと、反安倍にとっては耐えられない絶望的な政治状況になるが、仕方がないのだ。それが政治の現実であり、民主党政権の失敗のツケなのだ。
 どうなるのか。どうすればいいのか。そんなことは私にはわからない。
 日本がより深刻な状況になり、国民間の分断がますます進む。
 それでも日本は存続し、国民生活は続く。
 権力を持ったものたちがいい思いをして政治を続ける。
 だから皆、権力を持つ者たちに沈黙し、迎合する事になる。
 これまでと何も変わらない状況が続く。
 それを変えるには、このままではいけないと考えるまったく新しい顔ぶれの人物が、まったく新しい政治を作り出す、そういう動きが出て来なくてはいけないということである(了)
 
 
 巻頭特集  
崩れた圧勝皮算用 安倍3選という「終わりの始まり」<上>
日刊ゲンダイ 2018年9月21日
露出をこれだけ抑えても隠し切れなかった無能と詭弁の見苦しさ
 議員票は安倍晋三329票、石破茂73票。党員票は安倍224票、石破181票。合計553票対254票――。
 結果が読み上げられた瞬間、会場となった党本部8階ホールに「おおっー」とどよめきが起き、3選を果たしたのに安倍首相の表情は固まったまま、笑顔はなかった。安倍は周囲に座る陣営の議員に握手を求めるも、心ここにあらずの様子で、動揺の色がアリアリだった。
 20日投開票された自民党総裁選。「焦点」は石破元幹事長が200票以上取れるのかどうか、だった。200票なら“ポスト安倍”の目が残り、200票未満なら政治生命を失う。ところが、それを50票以上も上回ったのだから、安倍陣営が呆然となるのは無理もない。特に、「4割取れば大健闘」とされていた地方の党員票で、石破に45%も奪われたのだから衝撃だったに違いない。
 
 安倍圧勝の皮算用はもろくも崩れ、この3選が、安倍政権の「終わりの始まり」となることがハッキリした。
 予想外の石破善戦は、安倍本人の身から出たサビだ。「拉致問題を解決できるのは安倍政権だけだと私が言ったことはございません」「私は一度もトリクルダウンとは言ったことがありません」――。討論会での、これらの発言に多くの国民・党員は唖然としたはずだ。「腹心の友」の加計理事長とゴルフや会食を重ねていたことを問われると、「ゴルフに偏見を持っておられる。テニスならいいのか、将棋ならいいのか」と逆ギレ。質問を的確に理解する能力もないことがバレてしまった。
 安倍陣営のベテラン議員はこう言った。
「先週金曜から3連休にかけてテレビで討論会を見た支援者から、『安倍さんひど過ぎるね』という反応が寄せられ、これはマズいと思っていました」
 実際、テレビに出れば出るほど、露出すればするほど、安倍は票を減らしていった格好だ。
 
 外交を理由にするだけでなく、北海道地震まで“利用”して総裁選日程をわずか6日間に短縮、石破との論戦から逃げまくったのに、それでも詭弁を弄する見苦しさや無能さは隠せなかった
「党員は国民世論に近いと言いますが、世論以上に地方経済の今後や来年の参院選への影響を考えています。政治的意識の高い党員が、石破票、つまり『安倍NO』の票を投じることで、『安倍1強でいいのか』という良識を示したと言えます」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)
 地方の反乱が起きたということだ。安倍1強は音をたてて崩れ始めている。
 
裏目に出た恫喝、露呈した卑しさ
「干されてもいいのか」――。今回の総裁選で終始飛び交ったキーワードである。安倍と会った岸田政調会長が不出馬を決断したのも、自ら率いる派閥全体が干されることを危惧してのことだった。
 無投票3選を狙っていた安倍は、総裁選が始まるずっと以前からライバルを潰すことに躍起で、そうした強権的手法は安倍側近や親衛隊に引き継がれた。選挙戦最終盤になって、西村官房副長官が、地元の神戸市議に対し「石破を応援するな」と圧力をかけていたことや、安倍応援団のひとりが、石破派の斎藤農相に「石破を応援するなら辞表を書いてからやれ」と迫っていたことも公になった。
 今回、異常な“恫喝選挙”は完全に裏目に出た形だ。
 石破が党員票で45%を獲得し、50人程度とみられていた議員票で20人以上、上乗せしたのも、締め付けに対する反発だったのは間違いない。
 政治評論家の野上忠興氏がこう言う。
「今度の総裁選で、安倍首相の本性が党員にもすっかり見透かされてしまいました。世論調査ではこれまでも安倍政権の政策に対してネガティブな反応が出ていましたが、今回、ついに党員にすら安倍首相は見放された。虚像がガタガタと崩れ、“オレ様政治”の限界が露呈したともいえます。それは安倍首相もうすうす感じているのではないですか。20日3選が決まった直後、壇上の挨拶でまず石破氏の健闘を称えた。心にもないのに、普段の安倍首相ならあり得ないことでした。記者会見でも『明日の日本をつくる』など平凡で陳腐な話しかできず、勇ましい“安倍節”は消えていました」
 驕れるものは久しからず、である。
 
石破大善戦でレームダック化は加速する
「圧勝」の皮算用が狂ったことで、この先、安倍政権の求心力は間違いなく落ちていくだろう。
 安倍は議員票と党員票ともに圧勝して、「石破をぶっ潰す」つもりだった。しかし、石破は大善戦し、ポスト安倍の“次の目”を残した。安倍陣営からも「もはや石破派を干すことはできない」との声が漏れてくる。来月1日にも行われる見通しの党役員・閣僚人事では、当初、安倍はこれまで通り“お友達人事”を断行するつもりだったが、そうはいかなくなってきた
 安倍は総裁選の地方回りなどで、「私にとって最後の総裁選」と繰り返し言ってきた。3選で終わりということは、この先は下降線をたどるしかない。
 想像以上に安倍が党員に人気がないことが分かり、我が身かわいさで安倍支持に流れた国会議員の“安倍離れ”も加速する。安倍シンパだって、どうなるか分からない。
「政権を支える麻生副総理、菅官房長官、二階幹事長の3人も、安倍首相との距離がこれまでとは変わってくる可能性があります。『ポスト安倍』のキングメーカーとして、次の展開を考えて動くことになるでしょう」(鈴木哲夫氏=前出)
 
 臨時国会が始まれば、再び安倍はモリカケ問題で野党に攻め込まれることになる。頼みの外交でも米ロと隙間風が吹き始めた。
「安倍首相は3選を果たした20日がピークでしょう。山高ければ、谷深しです。落ち始めると早い。まず最初の試練は、今月30日投開票の沖縄県知事選。これで自公候補が負けると安倍政権には大打撃でしょう。来年の統一地方選、そして参院選がトドメになるのではないか」(野上忠興氏=前出)
 いよいよ安倍は追い込まれて行く。