2018年9月15日土曜日

15- 徹底比較 安倍晋三と石破茂 (16)

 日刊ゲンダイの連載記事:「徹底比較 安倍晋三と石破茂 (16)」を紹介します。今回で終了です。
 
 今回はメディアとの対応に関することで、ここでも安倍氏の「自己中心」的で批判を受け付けない体質が語られ、それはコンプレックスの裏返しなのでは・・・とされています。
 その点石破氏の方は、メディアに対する姿勢は野党の時も与党の時も、幹事長であろうと大臣であろうと一貫していて、どこのメディアとも同じ距離感を保っているとされています
 
 最終回に当たり、番外編として日刊ゲンダイの「石破氏の妻・佳子夫人 ファーストレディーで昭恵氏に完勝」の記事を併せて紹介します。
 
 対談者の鈴木哲夫氏、野上忠興氏のプロフィールについては、連載1回目
      ⇒ (8月26日)徹底比較 安倍晋三と石破茂 (1)、(2)
を参照ください。
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 徹底比較 安倍晋三と石破茂 (16) 
どのメディアとも同じ距離感を保つ石破と“好き嫌い”の安倍
日刊ゲンダイ 2018年9月15日
野上 安倍に近しい周辺が「総理は短命で終わった第1次政権の教訓としてマスコミ対策のマズさを学んだ」と話したことがあります。マスコミの存在が一種トラウマになったということでしょうか。確かに、政権に返り咲いてからはメディアコントロールに力を入れ出しています。選挙の時などに「公平・中立な報道を」とテレビ局に申し入れをしたりするのは一種の恫喝と映りますが、その一方でメディア幹部と頻繁に食事やゴルフをしたり、いわばアメとムチを使ってメディア懐柔を印象づけるような振る舞いが目立ちますね。自民党内に「安倍は田中真紀子の男版だ」と見る向きがあるように、安倍は「周囲を敵か味方か使用人としか見ていない」というわけです。批判的な言動をとる者を敵視し、ヨイショ組は味方として囲い込む。メディアに対しても好き嫌い=敵か味方かの“識別感情”が働き、結果、メディアは親安倍と反安倍に分断されてしまう状況が生まれたように思えます。
 
鈴木 石破の場合、好き嫌いでメディアを選別することはないですね。番記者ともあまりベタベタしない。政局より政策で、理屈っぽいから、番記者から敬遠されるのかもしれない。石破にも「メディアを敵に回すと怖い」という意識はあるでしょうが、だから支配下に置いてやろうと考えるのではなく、議論で勝負しようと考えるタイプ。以前、石破を交えて数人で飲んだ時に「今はこうやって楽しく飲んでいても、本当に総理になったら厳しく批判しますからね」と言ったんです。すると石破は「ぜひ、そうしてくれ」と。「厳しいことを指摘するのが本物の温情だろう」とも言っていました。きれい事に聞こえるかもしれませんが、考え方が違うからと拒絶するのではなく、違うからこそ議論することが大切だと考えているところがあります。
 
野上 でも「厳しく指摘をしてくれ」などと言っていながら、トップになった途端に変わる人もいるんじゃないですか。
 
鈴木 それはないと思いますね。「今は総裁選だからいろんなメディアに出ている」と思っている人もいるかもしれませんが、石破のメディアに対するスタンスは、野党の時も与党の時も、幹事長であろうと大臣であろうと変わっていないからです。ローカル局でも雑誌でもネットでも、オファーがあれば、できる限り出るよう調整している。特定のメディアを敵視することもないし、どこのメディアとも同じ距離感を保っていますね。
 
野上 安倍とは対照的ですね。養育係の久保ウメの「晋ちゃんはジコチュー、自己愛の塊だから」との見方が、メディアをコントロール下に置こうとする姿勢にもよく表れているように感じます。批判を受け付けないのは、コンプレックスもあるのでしょうか。国家運営に自信があるなら、堂々として何事にも受けて立つ気概を見せればいいものを、批判を受け止め切れずに、メディアまでコントロール下に置きたいという方向へ流れていく。「自分は人の目を真正面から見て話をすることができない。気が小さいんだ」と漏らしたこともありましたが、メディア対応ひとつとっても、戦後最長の在職期間をうかがおうという大宰相の風格とは、程遠いように思えます。おわり・敬称略)
 
 
石破氏の妻・佳子夫人 ファーストレディーで昭恵氏に完勝
        佳子夫人 メッセージ動画:https://youtu.be/DmU_OI8FbFA
日刊ゲンダイ 2018年9月15日
 「笑顔を絶やさず、頑張ってください」――。投開票まで1週間に迫った自民党総裁選で、石破茂元幹事長(61)に強力な“援軍”が現れた。石破氏が総裁選の特設サイトに開設した〈応援メッセージ シリーズ〉に登場した妻・佳子氏で、ネットにアップされた途端、〈清楚な美人〉と話題になっているのだ。
 
 長い髪をひとつに束ね、青いカーディガンを着て静かに語る佳子氏。石破氏とは慶大法学部の同級生なのだが、とても60代とは思えない。「この人は何歳に見えますか?」という化粧品のCMに登場しても不思議じゃない。カメラに向かって穏やかな表情で語り掛ける姿は、仏頂面でぶっきらぼうな口調の石破氏とは対照的。間違いなくダンナの好感度もアップしただろう。
 
 今回の総裁選勝利者の妻は、必然的にファーストレディーになるから、国民の関心が集まるのは当然だ。その人物が慶大卒の才媛に加え、美人となれば話題になるワケだ。佳子氏は目立つのが嫌いらしく、これまでメディア露出度も低かったから、余計に騒がれるのだろう。
 
 他方、もうひとりのファーストレディー候補である安倍首相の妻・昭恵氏といえば、目立つのが大好き。「私人」でありながら一時、複数の官僚を使用人のようにコキ使い、好き勝手に飛び回って疑惑の森友小学校の名誉校長にも就いた“問題児”だ。森友問題のキーパーソンとして、いまだに国民から国会招致を求める声は強く、とてもじゃないが表に出てこられる状況ではない。
 
 おそらく、石破陣営からすれば〈党員の皆さん、(佳子氏と昭恵氏の)どちらがファーストレディーにふさわしいかも考えて〉という強烈なメッセージが込められているのだろう。なるほど、さすが戦略家の石破氏だ。
 
 こうなったら、佳子氏は前面に出てきて、「私は居酒屋を経営しません」「私は官僚をコキ使いません」「私はオカルトを信じません」と訴えるべきだろう。ファーストレディーの選挙があれば、間違いなく佳子氏が完勝で、昭恵氏は大惨敗だ。